10日の香港市場は値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比482.75ポイント(1.84%)安の25727.41ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が240.63ポイント(2.23%)安の10541.26ポイントとそろって反落した。売買代金は1945億6900万香港ドルとなっている(9日は2068億3100万香港ドル)。

新型コロナウイルス感染の再拡大が不安視される流れ。香港では9日、1日あたりの新規感染者が4月以来の大きさとなった。こうしたなか、当局は飲食店規制を再び強化し、13日からはすべての学校を休校する。また、米国でも複数の州で感染拡大が収まらず、8日は全米の1日あたり新規感染者が過去最多を記録した。経済活動の正常化が遅れると危ぐされるなか、昨夜の米株市場では景気敏感株の主導でNYダウが反落している。この日の本土株安も逆風。2つの政府系基金が保有株を減らすと発表し、上海市場の代表銘柄で構成される「上海50A株指数」は2.6%下落した(一時3.0%安)。「当局は足元の急ピッチな上昇に警鐘を鳴らした」との見方も一部で広がっている。

ハンセン指数の構成銘柄では、生命保険事業で中国最大手の中国人寿保険(チャイナライフ:2628/HK)が6.7%安、不動産開発香港大手の恒隆地産(101/HK)が4.2%安、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が4.1%安、石油グループ大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が3.8%安と下げが目立った。

セクター別では、本土系の金融が安い。上記した中国人寿保険のほか、中国人民保険集団(人保集団:1339/HK)が7.9%、中国人民財産保険(PICC:2328/HK)が7.3%、海通証券(6837/HK)が5.0%、中信証券(6030/HK)が3.7%、招商銀行(3968/HK)が3.5%、中国農業銀行(1288/HK)が2.6%ずつ下落した。中国人民保険集団については、2位株主で年金を運用する全国社会保障基金理事会(社保基金会)が9日、人民保険社A株を最大2%売却するとの計画を明らかにしている。また、銀行株に関しては、主要行の関係者によって、香港国家安全維持法(国安法)に絡み米国から制裁を受けた場合に備え、各行は緊急時の対応策を見直していることがわかった。

中国不動産セクターもさえない。万科企業(2202/HK)が4.3%安、世茂房地産HD(813/HK)が3.2%安、碧桂園HD(2007/HK)が2.8%安、融創中国HD(1918/HK)が2.7%安、首創置業(2868/HK)が2.4%安と値を下げた。

ゼネコンや建材、鉄鋼のインフラ建設セクターも売られる。中国鉄建(1186/HK)が4.7%安、中国中鉄(390/HK)が4.0%安、中国交通建設(1800/HK)が3.6%安、北京金隅集団(BBMG:2009/HK)が4.1%安、中国建材(3323/HK)が3.3%安、鞍鋼(347/HK)が3.4%安、馬鞍山鋼鉄(323/HK)が2.6%安で引けた。

半面、中国自動車セクターの一角は高い。吉利汽車HD(175/HK)が3.9%、比亜迪(BYD:1211/HK)が3.6%、長城汽車(2333/HK)が3.1%、華晨中国汽車HD(1114/HK)が2.1%ずつ上昇した。

一方、本土市場は9日ぶり反落。主要指標の上海総合指数は、前日比1.95%安の3383.32ポイントで取引を終えた。金融株が安い。ハイテク株、海運株、エネルギー株、素材株、不動産株、自動車株、インフラ関連株なども売られた。

亜州リサーチ(株)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 10日の香港市場概況:ハンセン1.8%安で反落、中国金融セクターに売り