■会社概要

2. 事業概要
ビューティ花壇<3041>の事業は、葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等を提供する「生花祭壇事業」、子会社で展開する生花祭壇部門の仕入れ及び葬儀関連会社や小売店へ生花を販売する「生花卸売事業」を中心として、同じく、子会社で展開する「ブライダル装花事業」、「その他の事業(システム開発事業等)」などで構成されている。

(1) 「生花祭壇事業」
「生花祭壇事業」は、売上高の59.9%を占める(2018年6月期)。葬儀関連会社に対して、生花祭壇や供花等の制作から、その設営までを含めたサービスの提供を行っている。営業拠点は、東京本部を始め、5支店(仙台、長野、大阪、高松、福岡)、9営業所(仙南、成田、柏、葛飾、朝霞、川崎、海老名、甲府、筑後)と全国に展開。特に、ここ数年の動きを見ると、2016年9月に成長が期待でき、物流面での効率が良い成田営業所(千葉県)を開設すると、2017年10月には海老名営業所(神奈川県)を開設し、関東エリアにおける顧客へのリードタイム短縮(収益性向上)や地域シェア拡大を図ってきた。2018年に入ってからも、高松支店、筑後営業所(福岡県)、甲府営業所(山梨県)※1、柏営業所(千葉県)を相次いで開設。今後も既存拠点エリア内やその他エリアへも積極的な拠点展開を実施する方針である。生花祭壇の受注件数は年間25,398件。地域別構成比では、関東が42.7%※2と大きく、九州・沖縄が30.5%、東北14.1%、関西・四国12.8%となっている(2018年6月期連結ベース)。

※1 中巨摩営業所から甲府営業所へ呼称変更。
※2 長野支店は関東に含めて表示。


(2) 「生花卸売事業」
「生花卸売事業」は、売上高の25.2%を構成しているが、社内売上分(生花祭壇、ブライダル装花事業向け売上高)を含めた売上高構成比で見ると34.5%と高くなる(2018年6月期)。中間業者や卸売市場、仲卸市場、仲卸・小売業者など複数の段階を経ずに、国内外の生産者から直接仕入れる独自の調達ルートにより、自社の「生花祭壇事業」や「ブライダル装花事業」を含め、全国の葬儀関連会社や生花小売店へ卸販売している。

また、2013年10月に子会社化したマイ・サクセスとのシナジー創出による原価低減にも注力しており、生花輸入業務の移管及び一本化することによるボリュームディスカウント(通関コスト等)の享受のほか、産地との交渉力向上や販売チャネルの拡充などで連携強化を進めている※。シナジー創出を追求する過程において、抜本的な物流改革に向けた事業再編(取引先との取引内容の見直し等)に着手したことから業績は一旦縮小する形となったが、足元ではその取り組みが一巡したことにより回復へ向かっている。今後は、フューネラル主要品目の取扱いを拡大する方針であり、新たな商材の開発や顧客の予算に合わせた商品設計を進める一方、産地開拓(東南アジア、南米等)にも取り組んでいる。

※同事業は、2016年7月1日よりマイ・サクセスへ承継(集約)している。


(3) 「ブライダル装花事業」
「ブライダル装花事業」は、売上高の7.3%を構成する(2018年6月期)。主に結婚式場(ホテルや専門式場のほか、ゲストハウスやレストランウェディングを含む)に対して、卓上花やブーケ等の婚礼における生花商品を制作し、その設営までを含めたサービスの提供を行っており、子会社のOneFlowerが展開している。熊本県を中心とした九州エリア、東京都を中心とした関東エリアを主要基盤としているが、2013年1月には事業譲受けによる拠点の新設(兵庫県芦屋市・栃木県小山市)を行い、事業拡大を図った。さらには、東京都江東区(豊洲ワークスタジオ)や神奈川県横須賀市の葉山エリアに営業拠点を開設している。今後も、各エリアの同社グループ拠点をベースとしたエリア展開を目指しており、特に市場規模が大きく、かつ成長の期待できる大都市圏(東京・関西・福岡エリア)に注力する方針である。

(4) 「その他の事業」
「その他の事業」は、2012年4月に子会社化したSHFが展開するシステム開発や、2012年12月に設立した(株)セレモニーサービスによる冠婚葬祭コンサルタント事業、2015年6月に子会社化したキャリアライフサポートによる就労継続支援事業のほか、不動産管理などで構成される。なお、SHFは葬儀関連会社に対する基幹システムの提供を行うとともに、名札書きシステム及びモバイル端末を用いた電子カタログや簡易見積りシステム、建築業者向けCADシステムなどの開発を行っている。


低価格戦略により「業界のコストリーダー」としてのポジショニングを確立
3. 企業特長
(1) 差別化と価格競争力
同社の特長は、技術難易度の高いデザイン性による差別化に加え、独自の調達ルートやスケールメリット、業務効率化を通じた価格競争力にある。特に、低価格戦略により「業界のコストリーダー」としてのポジショニングを確立してきたことは、環境変化への対応や今後の事業拡大に向けて大きな強みとなっている。同社は、従来の流通ルートである中間業者や卸売市場、仲卸市場、仲卸・小売業者などの複数の段階を経ずに、国内外の生産者からの直接調達ルートを確保することで、安価でスピーディな仕入れを可能としている。また、コスト削減のための海外調達に積極的に取り組むとともに、全国の相場動向※を把握することにより、その時々の最適な仕入れを通じて価格メリットを享受できる体制も構築している。今後も、生産から加工、販売の統合によるサプライチェーンの構築(事業の六次化を含む)や大量物流の実現によるスケールメリットの追求、効率的な業務プロセスの確立(物流網の構築や各業務の集約など)により更なる低コスト化にも取り組む。

※同じ規格であっても、それぞれの地域の需給バランスによって価格が異なる。


(2) M&Aによる水平展開
同社は、M&Aを軸とした周辺事業への水平展開により、規模拡大とシナジー創出(大量物流の実現、顧客基盤や人材等の相互活用など)にも注力している。まだ、十分な成果を発揮できているとは言えないが、逆に今後の伸びしろとして、その進捗状況に注目すべきである。

2007年5月に参入した「ブライダル装花事業」は、「生花祭壇事業」と繁忙期が重ならないため、スタッフや車両、設備などの経営資源をうまく融通し合うことで営業経費の削減を図ることができる。2012年9月から、熊本支店の生花祭壇事業を会社分割し、子会社のOneFlowerへ承継させ、葬儀とブライダルの統合によるシナジー創出に取り組み始めた。将来的には、各支店でも順次、同様の体制へと移行する構想を描いている。

2012年4月に子会社化したソフトウェア開発会社のSHFは、モバイル端末ツール(葬祭カタログに簡易見積りソフトを搭載)に、同社の祭壇や供花を組み込んで、全国の葬儀関連会社への売り込みを図るほか、葬儀関連会社向けに各種業務支援システムを提供しているが、同社と顧客層が重なっていないため、クロスセルによるシナジー効果が期待される。現在のところ十分な成果を生み出しているとは言えないものの、今後に向けては顧客をシステムで囲い込むことができる点で大きな武器となる可能性が高い。

また、2015年6月に連結化した就労継続支援事業を行うキャリアライフサポートは、サプライチェーンの統合を人材面で支える役割を担う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ビ花壇 Research Memo(3):主力の「生花祭壇」の他、「生花卸売」や「ブライダル装花」を含む生花事業を展開