■シンバイオ製薬<4582>の業績動向

3. 財務状況
2019年12月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比965百万円減少の5,273百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では売掛金が137百万円増加した一方で、現金及び預金が910百万円、商品及び製品が533百万円それぞれ減少した。商品及び製品については従来、アステラス製薬の工場から出荷した時点で資産計上していたが、今回、品質問題が発生したため、仕入検査を終えた時点で資産計上する方法に変更している。固定資産では自社営業体制の構築に関連してソフトウェア及びソフトウェア仮勘定が合わせて169百万円増加した。

負債合計は前期末比463百万円減少の873百万円となった。主な変動要因を見ると、買掛金が605百万円減少した一方、未払金が136百万円増加した。また、純資産は同501百万円減少の4,400百万円となった。新株予約権の行使に伴い資本金及び資本剰余金が合わせて3,798百万円増加した一方で、当期純損失の計上により利益剰余金が4,376百万円減少した。この結果、自己資本比率は前期末の70.1%から71.7%となった。

同社は2021年前半までの事業活動資金の調達を目的として、第50回、第51回の新株予約権(行使価額修正条項付)を3月16日にEVO FUNDを割当先として発行した。潜在株式数は1千万株となり、全て行使されたとすると1株当たり株主価値の希薄化率は37.8%に相当する。ただし、前述したメディシンズとの仲裁裁判により、賠償金を得られた場合は、金額に応じて行使数を制限できるようになっている。今回の調達予定額は約54億円であり、賠償金が同程度以上得られた場合には、その時点で未行使分をすべて買い取り消却することも可能であり、仲裁裁判の結果が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<ST>

情報提供元: FISCO
記事名:「 シンバイオ製薬 Research Memo(6):事業活動資金の調達を目的に新株予約権を発行