先週の日経平均株価は、2021年9月14日高値からの切り下がりの下降トレンドからの転換となり、2万8000円を超えてきました。

週の前半では年初来高値更新銘柄が100銘柄以上という日が連日続き、買い優勢となっていましたが、金曜日に2万8000円を割り込み、上値切り上げてきたトレンドを一気に転換する流れとなって週末入りしています。

この窓開け陰線は、0.382%処までの押し目(2万7353円)とするのか、それとも節目として意識されている2万7000円処(フィボナッチ0.5押し2万7038円)まで調整するのか、いずれにしても、上が2万8000円で2点決まったことで、BOX相場入りも視野に下のメドを見ていきたいと考えます。

金曜日の夜間に発表された米国消費者物価指数は予想よりも上回り、インフレ加速が懸念され、株価は大きく下げています。今週の日本のマーケットにも影響が出そうなので警戒していきましょう。

6月第1週の海外投資家動向は現物410億円の売り越しで、先物は6651億円の買い越しで、合計6241億円の買い越しとなりました。

【今週の日経平均を考える】SQ値を下値として5月は推移していけるのか見極めの週

チャート分析

チャートを細かく見ていきましょう。

日足の移動平均線

5日線は、上向きで推移し、木曜日までは終値で5日線を下回ることなく、5日線の上を推移し強さが見られましたが、金曜日に株価は5日線を割り込み、向きを横向きとしました。

25日線は、完全に上向きへと変化しました。

75日線は、横向きから上向きに変化し、さらに25日線と75日線が6日月曜日にゴールデンクロスしました。

並び順は25日線と75日線がゴールデンクロスしたことによって、5日25日75日の並び順となり、安定上昇となっています。

機関投資家や海外の投資家が意識している200日線は下向きから横向きに変化し、株価は7日から200日線を超えましたが、金曜日には200日線に触れた形で終えています。

200日線を維持できるのか注目です。

トレンドライン

2021年9月14日高値から11月16日、1月5日とななめに引いたラインがしばらく上値抵抗線として意識されていましたが、このラインが上値抵抗から下値支持線となる可能性もあるため、引き続き意識していきたいラインです。

他に意識される心理的節目として2万7500円と2万7000円処。

6月2日3日の窓埋めも意識されます。

上に関しては直近では6月9日10日の窓をいつ埋められるかが注目です。

一目均衡表

強さを見せていましたね。

雲の上に抜けて、雲との乖離を広げています。

この後、6月21日以降7月中も雲のねじれが頻繁にあるので、このような雲のねじれの時の株価の動きは、今後覚えておきたいところなので見逃さずに確認していきましょう。

上に障害物のない遅行線の動きにも注目です。

ボリンジャーバンド

+2σに到達し、そこから+2σのボリンジャーウォークとなりましたが、金曜日に+1σとしてボリンジャーウォークを終えました。

過去に+2σでのボリンジャーウォークは、2020年11月5日から9営業日のボリンジャーウォーク、2021年9月1日から10営業日のボリンジャーウォークとなっており、今回の+2σのボリンジャーウォークもどこまで伸ばせるかと見ていましたが、5営業日で終えています。

スローストキャスト

買われすぎゾーンで上に張り付いている状況で推移していました。

スローストキャストでは100%より上の値がないため、株価が大きく上昇しているときに、このように上に張り付いてしまうという現象が現れます。

金曜日に下向きとなったことで、ここからは買われすぎゾーンを脱して、売られすぎゾーンまで下げてくるのか、それとも売られすぎゾーンに到達せずに上昇へと迎えるのか見ていきましょう。

MACD

6月に入ってからは0ラインを超えて、上昇トレンドとなり、現在は上昇トレンド継続となっています。

金曜日に下向きに変化し、ヒストグラムも弱さが見えているので、ここから上昇トレンドを維持できるかに注目です。

月の満ち欠けですが、次回の新月は6月29日、満月は6月14日(ストロベリームーン)です。

総合判断

毎年のアノマリーとして、6月2週3週に押すということが言われていましたが、今年もアノマリー通りに押す場面となっています。

日本はここから選挙がある為、大きく下落するということは政治面ではマイナスイメージとなるので、株価も上昇していきたいところですが、インフレ懸念が深刻化する中、しっかりと政策をアピールできるかどうか、投資家もみているところでしょう。

世界に目を向けると、経済協力開発機構が発表した今年の世界経済成長率を4.5%から3%へと下方修正しています。ちなみに来年は3.2%から2.8%とこちらも下方修正しています。

リセッションということが意識されている中、米国市場もリセッションを織り込もうとしているのかもしれません。

日経平均株価は、上値抵抗が2万8000円のBOX相場となることも考えられます。

トレンドは下降トレンドからV字回復で上昇トレンド転換となる場面は少なく、基本的には下降トレンドから横ばい、そして上昇トレンドへと転換していくことがセオリーですので、その流れも意識していきたいところです。(執筆者:城 晶子)

【今週の日経平均を考える】6月相場入りとなり方向感が出てくるのか

【今週の日経平均を考える】明確な上昇トレンドとなるのか、BOX相場となるのか見極め

【今週の日経平均を考える】日経平均株価は三角持ち合いを形成中

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 【今週の日経平均を考える】インフレ懸念加速の中、BOX相場も視野へ