■要約

明光ネットワークジャパン<4668>は、個別指導学習塾「明光義塾」の直営・フランチャイズ(以下、FC)事業を主軸に、学童保育や医科系予備校、サッカースクール、外国人向け日本語学校など、各種教育サービスを展開する。FCの運営ノウハウに強みを持ち、M&Aや業務提携で事業領域の拡大を進めながら「人づくりのトップカンパニー」を目指している。

1. 2019年8月期業績の概要
2019年8月期の連結業績は、売上高が前期比4.5%増の19,967百万円、営業利益が同23.1%増の1,775百万円となった。主力の明光義塾事業(FC事業含む)において教室数、生徒数の減少傾向が続いたほか一部の連結子会社が苦戦したことにより、会社計画(売上高20,320百万円、営業利益1,860百万円)に対しては若干未達となったものの、前期比では2期ぶりの増収増益に転じた。売上高は明光義塾FC運営会社の連結子会社化(前期比1,126百万円増)を主因として増収となり、利益面では明光義塾事業の販促費減少(前期比459百万円減)が増益要因となった。なお、期末の明光義塾教室数は前期末比4.5%減の1,937教室、生徒数は同2.8%減の113,081人となったが、教室のスクラップ&ビルドを進めたこともあり、1教室平均生徒数は同1.8%増の58.4人と4期ぶりの増加に転じている。

2. 2020年8月期の重点戦略
2020年8月期の重点戦略として、1)FC事業の戦略的展開、2)明光義塾事業の再構築、3)既存事業の拡大、強化、4)新規事業の創出、の4点を掲げている。FC事業の戦略的展開では、業務提携により同業のスプリックス<7030>が展開する個別指導塾「自立学習RED」、並びに(株)tyottoが運営する大学受験専門の個別指導塾「tyotto(ちょっと)塾」のFC展開を進めていく予定となっている。特色の異なる学習塾ブランドを同社のFC運営ノウハウをベースに複数展開していくことで、多様な顧客ニーズを取り込んでいく戦略だ。一方、明光義塾については2020年8月期も教室のスクラップ&ビルドを継続していくと同時に、ICTの活用等による授業品質・サービスレベルの向上、地域ごとのマーケティング戦略等の強化によって、生徒数の減少に歯止めをかけ、1生徒当たり売上アップに取り組みながら収益力を強化していく方針だ。また、既存事業ではキッズ事業(学童保育)や英語教育事業の強化を進め、新規事業では外国人労働者を雇用する企業向けに日本語及びビジネスマナー等のオンライン学習サービスの提供を開始する。

3. 2020年8月期の業績見通し
2020年8月期の連結業績は、売上高で前期比5.2%増の21,000百万円、営業利益で同11.6%減の1,570百万円と増収減益を見込む。売上増の内訳は、2019年8月期第3四半期から子会社化した(株)ケイ・エム・ジーコーポレーション(以下、KMG)の通年寄与で5.4億円、同社単体で4.5憶円(明光義塾事業2.0億円、キッズ事業1.2億円、早稲田アカデミー個別進学館事業0.6億円等)、その他子会社で0.4億円となる。一方、営業利益は増収効果で2.0億円の増益要因となるものの、戦略的投資費用4.0億円(明光義塾事業の情報システム・ICTコンテンツ開発費1.5億円、英語事業関連投資1.5億円、新規学習塾の事業開発費用1.0億円)を投下することが減益要因となる。戦略的投資により成長基盤を固め、2021年8月期以降の成長を実現していく考えだ。

4. 株主還元策について
株主還元を積極的に実施していく方針に変わりない。2020年8月期の1株当たり配当金は30.0円 (配当性向94.8%)と前期比横ばいを維持し、今後も配当性向の水準は80%を目安に実施していく方針となっている。株主優待についても従来と変わらず、8月末の株主に対して保有株数、継続保有期間によって1,000~5,000円相当のQUOカードを贈呈する。株主優待も含めた単元当たりの投資利回りは、現在の株価水準(10月25日時点で947円)で4~6%の水準となる。

■Key Points
・2019年8月期はM&A効果や販促費の減少により2期振りの増収増益に転じる
・積極的な業務提携により教育サービスのラインナップを拡充し、成長基盤構築に取り組む
・株主還元については今後も積極的に行っていく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 明光ネット Research Memo(1):学習塾の複数ブランド展開や英語教育サービス、外国人向け支援などに注力