*14:43JST ロジザード Research Memo(3):顧客の物流業務の精度向上と効率化をシステム面から支える(2) ■ロジザード<4391>の会社概要

(2) 店舗在庫管理システム「ロジザードZERO-STORE」
「ロジザードZERO-STORE」は、店舗における在庫管理の効率化を実現するシステムである。主な機能は、在庫管理、POSレジ(他社製品との連携でオプション提供)、分析ツールの3つである。分析ツールは、店舗での売上高を自動で集計・分析する機能を持ち、販売戦略の立案に活用することができる。在庫管理とPOSレジについては、管理者(本部)と事業所(店舗)それぞれに有用な機能を提供している。在庫管理においては、管理者向けに在庫管理・売上管理・棚卸管理などの機能を提供している。たとえば、本部が各事業所のデータを一元管理できるようになり、各事業所の効率的管理や全体最適化に有効だ。事業所向けにはスマートフォンを利用した売上・在庫登録機能、他店舗の在庫をリアルタイムで確認できる他店舗在庫照会機能などを提供している。店舗作業の効率化と消費者への迅速な対応が可能となる。

POSレジは、タブレット端末を利用する精算業務支援サービスと連携して提供している。クレジットカード処理などの基本的なレジ機能に加えて、値引きなどの単価変更、領収書印刷、店舗売上データの本部への送信機能などを有している。レシートプリンターやバーコードスキャナーといった周辺機器との連携も容易で、汎用性の高さも特長だ。低コストで導入可能な点も同システムの魅力である。高価なPOSレジの代わりにタブレット端末でクラウドを通じたサービスを受けられるため、中小規模の顧客でも気軽に導入することができる。短期間での導入や充実したサポート体制なども、ほかのサービスと同様に顧客から支持される要因の1つになっている。

具体的な活用シーンとしては、消費者から商品の在庫に関する問い合わせがあった際にスマートフォンでの在庫の確認、在庫がある場合にはバックヤードのどの棚にあるかの確認などがある。このシステムにより消費者への迅速な対応が可能となる。

(3) オムニチャネル支援システム「ロジザードOCE」
「ロジザードOCE」は、顧客のオムニチャネル※を支援する製品である。同社の「ロジザードZERO」「ロジザードZERO-STORE」を連携することで、店舗・倉庫の一元化したデータを活用して消費者ごとに最適な出荷・配送を実現することができる。在庫を一元管理することによって、複数のチャネルを総合的に活用するオムニチャネル戦略のスムーズな運用にも貢献する。また、他社が提供するWMSと接続して上記の機能を活用できる点も特長だ。OMOマーケティングに対するニーズが高まりを見せるなか、同システムに対する需要は、今後も堅調に推移していくものと弊社は考える。

※オムニチャネル(Omni-Channel)とは、消費者がモノを買うときにすべて(=オムニ)の接点(=チャネル)を継ぎ目なく購入できるようになるための環境のこと。販売側が提供する各チャネルに対して、オンライン(例:ネットショップ)・オフライン(例:実店舗)を問わず、消費者側が在庫数やポイントカードなどの心配をせずに商品を購入できる、「シームレスな購買体験」を提供できる状態のこと。


具体的な活用シーンとしては、消費者からECを通じた注文があった際に、対象の商品の在庫がある店舗・倉庫を確認し、どこから配送するのが最も効率的なのかを判断する状況などがある。

(4) 料金体系と販売チャネル
「ロジザードZERO」「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」の3つのクラウドサービスは、顧客または顧客の荷主のビジネス上の特性に合わせて月額固定料か月額従量料で利用することができる。他社システムとの連携は、アプリケーションパートナーが提供するアプリとの間では、オプション料を追加することで追加開発不要で使える仕組みとなっている。クラウドサービスで安定した収益を上げながら、オプションなどによるアップセルも行うことができる収益モデルだ。

販売チャネルは、同社による直接販売、代理店を通しての営業活動である。代理店については、「ロジザード」シリーズと連携したシステムを開発・販売するアプリケーションパートナーと、代理店などの販売パートナーに分かれている。アプリケーションパートナーはGMOメイクショップ(株)といったEC支援システムや受注管理システムなどを開発する企業が多数名を連ねている。

3. 特徴と強み
同社のプロダクト面の強みは、短納期・低価格・高サービスに大別することができる。商品の特性、商品の管理要件、出荷先特性を顧客からのヒアリングから的確に把握する能力と、システムの高い汎用性によって、短納期・低価格での導入が可能となっている。さらに、中小規模の顧客のなかには専門のシステムエンジニアがいない場合も多く、同社による365日対応の運用サポートサービスも顧客のIT化を支援する魅力的なサービスになっている。

また、先述のとおりサブスクリプションモデルの採用による、収益の安定性も挙げることができる。顧客のニーズを汲み取り製品のブラッシュアップを継続していくことが解約率の低下にも貢献しており、今後も既存顧客と新規顧客から安定して収益を生み出すことが期待できると弊社は考えている。

4. 事業環境
同社の事業を取り巻く事業環境に関しては、ECの日常生活への浸透や輸送業界の人手不足、デジタル化に対応できる人材が不足しているという現状から、今後も順調に市場が拡大していくものと弊社は見ている。特に、同社の主要顧客である中小規模の企業においては「アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態」の企業であっても、37.9%の企業が「デジタル化を推進できる人材がいない」と回答している状況にある(経済産業省「2022年版中小企業白書」)。このような環境のなかで、クラウド経由で簡単に導入することができ、365日対応の手厚いサポート体制を備えている同社サービスに対する需要は、堅調に推移していくものと弊社は見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 ロジザード Research Memo(3):顧客の物流業務の精度向上と効率化をシステム面から支える(2)