■事業概要

4. 新たな取り組み
日本電技<1723>はエンジニアリング企業として、AIやIoT、クラウドといった最新技術を計装に取り込み、次世代の空調計装「Building IoT」や産業計装「Industrial IoT」を創出することで、新たな高付加価値サービスの提供を目指している。同社はこうした取り組みを顧客のソリューションに生かしていく考えだが、その布石として、後述する子会社ジュピターアドバンスシステムズ(株)の設立や(有)エヌ・ディ・ティの株式取得を行った。

Building IoTでは、ビル向けに「ビル最適化運用」、「エネルギー管理サービス」、「遠隔保守サービス」といったアプリケーションやサービスを提供する方針である。「ビル最適化運用」では、ビルのエネルギー需要予測とデマンドレスポンス信号に応じて、熱源空調設備及び電気設備(太陽光発電+蓄電池)の最適運用を図る。「エネルギー管理サービス」では、ビルの室内環境及び電気、ガスなどのエネルギー消費の見える化によって、データ分析に基づいた省エネ化サービスを提供する。「遠隔保守サービス」では、管理員が常駐しない中小規模ビル向けに、点検業務の自動化などビル設備の遠隔保守サービスを提供する。これらの結果、例えば、天気予報と過去の運用実績データ(ビッグデータ)から、人工知能がビルの冷暖房などに必要なエネルギー量を予測し、熱源設備や蓄電池設備などの運転計画を作成できるようになる。また、インターネットを通じて、モニタリング中のデータやグラフ、分析資料の確認や、担当者のモバイル端末からビル設備の運用が可能となる。

Industrial IoTでは、工場生産設備向けに「生産状況管理アプリケーション」、「品質管理アプリケーション」、「エネルギー管理アプリケーション」の提供を目指す。「生産状況管理アプリケーション」では、生産設備・装置の稼働状況や製品の生産状況をモニタリングし、計画と実績の比較など生産活動をリアルタイムに把握できる。「品質管理アプリケーション」では、生産設備・装置の異常発生や製品の検品状況をモニタリングし、異常発生の原因特定や改善サポートを行うことができる。「エネルギー管理アプリケーション」では、生産設備・装置及びユーティリティ設備のエネルギー消費状況をモニタリングし、製品の生産状況と合わせて、工場全体のエネルギー利用効率などを分析できる。このため、生産実績や在庫状況のリアルタイムでの確認や、時系列計測データからAIを用いて異なる状態の検出ができる。また、コンベア上を流れる製品の画像診断により自動仕分や良否判定を行ったり、モバイル端末で生産設備・装置の点検結果情報を一元管理して保守業務を効率化することも可能となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 日本電技 Research Memo(4):「Building IoT」や「Industrial IoT」を創出する