■要約

ナフコ<2790>は家具・ホームセンター(以下、HC)業界の大手である。九州地区を地盤として、中四国・関西・中部・関東・東北地区にも展開しており、2021年3月期第2四半期末時点の店舗数は34府県357店舗となる。地域密着の品ぞろえ、プライベートブランド(以下、PB)商品による他社との差別化が強み。売上総利益率向上施策や立地・商圏の特性に合わせた店舗業態及びドミナント出店戦略、事業環境の変化に対応したEコマース(以下、EC)の拡大などを推進している。

2021年3月期第2四半期の商品別売上構成比は、コア領域である資材・DIY・園芸用品が46.9%、生活用品が26.7%、家具・ホームファッション用品が18.5%、その他が7.9%。売上総利益率の高い資材・DIY・園芸用品(2021年3月期第2四半期は36.3%)及び家具・ホームファッション用品(同40.3%)が主力となっていることが特徴である。また、PB商品比率は2016年3月期の25.1%から2020年3月期には34.9%まで上昇、2021年3月期には40%を計画しており、これが売上総利益率向上に貢献している。

1. 2021年3月期第2四半期累計業績の概要
2021年3月期第2四半期累計業績は、売上高が前年同期比9.7%増の126,865百万円、営業利益が同154.8%増の13,711百万円、経常利益が同146.3%増の13,910百万円、四半期純利益が同158.1%増の8,465百万円と、計画超の増収・大幅増益となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う巣ごもり消費の拡大、熊本県を中心とする豪雨からの復旧・復興需要、記録的猛暑、台風10号接近対策などが追い風となり、資材・DIY・園芸用品を中心に好調に推移した。利益面では、増収による売上総利益の増加に加えて、PB商品比率上昇などで売上総利益率が上昇したことに加え、広告宣伝費やポイント関連費用が減少したことも寄与した。

2. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期通期の業績予想については2回上方修正している。直近の10月28日の上方修正では、売上高が前期比9.3%増の238,000百万円、営業利益が同138.0%増の19,800百万円、経常利益が同126.5%増の20,300百万円、当期純利益が同144.8%増の12,100百万円としている。既存店売上が好調に推移していることに加え、下期の新規出店も寄与することから、増収・大幅増益を見込む。下期は季節要因による商品構成差で上期に比べて利益率が低下する傾向があるため、保守的な予想としているが、コロナ禍の影響で巣ごもり消費が継続していることに加え、2020年冬はラニーニャ現象で全国的に例年より低温となることが予想されていることもプラス材料となりそうだ。この結果、2021年3月期通期予想は3回目の上方修正の可能性もあると弊社では見ている。

また、2021年3月期の配当予想についても10月30日に増配を発表しており、中間配当を20.00円から23.00円(前期比4.00円増配)に増配し、年間配当を43.00円としている。さらに、株主優待制度も年1回から年2回に拡充している。収益拡大に伴って更なる利益還元充実が期待されるだろう。

3. 中長期の成長戦略
業種・業態を超えて競合が激化し、家具・HC業界においても小規模チェーンが淘汰される事業環境のもと、同社は一層の競争力強化・収益力向上に注力する方針だ。店舗展開については、立地・商圏を厳選して柔軟に新規出店するとともに、九州地区の既存店の改装・増床を推進する。PB商品の開発・拡充については、資材・DIY・園芸用品でPB化余地が大きく、長期的には全体としてPB商品比率50%以上を目指している。また、メーカーとの共同開発を強化することで、競争力の高いPB商品の品ぞろえを拡充していく方針だ。

■Key Points
・九州を地盤として関西や関東にも展開する家具・HC大手
・2021年3月期第2四半期は計画超の増収・大幅増益で着地、2021年3月期も増収・大幅増益予想
・PB商品拡充により、競争力強化や収益力向上に注力する方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ナフコ Research Memo(1):九州地区が地盤の家具・ホームセンター大手。2021年3月期上期は増収・大幅増益