12日の香港市場は値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比178.77ポイント(0.73%)安の24301.38ポイントと3日続落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)も112.07ポイント(1.13%)安の9832.53ポイントと続落した。売買代金は1154億3800万香港ドルにやや縮小している(11日は1424億3100万香港ドル)。

昨夜の米株が急落するなか、香港でもリスク回避の売りが先行した。新型コロナウイルス感染拡大の「第2波」を警戒し、11日のNYダウは過去4番目の下げ幅(1800ドル超)を記録している。全米50州のうち、早い段階で経済再開に踏み切ったテキサス州やフロリダ州など21州では、新型コロナの1日あたり感染者が増加に転じた。また、欧州連合(EU)の関係者は11日、欧州で感染拡大「第2波」が数週間内に発生する恐れがあると警告している。経済活動の正常化は遅れると懸念された。また、中国で5月の物価や金融統計がそろって下振れした点も、改めて売り材料視されている。

ただ、本土株の下げ渋りをにらみながら、香港の各指数も引けにかけて下げ幅をやや縮小させた。「景気下振れは当局に経済対策強化を促す」との見方も流れている。

ハンセン指数の構成銘柄では、石油生産大手の中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が4.6%安、米向け売上比率の大きい中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が3.0%安、石油グループ大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)と石油・化学大手の中国石油化工(サイノペック:386/HK)がそろって2.9%安、中国政府系インベストメント会社の中国中信(CITICリミテッド:267/HK)が2.7%安と下げが目立った。石油関連に関しては、原油相場の急落(昨夜のWTI原油先物は8.2%安)が嫌気されている。

セクター別では、中国の金融が安い。中国郵政儲蓄銀行(1658/HK)が2.1%、中信銀行(998/HK)が1.7%、招商銀行(3968/HK)が1.3%、中国人寿保険(チャイナライフ:2628/HK)が1.8%、中国太平洋保険集団(2601/HK)が1.6%ずつ下落した。

ゼネコンや建機のインフラ建設セクターもさえない。中国鉄建(1186/HK)が2.7%安、中国中鉄(390/HK)が2.6%安、中国交通建設(1800/HK)が2.2%安、中国龍工HD(3339/HK)が2.5%安、中聯重科(1157/HK)が1.3%安で引けた。

半面、医薬・医療関連の銘柄は物色される。使い捨て医療器具大手の山東威高集団医用高分子製品(ウェイガオ・グループ・メディカル・ポリマー:1066/HK)が4.3%高と急反発し、上場来高値を更新。同社は11日引け後、脊柱インプラントや関節インプラントを製造する山東威高骨科材料股フン有限公司を中国本土マーケットに分離上場する計画について、上場先が上海のハイテク・スタートアップ企業向け市場「科創板」に決まったと報告した。このほか、医療アプリ「平安好医生」運営の平安健康医療科技(1833/HK)が8.5%高、医療サービス企業の阿里健康信息技術(アリババ・ヘルス・インフォメーション・テクノロジー:241/HK)が4.7%高、医療機器メーカーの微創医療科学(853/HK)が6.3%高、バイオ医薬品製造販売の三生製薬(1530/HK)が3.5%高と上昇している。

一方、本土市場は小幅に3日続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.04%安の2919.74ポイントで取引を終えた。資源・素材株が安い。発電株、エネルギー株、空運・海運株、金融株やハイテク株の一角も売られた。半面、消費関連株は高い。医薬品株、自動車株や不動産株の一角も買われた。

亜州リサーチ(株)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 12日の香港市場概況:ハンセン0.7%安で3日続落、原油急落で石油関連に売り