2018年1月23日



トレンド総研



~「介護の事前学習」に関する調査レポート~

「1億総介護時代」に求められる事前学習

在宅介護にも資格取得は有効!?

体位変換、移乗介助…知識の有無は、介護の負担を左右

将来のキャリアを増やす選択肢にも!



生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび「介護の事前学習」をテーマに、レポートします。



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1:「1億総介護時代」に求められる事前学習

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65歳以上の割合が全人口の27%を超え、「超高齢社会」を迎えた現在の日本。他の先進国と比較しても高齢者の割合が高く、それに伴い介護ニーズも急増しています。最近では、誰にとっても介護が他人事ではなくなる今後の時代を指す、「1億総介護時代」という言葉も登場しているようです。



こうした中で重要になるのが、「介護」に関する予備知識です。最近では、身近な人の介護に備えて介護関連の資格を取得する人も増えています。



そこで今回、トレンド総研では、「介護の事前学習」をテーマに、20~60代の男女500名を対象にした調査を実施。さらに、「1億総介護時代」を前にした「介護の事前学習」の重要性について、「介護ラボしゅう」代表の中浜崇之さんにお話をお伺いしました。



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2:「介護の事前学習」に関する調査

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はじめに、介護職従事者以外で、介護関連の資格を持つ20~60代男女500名を対象に、「介護の事前学習」について調査をおこないました。



<調査概要>

・調査名:「介護の事前学習」に関する意識・実態調査   

・調査対象:20~60代 男女500名 

   ※介護関連の資格を持っている方(介護関連の職業に就いている方を除く)

   ※性・年代均等割付

・調査期間:2017年12月25日(月)~12月27日(水)

・調査方法:インターネット調査



◆資格取得の理由は、「キャリアの選択肢を増やすため」、「身近な人の介護のため」がツートップ

まず、「介護関連の資格を取得した年齢」について聞いたところ、「20代」(31%)が最も多く、次いで「40代」(20%)、「50代以上」(20%)が上位に。年齢に関係なく、幅広い世代の人が介護の資格取得に取り組んでいる様子がうかがえます。



次いで、「介護関連の資格を取得した理由」を聞くと、「将来のキャリアの選択肢を増やすことにつながりそうだったから」(39%)や、「身近な人の介護をする際に知識が役立ちそうだと思ったから」(37%)が上位に。「1億総介護時代」を迎える今後の社会においては、こうした考えを持つ人が、ますます増えていきそうです。



さらに、「実際に、在宅介護をした経験がありますか?」という質問をしたところ、「在宅介護の補助をした経験がある」人が20%、「自分が中心となって在宅介護をした経験がある」人が16%という結果に。また、「今後、在宅介護にかかわる予定がある」人も27%にのぼりました。



◆資格取得の学習で得た知識は「在宅介護で役に立つ」、約9割が回答!

そこで、「資格取得のための学習で得た知識は、在宅介護をする上で役に立つと思いますか?」と聞いたところ、86%と約9割が「そう思う」と回答。大多数の人が、資格で得た知識は、実際の介護現場でも役に立つと考えているようです。



さらに、「介護に関する知識があることで、在宅介護はラクになると思いますか?」という質問でも、71%が「そう思う」と回答。また、「具体的に何割程度ラクになると思うか」を聞くと、平均は「5割」となりました。介護の知識の有無で、負担は5割も軽減されるということになります。



なお、実際に在宅介護を経験した人に、どのような点がラクになったかを聞くと、

●「体の使い方がわかっているので、肉体的な負担を軽減できる」(37歳・男性)

●「認知症の相手にも、むやみに怒ったりせずに症状別の対応ができる」(29歳・女性)

●「技術的なことはもちろんのこと、知識があることで、精神的な余裕もできる」(56歳・男性)

などの声が。知識の有無で、肉体的にも、精神的にも負担が軽減されると実感した人が多いようです。



◆在宅介護を見据えた資格取得・学習にあたって重要なこととは?

また、「在宅介護を見据えた資格取得・学習にあたって重要なこと」を聞くと、「座学だけでなく、実習もあるスクール・講座を選ぶ」(57%)が最も多い結果に。また、「介護現場の知識が豊富な講師が多いスクール・講座を選ぶ」(41%)、「初心者でもついていける学習フォロー体制があるスクール・講座を選ぶ」(39%)などの回答も上位となりました。



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3:専門家に聞く、「1億総介護時代」を前にした「介護の事前学習」の重要性

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さらに今回は、「1億総介護時代」を前にした「介護の事前学習」の重要性について、「介護ラボしゅう」代表の中浜崇之さんにお伺いしました。



<専門家プロフィール>

中浜崇之 「介護ラボしゅう」代表/介護福祉士/ケアマネージャー 

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、資格取得の際に実習先であった特別養護老人ホームにアルバイトで勤務。その後、正規職員として約10年特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後世田谷デイハウス イデア北烏山の立ち上げをし、現在は社会福祉法人希桜会の理事兼施設長、NPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役などを務めている。

2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。



◆介護が必要になるタイミングは「突然」やってくる…いざという時に慌てないために、「事前学習」は重要

人口に対する高齢者の割合が高まり、介護にかかわる人も増えつつある現在、介護系の入門資格である「介護職員初任者研修」などの資格を通じて、前もって介護に関する知識を得ておくことは、大変意味のあることです。



例えば、育児の場合は、妊娠から出産までに数か月の期間があるため、その間に知識や情報を蓄えることができますし、自身の母、義理の母、友人など、周囲に出産経験者がいることも多いので、周りのサポートやアドバイスも比較的受けやすいという面があります。対して、介護は「ある時突然必要になる」というケースがほとんど。また、周囲に介護経験者や、相談できる人がいないという場合も少なくありません。実際に介護が必要になってからでは、落ち着いて勉強をする時間をとることも難しくなってしまうので、いざという時のために、前もって準備をしておくことはとても重要です。



また、現在は介護に対する周囲の理解が追いついていないケースも多く、家庭内で介護状態になっている人がいる場合、出世やキャリアに影響するのではと考え、会社に言い出せずにいるという方もいらっしゃいます。中には、仕事と介護が両立できず、介護離職に追い込まれてしまう人も多いようです。仕事と介護を上手に両立させる上でも、前もって知識を得ておくことは非常に大切と言えるでしょう。



◆事前学習は、介護における「肉体的・精神的な負担」を軽減

というのも、介護の知識を得ておくことは、肉体的・精神的な負担の軽減につながるからです。



まず、肉体的な負担についてですが、知識の有無で、介護における体の使い方には大きな差が生じます。例えば、両手を掴んで椅子から立たせようとする場合、知識がない人は「上」にひっぱりがちです。しかし、これではスムーズに立たせることができず、介護する人にも、される人にも、余計な負担がかかってしまいます。正解は、上ではなくて、「ななめ前」にひっぱるべきなのですが、このように誤った体の使い方を続けていると、腰痛などの原因になってしまうことが。逆に、人間がおこなう動作の原理などを含めて知識を得ておくと、実際に介護をする際、移乗介助や体位変換など、さまざまな面で、肉体的な負担が大きく軽減できます。



また、2018年4月からは、「改正介護保険法」が施行され、施設などの現場では、利用者の「自立支援」を促すためのサポートが強化されることになります。しかしながら、例えば、施設では排泄を自分でおこなっているのに、自宅ではオムツを使っている…というような事象が起きると、介護される側の混乱にもつながりかねません。こうした中では、施設との連携をとることが重要であることはもちろんですが、自宅で介護をする方にも一定の知識があると、自宅と施設、両方から「自立支援」を促すことにつながり、長期的な負担を減らすことができると思います。



続いて、精神的な負担について。介護の知識があると、これから症状がどのように進行し得るかがわかるので、先手を打って行動できるようになります。育児の場合、子どもはどんどん成長していくので、物理的に手がかかることは少なくなりますが、介護においては、年数が経つほど症状が進んでしまうことが多いもの。事前に知識があれば、症状の変化に気づきやすくなりますし、いざ進行したときにも慌てることなく冷静に対処できるようになるでしょう。



◆目指すべきは「長続き」できる介護!

さらに、介護においては、「頑張りすぎない」ということが、とても大切です。特に地方のご家庭などでは、施設などに頼ることなく、家族で介護をすべきと考える方も多いのですが、家族介護の年数は平均10年と言われていますので、いい意味で“ラク”をして、長続きできる状況をつくることが何よりも重要だと思います。きちんとした知識があれば、介護保険の制度やサービスの種類などを理解して、適切なサポートを受けることができますし、医療従事者やケアマネージャーとの意思疎通もスムーズになるはずです。



そして、介護の勉強や資格取得のためにスクール・講座に通うことは、講師や受講生との出会いにもつながります。介護が必要になった際に相談できる人がいることは、とても心強いもの。知識を蓄えることとあわせて、いざという時に頼れる人をつくっておくというのも、事前におすすめしておきたいことの1つです。



◆新たなキャリアの選択肢を拡げるチャンスにも!

また、介護の勉強や資格取得をしておくことは、身近な人の介護で役立つだけではなく、就職の面でも有利になります。一時的に家族の介護に専念することになった場合でも、資格や経験を活かすことで、介護の道で新たなキャリアを切り開くことが可能です。特に、介護の分野は、都会だけではなく地方でも、就業の機会が多いので、結婚や介護をきっかけに住む場所が変わった人でも、仕事を見つけやすいという側面もあるようです。なお、介護系の資格としては、入門的な位置づけである「介護職員初任者研修」、介護職に就いた後さらなるキャリアアップを目指す方向けの「介護福祉士実務者研修」などがあります。資格取得を通じて介護の勉強をしておくことは、必要な知識を体系的に得ることで、肉体的・精神的な負担を軽減させられるのはもちろんのこと、今後の社会で必要とされるキャリアの選択肢を拡げるということにもつながると言えるでしょう。



情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 「1億総介護時代」に求められる事前学習…在宅介護にも資格取得は有効!?