2017年4月25日



オムロン株式会社



-マシン制御とAIをリアルタイムに融合-

「AI搭載マシンオートメーションコントローラー」を開発



オムロン株式会社(本社: 京都市下京区、代表取締役社長CEO: 山田義仁)は、このたび、機械学習型AIアルゴリズムを搭載した、マシンオートメーションコントローラーを開発しました。本コントローラーは、モノづくりの現場で生産ラインや装置を制御するプログラマブルロジックコントローラー機能とAI処理機能をリアルタイムに融合させた、業界初のAI搭載コントローラーです。オムロンが誇る幅広いセンサー機器群を用いて、マイクロ秒単位で刻々と変化するラインや装置の状態をリアルタイムに監視し、搭載したAIに学習させた「因果モデル」を基に機械の“いつもと違う動き”を推定することで、異常が発生する前に安全に装置やラインを制御します。



近年、製造業では、多品種少量生産やグローバルでの最適地生産の流れが加速する中、熟練技能者の不足や人件費高騰の影響を抑え設備の稼働率向上と高品質な製品を安定的に生産するため、モノづくりの現場においてAIやIoTを活用するニーズが高まり続けています。マイクロ秒単位での制御が行われるモノづくり現場においてデータを活用するためには、位置や振動、温度などのデータを高速高精度に収集し、時刻データと正確に紐付けることが重要です。これらの複数のデータを組み合わせて分析・活用することにより、装置異常の予兆を高速に発見し、設備の停止や製品品質の低下を未然に防止することができます。一方、IoTの急速な普及は、膨大なデータの生成をもたらし、ネットワーク帯域を拡張しても、全データを、AI分析を行うクラウド側に送信することは困難です。また、即時応答が必要なモノづくりの現場では、センサーやモーター等各種機器からクラウドまでのデータの往復による応答遅延が導入の足かせとなります。



そこで、オムロンは、モノづくり現場の“知能化”に向け、現場のオートメーション化を支える幅広いファクトリーオートメーション(FA)機器にIoT対応や最適なAIアルゴリズムを実装し、熟練技能者のノウハウを装置やラインの制御に取り込むことに挑戦しています。今回のAI搭載コントローラーの開発は、こうした開発思想の下、装置を制御するマシンオートメーションコントローラーにAIアルゴリズムを実装し、装置の繰り返し動作を緻密なセンシングデータから学習させることで、リアルタイムな装置の状態監視や制御へのフィードバックを実現します。



AI搭載コントローラーによる、生産現場でのAI活用プロセスイメージ:

1.装置や生産ラインの振動、温度などのセンシングデータとモーター等の出力データを時系列にリアルタイム収集

2.時系列データを基に正常時または異常時の特徴量をリアルタイムに生成

3.特徴量データを蓄積し、因果分析後、機械学習モデルを作成

4.作成したモデルデータを基にリアルタイムに状態監視や制御へのフィードバックを実現



オムロンは、今後、AI技術をモノづくり現場で使える「道具」として活用できるよう、本コントローラーをはじめ、センシング機器などにAIを搭載した商品の開発を進め、AIやIoTを生かして装置やラインの状態や製品の品質を保全し、“不良を作らず、止まらない”ものづくり現場の実現を目指す顧客の支援に取り組みます。具体的には、2016年から一部の顧客に向け本コントローラーのサンプル出荷を開始しており、顧客や自社の現場で実証実験を重ね、装置の異常を推定・分析し、装置異常に関する因果関係の知見を高め、2018年からのサービス提供を含めた商品化を目指しています。



オムロンは、長年、さまざまなモノづくり現場で必要とされるFA機器の開発、提供に取り組み、EtherCAT(R)やIO-Linkなどオープンなネットワークを積極的に活用するなど、世界最先端の情報技術によるメリットを顧客に提供し続けてきました。また、AIアルゴリズムの機器への実装ノウハウを20年以上にわたって培い、オムロンのコア技術である「センシング&コントロール+Think」を象徴する卓球ロボット「フォルフェウス」や、顔・人認識技術「OKAO Vision」、世界初の「ドライバー運転集中度センシング技術」を搭載した車載センサーなどの開発に生かしてきました。

オムロンは、各種FA機器やロボット技術を用いたモノづくり現場のオートメーション化ノウハウに、最先端のAIアルゴリズムを組み合わせ、人材の不足や人件費高騰に悩む製造業を支援し、“機械が人の能力・創造性を引き出す”未来のモノづくり現場の実現を加速させてまいります。



<オムロン株式会社について>

オムロン株式会社は、独自のセンシング&コントロール+Think技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、電子部品、車載電装部品、社会インフラ、ヘルスケア、環境など多岐に渡る事業を展開しています。1933年に創業したオムロンは、いまでは全世界で約38,000名の社員を擁し、110を超える国や地域で商品・サービスを提供しています。詳細については、http://www.omron.co.jp/ をご参照ください。



EtherCAT(R)は、ドイツ Beckhoff Automation GmbH によりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。





情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 「AI搭載マシンオートメーションコントローラー」を開発