*14:27JST コニシ Research Memo(7):設備投資、株主還元の数値目標も設定(1) ■コニシ<4956>の新中期経営計画

2. 数値目標
数値目標としては、2026年3月期に売上高1,408億円(2023年3月期実績比14.1%増)、営業利益97億円(同30.9%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)129億円(同34.5%増)、ROE8.0%、設備投資額(3年間の累計額)150億円、株主還元(配当総額+自己株式取得額)120億円を目指す。これらを要約すると下表のようになるが、注目すべきは設備投資と株主還元についても目標値を設定したことだ。

3. セグメント別数値目標
セグメント別の売上高(2026年3月期)は、ボンド769億円(2023年3月期比11.4%増)、化成品388億円(同12.0%増)土木工事249億円(同27.4%増)となっている。またセグメント営業利益は、ボンド60億円(同31.9%増)、化成品15億円(同19.7%増)、土木工事20億円(同27.6%増)を目指している。

各セグメントの事業戦略は以下のようになっている。

(1) ボンド事業(メーカー部門)
各サブセグメントの売上高(2026年3月期)は、一般家庭用67億円(2023年3月期比8.6%増)、住宅関連用241億円(同12.6%増)、産業資材用93億円(同13.4%増)、テープ38億円(同11.7%増)、建設用150億円(同11.9%増)、土木用30億円(同20.0%増)、サンライズ106億円(同13.9%増)、ウォールボンド工業33億円(同20.9%増)を計画している。

以下のような施策を実行していく。

1) 産業用途の新規開拓推進 ~非住宅分野の強化~
電子電機、自動車向け製品の開発を推進する。主力である水性形接着剤のさらなるシェア向上を目指す。(栃木工場を増設する) 事業領域の拡大を進め、 産業資材用で売上11億円増(2026年3月期)を目指す。

2) 社会インフラ・建築ストック長寿命化への取り組み推進
リペア市場の深耕開拓を進め、土木建築補修用の新製品・新工法開発を推進する。建築用シーリング材のシェア向上(シェア約40%→50%)を図る。主要製品の売上増加目標は、土木用:売上5億円増(同)、建築用シーリング材:売上10億円増(同)、建築補修材等:売上6億円増(同)を目指す。

3) 既存主力業界である住宅関連用の更なる拡販
コア事業である住宅関連用は、リフォーム需要の取り込み、 新製品開発、他社切り替えによりシェア向上を目指す。主要製品の売上増加目標は、住宅関連用:売上 27億円増 (同)を目指す。

(2) 化成品事業(商社部門)
各サブセグメントの売上高(2026年3月期)は、自動車277億円(2023年3月期比17.3%増)、化学工業102億円(同12.7%増)、電子・電機84億円(同15.8%増)、塗料42億円(同2.7%増)、その他41億円(同12.4%増)、自社開発製品8億円(現在はほぼゼロ)、丸安産業183億円(同14.0%増)を計画している。
(※)これらの数値は「収益認識適用前」の数値

以下のような施策を実行していく。

1) メーカー機能を併せ持つ商社へ
材料科学研究所による自社開発製品(自動車・電子電機業界向け樹脂材料および塗料・コーティング材用中間原料)の早期上市を目指す。自社開発の推進、早期上市により、自社開発製品で売上8億円増(同)を目指す。

2) 注力分野への販売強化
自動車、電子電機業界での新規・深耕開拓を推進する。主な施策は、放熱材などの新商材の拡販、半導体関連商材の販売強化、丸安産業(連結子会社)と協業し、仕入れ・販売機会を創出する。

(3) 工事事業(工事部門)
各サブセグメントの売上高(2026年3月期)は、ボンドエンジニアリング153億円(2023年3月期比18.5%増)、コニシ工営19億円(同15.8%増)、近畿鉄筋コンクリート15億円(同21.1%増)、角丸建設45億円(同36.0%増)、中信建設18億円(同234.0%増)を計画している。

以下のような施策を実行していく。

1) リペア市場(土木補修分野)における事業拡大
建設後50年以上を経過する橋梁は、2030年に約55%となる見込みで、ボンドエンジニアリングを中心に、社会インフラの老朽化対策工事に注力し、更なる事業の拡大を図る。

2) 事業規模拡大に向けた体制の構築
有資格者(土木施工管理技士等)の採用強化に注力する。社内育成による資格取得の推奨を進める。

3) M&Aによる事業拡大
社会インフラの補修・改修工事業の中で、特にリペア需要が見込まれる「橋梁分野」で相乗効果が発揮できるM&Aを推進する。

【工事事業グループ M&A実績】
2013年:近畿鉄筋コンクリート(橋梁などの上部床版工事業)
2017年:角丸建設(土木建築工事業)
2020年:(株)和泉 (角丸建設に吸収合併)
2020年:山昇建設(ボンドエンジニアリングに吸収合併)
2023年:中信建設(土木建築工事)

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 コニシ Research Memo(7):設備投資、株主還元の数値目標も設定(1)