■コプロ・ホールディングス<7059>の成長戦略

1. 長期目標は2030年3月期売上高1,000億円、営業利益100億円
中長期経営ビジョンには「業界No.1ブランド」を掲げ、経営目標値は2030年3月期売上高1,000億円、営業利益100億円としている。目標達成に向けた重点施策としては、既存の建設業界向け技術者派遣の成長をベースとして、受注単価の高いプラント業界向け技術者派遣を第2の収益柱に育成して事業分野を拡大する。プラント業界は建設業界における工場建設などのノウハウを生かせる分野である。さらにM&Aを活用して新分野開拓や海外展開も視野に入れる。

2. 建設マーケットの更なる深耕
(1) 採用と営業の強化
採用の強化に関しては、自社運営の建設・プラント業界求人サイト「現キャリ」のリニューアルを実施(2021年4月頃予定)して、応募数の倍増を目指す。

営業の強化に関しては、属人的な営業スタイルから組織的な営業スタイルへの転換を図る。また、2020年4月には千葉支店、静岡支店、北九州プラント支店、2020年11月には新潟支店を新規開設し、支店ネットワーク拡充によって営業エリアの拡大や、プラント技術者派遣のシェア拡大を推進している。一方で、エリアが重複している支店を集約(2020年11月、東京第二支店を東京支店に集約、大阪第二支店を大阪支店に集約)して、生産性向上やスピーディな顧客対応を図っている。なお、2020年11月1日付で実施した組織改編(建設とプラントの営業機能を分離、技術社員のサポートを行うトラスト担当を支店に移管)により、4事業部(建設第一~第三事業部、プラント事業部)の下に全国19支店のネットワークを構築している。

(2) 教育体制の拡充によるキャリアアップ支援
教育体制拡充によるキャリアアップ支援に関しては、自社運営の研修施設「監督のタネ」において、専門講師が受講希望者の習熟度に合わせて研修カリキュラムを提供し、少人数での実習研修を行っている。技術社員の増加に対応するため、東京、名古屋、大阪に加え、2020年4月には4拠点目となる千葉拠点を開設した。さらに今後は、withコロナ/afterコロナに対応したデジタル研修も強化する方針だ。

(3) マッチング率向上と生産性向上を推進
システム投資を積極化して、マッチング率の向上や生産性の向上を目指す。

マッチングシステムについては、技術社員と派遣先企業の双方の満足度を向上させるため、システムを刷新してマッチング率の向上を推進する。各支店で抱えている求人案件をデータベース化して全社で共有し、自社運営の建設・プラント業界求人サイト「現キャリ」の人材情報と突き合わせてマッチング率の向上を図り、顧客との契約延長や技術社員の定着率向上につなげる。新システムは2020年12月順次本稼働予定である。

(4)技術社員の定着率の更なる向上
技術社員の定着率の更なる向上に関しては、派遣後のアフターフォローを行う専任担当者(トラスト担当)を各支店に配置し、キャリアアップ等の相談のほか、技術社員が抱える不安や不満の解消に向けたヒアリングを実施している。また技術社員のエンゲージメント向上に向けた施策として、すべての技術社員にスマートフォンを貸与した。正確な勤怠管理や健康管理のほか、コミュニケーションへの活用などでデジタル化を推進する。さらに福利厚生プログラムとして「コプロマイレージ倶楽部」を運営し、商品券等と交換できるマイルを毎月付与している。

(5)バックオフィス業務の生産性向上
バックオフィス業務の生産性向上については基幹システムを刷新する。見積・契約・勤怠・請求などの業務をシステム化することで、派遣先の拡大や技術社員の増加に伴う支店の管理人員に係わる人件費の増加を抑制することが可能になり、今後の販管費率の低下につなげる。新システムは2021年4月本稼働を予定している。

3. プラント技術者派遣のシェア拡大
プラント業界向け技術者派遣を、建設技術者派遣に次ぐ第2の収益柱に育成して事業分野を拡大する。プラント業界は建設業界における工場建設などの経験・ノウハウを活かせる分野であり、技術社員の水平展開(建設の経験を活かしてプラントへ派遣)が比較的容易である。競合が少なく、受注単価が高い点でも有望市場である。

4. シンガポール現地法人設立
海外進出に向けた取り組みでは、2020年4月にシンガポール現地法人としてCOPRO GLOBALS PTE. LTD.を設立した。シンガポール現地法人は、ASEAN進出のハブ拠点(中間持株会社)という位置付けで、2021年4月にはベトナムに事業子会社としてCOPRO VIETNAM CO., LTD.(仮称)の設立を予定しており、さらに、今後はフィリピン、タイ、ミャンマーなどのその他ASEAN諸国への展開を検討する。海外高度人材の国内受入を推進するほか、将来的にはASEAN地域に進出している日系ゼネコン・プラント企業に対して、日本で技術を学んだ人材の現地・海外Uターンなどの事業化を検討する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


<NB>
情報提供元: FISCO
記事名:「 コプロHD Research Memo(6):既存事業の成長や新分野の開拓で高成長目指す(1)