■事業概要

1. 主要な事業セグメント
コニシ<4956>の事業セグメントは、2021年3月期までは「ボンド」「化成品」「土木建設」「その他」の4セグメントとして開示されていたが、2022年3月期からそれまで「土木建設」に含まれていたボンド事業の一部の製品(主に土木建設用接着材やシーリング材等)を再び「ボンド」セグメントに移管し、残った工事会社5社を「工事事業」セグメントとした。この結果、2022年3月期第2四半期の売上高比率(収益認識基準適用後)は、ボンド事業56.7%、化成品事業29.0%、工事事業14.0%、その他0.2%となった。

(1) ボンド事業
ボンド事業では、主に一般家庭用、住宅・建材用、産業資材用の各種接着剤、シーリング材及びワックス・両面テープ等の製造販売を国内外で行っている。アイテム数は「ボンド」のブランドが付く商品だけで5,000種以上あり、業界での品揃えは国内で群を抜いている。また、子会社のサンライズ(株)では主に戸建て用の建築用シーリング材や自動車用シール材・接着剤を製造・販売している。もう1つの子会社ウォールボンド工業(株)は壁紙用接着剤の製造販売を行っている。

(2) 化成品事業
化成品事業では石油化学製品、合成樹脂、工業用薬品全般、電子機能性材料の仕入販売を行っており、主たる業務は商社的な事業である。同社の根源とも言える事業であるが利益率は低いため、新しい中期経営計画では引き続き抜本的な改革を推進する計画だ。

(3) 工事事業
同社で製造される土木建設用接着剤やシーリング材が「ボンド事業」へ移管されたため、この事業の内容は子会社のボンドエンジニアリング(株)、コニシ工営(株)、近畿鉄筋コンクリート(株)、角丸建設(株)及び山昇建設(株)で手掛ける工事請負事業である。主に官公庁、鉄道会社、道路公団等から発注された道路、鉄道、トンネル、橋梁などの補修・補強工事を請負うもの。同社の場合は接着剤メーカーとしてのノウハウや経験を生かした補修・補強工事を専門で行っているのが特色である。

(4) その他
その他事業は不動産賃貸業を展開している。以前は売上高・利益ともに微少であったが、本社ビルを取得し、その一部の賃貸を開始したことから利益において一定程度の比重となった。

2. 市場シェアと競合企業
主力製品である合成接着剤においては生産量ベースでの市場シェアは10%強の水準と推計され、ここ数年はわずかながら上昇トレンドにある。また、金額ベースのシェアは12~13%(建設用シーリング材を除く)と推計され、国内では数量・金額ともトップシェアとなっている。

主な競合企業は、一般家庭用ではセメダイン<4999>、住関連用では主にアイカ工業<4206>、セメダイン、(株)オーシカなどがある。建設シーリング材ではシーカ・ハマタイト(株)、サンスター技研(株)などと競合する。建設・土木用では、接着剤ではショーボンドマテリアル(株)との競合となるが、実際の工事現場では子会社のボンドエンジニアリングがショーボンド建設(株)と競合する格好となっている。また、工場生産用では昭和電工<4004>、ヘンケルジャパン(株)やオーシカ等が競合大手である。また、エレクトロニクス製品の生産用ではセメダインや(株)スリーボンドと競合するが、両面テープまで広げると日東電工<6988>やスリーエムジャパン(株)が競合企業として挙げられる。

3. 特色、強み
(1) ブランド力
同社の最大の強みは「ボンド」の持つ圧倒的なブランド力である。一般家庭向けの「ボンド木工用」から建築用、産業用の「ボンド」まで、老若男女を問わず誰もが「ボンド」の名を知っている。

(2) 製品ラインナップと販売網
前述のように製品ラインナップが豊富なことも同社の特色である。また、幅広い製品ラインナップは企業の収益基盤としての強みでもある。

(3) 接着剤専業としての強みと販売網
前述のように多くの競合企業(セメダインを除く)は接着剤の専門メーカーではなく、化学品メーカーが多い。言い換えれば、競合企業にとって接着剤は本業ではなく1つの事業でしかない。これに比べて同社は接着剤専業メーカーであるため、顧客からの信頼は厚い。これも同社の特色であり、強みと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 コニシ Research Memo(2):国内トップクラスの接着剤・シーリング材メーカー