2023年10月31日
公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団

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 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(所在地︓東京都港区、理事長︓中島治男、略称:日本GIF)は、9月28日(木)14時から、Zoomを利用したオンライン形式にて、株式会社東洋経済新報社編集局記者の大坂直樹氏を講師にお迎えし、「”リニア静岡問題”とは何か?大規模インフラ建設の落とし所を探る」をテーマにセミナーを開催しました。

開催の趣旨
 大規模なインフラストラクチャーの建設においては、全てのステークホルダーから同意が得られるとは限りません。一方、全ての関係者の同意が確認できるまで建設できない状態が続くと、公共の利益を大きく損なってしまう場合があります。大規模インフラの建設主体は、この問題とどのように向き合えば良いのでしょうか。
 現在、日本でこの問題が発生している事象の一つに、静岡県知事がリニア中央新幹線の着工を拒んでいることがこの大規模インフラの建設を妨げている、「リニア静岡問題」があります。現状では、JR東海が当初掲げた東京~名古屋間を2027年に開通させるという目標の達成は難しく、静岡工区の着工はできるのか、できるとしたらいつなのかは、まだ見通しが立たない状態です。
 この問題はなぜ生じたのでしょうか。静岡県知事は、最初は建設に反対しておらず、2014年にリニア建設事業主体であるJR東海が行った静岡県で建設に伴う環境影響評価の結果は、知事も承認しています。また、静岡県知事以外のリニア中央新幹線通過都県の知事は、すべて建設工事を認めています。静岡県だけが反対している理由を把握し、国や建設事業者ができることを今一度検討する必要があります。
 今回のセミナーでは、長年「リニア静岡問題」を取材し続けてきた、東洋経済新報社の大坂直樹記者を講師にお迎えし、各ステークホルダーの主張、議論の推移、現状の分析などを解説していただき、大規模インフラ建設への教訓を探りました。

講演要旨
 今回のセミナーで大坂氏は、まずリニアモーターカーの基礎知識や、リニア中央新幹線開通による東京-名古屋-大阪の大動脈の二重化や時短化への期待、決定しているルート等について説明。次に、静岡工区で起きていることとして、南アルプストンネルの静岡工区が第一級河川である大井川の真下を通過する際の湧水の問題(山梨県の水資源の他県への流出)について報告しました。また、静岡県の懸念として、ユネスコエコパークに登録されたエリアの自然保護の重要性と、山梨県にはリニアの駅が設置される予定がない事への代替案としての、東海道新幹線の富士山静岡空港駅新設の可能性について言及しました。

 講演のまとめで、本問題から得られる教訓として、リニア新幹線が民間企業主導のプロジェクトである事ならではの問題点、環境影響評価の議論のタイミング、地元への説明不足の問題点等を指摘しました。

 講演後の質疑応答では、富士山静岡空港駅新設の可能性について、静岡県への大井川の湧水戻しを取り巻く諸問題、静岡県にとってのメリットとデメリット、またリニア開通に伴う国益について等、数多くの質問が飛び交いました。

 セミナー終了後のアンケートによると、「静岡工区で問題になっていること」「静岡問題が生じた原因」「今後の解決の方向性」のパートへの関心が高かったことがわかりました。参加者からは、セミナーへの意見として「リニア新幹線そのものの技術的問題」「過去の事例として、丹那トンネル建設後の地下水への悪影響」等が挙げられ、静岡リニア問題への関心の高さが見て取れました。

セミナーの概要は以下の通りです。

セミナー概要
主 催:公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)
日 時:2023年7月27日(木)14:00~15:30
開催形式:Zoomを利用したオンライン形式(ウェビナー)
講演者:大坂直樹(株式会社東洋経済新報社編集局記者)
司会者:坂本晶子(日本GIF事務局長)
セミナー動画 https://gif.or.jp/seminar_youtube/linea_shizuoka-2/

講師略歴

大坂直樹(東洋経済新報社編集局記者)
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1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に、現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 オンラインセミナー「”リニア静岡問題”とは何か? 大規模インフラ建設の落とし所を探る」を開催