■中長期成長戦略と進捗状況

4. 家庭教師派遣教育事業の成長戦略と進捗状況
家庭教師派遣教育事業は子会社の名門会が担っている。リソー教育<4714>の中では比較的早い1989年から事業を開始した。100%プロの社会人講師が指導することと、学習塾・予備校に比べて情報開示が不透明な家庭教師業界にあって、進学実績をきちんと公表している唯一の事業者であるという点が特長かつ差別化要因となっている。

家庭教師はTOMAS同様、個別指導であるが、指導場所が異なる。同社グループとしては1都3県ではTOMASの拡大に注力し、TOMASの営業地域外においては家庭教師による個別指導という形ですみ分けてきた。その結果、名門会の地域別売上構成は、首都圏が31%、それ以外が69%となっている。

家庭教師派遣教育事業セグメントを担う名門会としての成長戦略は大きく2つだ。1つは既存事業である家庭教師派遣の拠点数拡大であり、もう1つは新規事業としての個別指導塾「TOMEIKAI」の展開だ。

(1) 家庭教師派遣教育事業の進捗状況
家庭教師派遣教育事業では従来あまり出店していなかった中核市への出店を強化していく方針だ。同社は元来、大阪、名古屋に代表される政令指定都市中心に家庭教師派遣事業を展開してきたが、今後は市場性の高い中核市を吟味しながら拠点数を拡大し、収益の成長実現を図るとみられる。

2020年2月期は北関東地域の強化を打ち出しており、2020年2月期第2四半期においては5月に宇都宮、8月に水戸・高崎に、それぞれ拠点を開設した。さらに下期に入った9月にはつくば駅前校を開設した。

今後は既に拠点を設けている政令指定都市についても、大阪、名古屋といった人口・経済の規模の大きい都市では、拠点の追加開設も検討していく方針だ。

(2) TOMEIKAIの進捗状況
名門会のもう1つの成長戦略は、TOMAS事業の地方展開だ。同社本体が手掛けるTOMAS事業は営業地域を1都3県に限定し、地方については名門会が「TOMEIKAI」ブランドで展開する方針を決定している。

TOMEIKAIは、2019年2月末時点で全国に7校を展開している。2020年2月期第2四半期は新規の開校はなく7校体制が続いている。これは出店候補地の再検討や市場性の精査に時間を要しているためと弊社では推測している。

TOMEIKAI事業のポテンシャルについては、1県2校平均と考えて全国で80~90校の開校余地があると考えられる。また、医学部をターゲットに門前教室的に開校するケースを想定しても、国公立や私立大学の医学部全81校のうち75校が1都3県以外のエリアにあることに照らすと、やはり80~90校の開校余地があるとの見方が可能だ。

一方、リスク要因としては、地方の人口減少や地域経済の疲弊が予想以上のスピードで進行していることが挙げられる。前述の潜在市場規模も、半分の50校程度とみておくほうが確実という可能性もある。TOMEIKAIの開校ペースが他の事業・業態よりも緩慢なのはこうした要因も理由の1つとなっている可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 リソー教育 Research Memo(9):既存事業の家庭教師派遣事業では中核市への拠点設置に注力中