2024年4月24日
日本盲導犬協会

 公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、盲導犬との安全で快適な歩行を提供しています。

 日本国内には836頭(2023年3月末現在)の盲導犬が活動していて、昨年度協会では、新たに34頭の盲導犬を送りだしました。その育成は多くのボランティアによって支えられていて、協会では現在およそ3,000人が活動しています。しかし、盲導犬候補の子犬や盲導犬の親犬、また盲導犬を引退した犬たちなどを家庭で飼育する「飼育ボランティア」の数は、決して十分とはいえません。更には、盲導犬には向かないと判断された犬たち(キャリアチェンジ犬)を引き取り、家庭犬として飼育するボランティアも必要です。

 こうした飼育ボランティアへの申し込みは一定数あるものの、協会の方針に沿って実際に飼育をお願いできる家庭は、減少しているのが実情です。見えない人、見えにくい人を誰一人取り残さない、持続可能な盲導犬育成事業へ向け、協会では、ボランティアへの協力を広く呼びかけています。ぜひ実情を取材し、報道していただけますようお願いいたします。

 

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盲導犬引退犬(左)、キャリアチェンジ犬(右)と暮らすボランティア家族。

「犬たちとの生活は、大変なことよりも楽しいことの方が多いです」

 

 

 

盲導犬の一生に関わる飼育ボランティア

 犬の成長過程に沿って、以下のように様々な飼育ボランティアが関わっています。

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■ボランティアが飼育する犬の頭数(2024年4月現在)

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106301/202404239874/_prw_PT1fl_BfhBR5Q0.png

 

 

「犬たちの尊厳」を重んじて、最善の飼育環境を模索する

 日本盲導犬協会では、盲導犬としての資質をもつ親犬(繁殖犬)から、毎年100頭前後の盲導犬候補の子犬が誕生します。生後2か月から1歳前後まで、パピーウォーカー(以降、PW)の家庭で飼育され、人間社会で暮らしていくルールなどを学んでいきます。

 1歳になって訓練を開始しますが、すべての犬が盲導犬になるわけではありません。性格や健康面などの理由から、盲導犬に向かないと判断されるキャリアチェンジ犬(以降、CC犬)は年間に4~50頭いて、一般のご家庭に譲渡しています。

 協会では、育成方針や動物福祉の観点から、協力いただく飼育ボランティアについて、一定の条件を定めています。動物福祉に基づいて行われる盲導犬育成事業において、1頭1頭の犬に尊厳をもって対応することは、重要な理念です。飼育をお願いした家庭で、犬が生涯を通して安心して過ごすことができるのかを、しっかりと見極めます。犬だけでなく、ボランティアの方の思いも大切にしなければなりません。

 CC犬をボランティアに譲渡する際には、犬の性格に合った家庭をマッチングするようにしています。例えば、屋外で過ごしたり刺激のあることが好きな犬であれば、犬を連れて頻繁に外出する家庭をマッチングさせるようにします。反対に、家の中でゆっくり過ごすことが好きな犬であれば、それに合う家庭をマッチングするなど、人、犬双方にとって最善の組み合わせになるよう最大限の配慮をしていきます。

 

 

飼育ボランティアの待機者数は必要な数を大幅に下回る

 しかし、ボランティアを希望する家庭にも、それぞれ希望や条件があるほか、留守が多いなど犬の飼育に適さないケースも多く、年々マッチングが難しくなっています。CC犬飼育ボランティアであれば、1頭につき複数の候補が必要で、常時100家族以上確保する必要があります。現在200家族近くの申し込みがあるものの、実際に協会の方針に沿って飼育をお願いできる家族は、その3分の1程度と必要な数を大幅に下回っているのが現状です。

 また、盲導犬を安定的に育成するために、毎年盲導犬候補の子犬を100頭、確実にボランティアへ委託しなければなりません。そのため、いつでも協力いただけるPWは、協会全体で年間100家族必要です。しかし必要な数の2割程度しかいない訓練センターもあり、厳しい状況が続いています。

 さらに、繁殖犬飼育ボランティアについては、毎年10頭程度が繁殖犬となるため、年間に10家族が必要ですが、全く申し込みがないこともあります。

 

 持続可能な盲導犬育成事業には「飼育ボランティア」の協力が必要不可欠です。日本盲導犬協会では、協会の理念に共感し、協力いただけるボランティアを募集しています。目の見えない人、見えにくい人が安心して盲導犬と歩み続けられるよう、多くの方に盲導犬育成事業に参加していただきたいと考えています。

 

ボランティアの基本条件、各訓練センターの募集状況は協会ホームページをご覧ください。

↓こちらから

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 ************ボランティア活動の様子*************

 

パピーウォーカー

 

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現在5頭目の子犬と暮らすベテランのボランティア家族。1頭目と3頭目は盲導犬に、2頭目はCC犬になりました。写真は4頭目の犬と一緒に初詣へ出かけた際の思い出のショット。

「家族は普段、仕事、学校、部活と別の生活をしているけれど、“盲導犬候補の子犬を育てる”という一つのことにみんなで向かうことができます」

「その犬に合った道を訓練士が見極めてくれるので、みんな幸せに過ごしている姿が目に浮かびます」

 

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404239874-O4-3Cnr9hf7

月1回訓練センターで行われる「パピーレクチャー」の様子。PWは子犬と一緒に参加して、犬との関わり方について学びます。協会職員に、育成に関する相談もできます

 

 

 

繁殖犬飼育ボランティア

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404239874-O1-JiX00Z87

盲導犬の親犬を飼育し、繁殖の時期などに協会に連れて来る役割があります。引退後も継続して飼育して頂きます。

「犬の体調管理やけがの予防などに日頃から気を配っています。ちょっとした変化も見逃さないことが大切です」

「この子にとって初となる赤ちゃんを一家全員で見に行った際には、本当に幸せな気分に包まれました」

 

 

【国際盲導犬の日とは?】

1989年4月26日(水曜日)に国際盲導犬連盟(本部イギリス)が設立されたことを記念して、毎年4月の最終水曜日を「国際盲導犬の日」と制定しました。世界各国の盲導犬育成団体と共に、盲導犬への理解促進へ向けた普及活動を積極的に行う日です。

・世界で活動する盲導犬の数 19,557頭

・盲導犬育成事業に協力するボランティアの数 38,348人

※国際盲導犬連盟による集計(2023年12月31日現在)

 

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 【国際盲導犬の日】 持続可能な盲導犬育成事業へ向け    「飼育ボランティア」の安定確保が課題に