NISAは投資により発生した利益が非課税になる制度ですが、適用期間は限られているため、NISAが終了すれば投資に対する利益はすべて課税対象となります。

そんな中、金融庁はNISAの抜本的拡充を推進しており、先日税制改正の要望書を提出しました。

本記事では金融庁が提出した令和5年度の税制改正要望の内容と、要望が実現する可能性について解説します。

イオンカードによるクレカ積立が始まる 運用はお任せで手間いらず、ポイントも貯まる

現行のNISA制度の状況

執筆時点において存在するNISA制度は3種類存在し、種類ごとに投資可能期間や非課税限度額が異なります。

 

<NISAの種類>

  • つみたてNISA
  • 一般NISA
  • ジュニアNISA

    「つみたてNISA」は、非課税保有期間が20年間と長期であるのが魅力である一方、年間投資枠は40万円しかありません

    「一般NISA」は、年間投資枠が120万円と毎月10万円を非課税範囲内で投資できるのが魅力ですが、非課税保有期間が5年と短いです。

    ジュニアNISAは、未成年者を対象とした制度であり、2023年に投資可能期間は終了する予定です。

    このようにNISAでも種類によって特徴があり、どの制度を活用すればいいのか理解しにくいのが既存のNISA制度の問題点です。

    金融庁が提示した令和5年度の税制改正要望の内容

    金融庁は、資産所得倍増プランに関する要望事項として、現在のNISAの税制改正を求めています。

    NISAに関する要望事項

    • 制度の恒久化
    • 非課税保有期間の無期限化
    • 年間投資枠を拡大し、弾力的な積立を可能に
    • 非課税限度額の拡大
    • 成長投資枠(仮称)の導入
    • つみたてNISAの対象年齢を未成年者まで拡大

    要望事項の注目点としては、制度の恒久化と非課税保有期間の無期限化です。

    実現すれば継続的に投資を実施できると同時に、将来の資産形成としても利用できるようになります。

    「成長投資枠(仮称)」とは、安定的な資産形成を促進する観点から、長期・積立・分散投資によるつみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐイメージの制度です。

    また、つみたてNISAの対象年齢を未成年者まで拡大することで、年齢により年間投資枠が変わることもないですし、制度が統一化すれば利用する制度の種類で悩むこともなくなります。

    金融庁の税制改正要望は通るのか?

    税制改正に関する要望は各省庁から提出されていますが、あくまでも要望であるため、提案内容が実現するとは限りません

    金融庁の令和5年度の税制改正要望では、NISA以外にも

    ・ 生命保険料控除制度の拡充や、

    ・ 暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し

    なども提案しています。

    金融庁の要望がすべて実現することは考えにくいですが、要望した内容が政府の意向と合致していれば実現する可能性は高いです。

    NISAによる資産形成は、岸田内閣が掲げている所得倍増計画との親和性がありますので、金融庁の要望が実現することも十分あり得ます。

    税制改正大綱案は12月下旬に公表される

    税制改正の審議は1月から3月に行われますが、審議を行う際の原案となる税制改正大綱案は与党から12月下旬頃に公表されるのが一般的です。

    ジュニアNISAが2023年に終了することを踏まえると、今年の年末にNISAに関する税制改正が行われても不思議ではありません。

    投資に興味がある方は、年末の政治の動向に少し耳を傾けてはいかがでしょうか。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

    【投資で破産】初心者が手を出してはいけない投資について

    【ついにNISA恒久化!?】税制改正案3つのポイント 全投資家注目の結果は2022年12月に発表!

    「つみたてNISA」勘違いのつまずきポイント4つを解説 非課税期間は2042年まで

    情報提供元: マネーの達人
    記事名:「 NISAの適用期間は延長するのか 金融庁が提示した税制改正要望の内容と実現の可能性