■事業概要

4. サステナビリティ
(1) 製品への取り組み
森六ホールディングス<4249>は、地球環境問題が次世代以降にも深刻な影響を及ぼす最大の課題であると認識し、すべての事業領域において目的・目標を定めて地球環境負荷低減活動に取り組むとともに、教育・広報活動等により社員全員の環境意識の向上、地域の環境活動への積極的な参加を進めている。

その一例として、森六ケミカルズでは、食品ロス削減に、食品鮮度保持フィルムを供給することで貢献している。食品鮮度保持フィルムには、目に見えない小さな穴がたくさん施されており、酸素の透過量を調整することで、青果物の呼吸を抑えて鮮度を維持する仕組みになっている。森六ケミカルズでは、包装する青果物の種類や重量、流通環境に応じてフィルムの穴の大きさや数をきめ細かく設定するため、顧客からのヒアリングや輸送保管テストを行い、野菜や果物に最適な状態に二酸化炭素と酸素の量をコントロールし、青果物の冬眠状態をつくり出して最適な製品を実現している。これは、食品ロスを減らすだけでなく、発泡スチロール容器から段ボール箱への切り替えによるゴミ削減のほか、軽量化・コンパクト化による運賃の低減、出荷効率の向上や出荷調整による安定供給にもつながる。

(2) カーボンニュートラルに向けた取り組み
森六グループでは、世界的な気候変動に対するアクションとして、CO2排出量の削減を進める。タイ、広州に続いて、インドでも、2021年10月から、太陽光発電設備の稼働を開始した。

3つの自社工場では、約20%~30%の電力を太陽光発電で賄っている。自社オンリーではカーボンフリー化が困難であるが、外部からの購入も検討し、日本では2022年4月より、鈴鹿工場で太陽光発電の導入とCO2フリー電力の購入を開始する予定である。また、サプライチェーンに対しても歩調を合わせてCO2削減の取り組みを進めていく。

(3) 戦略的な人材登用
森六グループでは、従業員を重要なステークホルダーととらえ、年齢、性別、国籍にかかわらず、さまざまな人材が活躍できる職場環境づくりに努めている。2020年4月より新人事制度を導入し、キャリアや働き方の多様化を認めるとともに、ダイバーシティ推進も積極的に進めている。森六ホールディングスの女性管理職比率は2021年11月現在10%を超えており、2025年までに2倍の20%程度に引き上げることを目指すとしている。なお、新卒採用における総合職の女性採用割合は50%を維持するとともに、自律的な成長をサポートするため女性社員を対象としたキャリア意識醸成に継続的に取り組んでいる。外国人人材については、国籍を問わない人材採用を積極的に進めた結果、グループ会社で外国人人材が現在18名、うち3名が管理職である。2025年までに海外関係会社の経営層ポジションへの外国人人材登用を拡大する予定だ。

(4) プライム市場に向けた ガバナンス体制の強化
2021年6月より、取締役5名のうち過半数を超える3名を独立社外取締役、監査役4名のうち2名を社外監査役としている。また、2021年10月より、取締役会の諮問機関として設置した指名・報酬諮問委員会委員長を社外取締役より選定している。取締役及び監査役の同社ガバナンスの両軸において過半数を社外から選任している同社の体制は、プライム市場において求められる適合水準を満たすとともに、その機能の独立性と客観性は十分に高いと言えるだろう。また、2019年7月より、譲渡制限付き株式報酬制度を導入し、株主との一層の価値共有を図っている。

(5) その他サステナビリティへの取り組み
環境マネジメントにおいては、環境マネジメントシステム[ISO14001(2015)等]に基づいた環境活動体制を構築・運営を行い、グループ会社や工場において環境認証を取得している。

低炭素社会については、以下の取り組みを推進する。
・成形部品をより薄く、軽くし、燃費向上を実現させた薄肉化技術や軽量化と高意匠表現を両立させた多層成形技術など、燃費改善に資する自動車部品の軽量化設計・開発の推進
・VOC(揮発性有機化合物)排出量を低減させた環境にやさしい加飾技術開発による大気汚染の防止など、次世代自動車向け部品の開発
・低炭素型の環境配慮化学商品の開発・販売の推進
・省エネ生産設備の導入
・ハイサイクル生産による電力消費量、CO2排出量の削減の徹底とグローバル展開
・輸送効率化によるCO2排出量の削減
・日常業務の中での省エネ活動の徹底

循環型社会については、以下の取り組みを推進する。
・循環型の環境配慮化学商品の開発・販売の推進
・環境負荷物質の削減
・マテリアルリサイクルの拡大や産業廃棄物の削減など3R(リデュース・リユース・リサイクル)の徹底
・工場食堂におけるフードロスの削減

環境保全については、以下の取り組みを推進する。
・植樹、緑化の支援活動
・グリーン購入
・環境保全に資する環境配慮型化学商品の開発・販売の推進
・環境関連法規の遵守
・環境汚染物質の管理
・環境教育活動の推進

(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川 勇一郎)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 森六 Research Memo(4):事業を通じた環境負荷低減や地域への貢献を通じて持続可能な社会を実現