■インテリックス<8940>の市場動向と成長戦略

1. リノベーションマンション市場の見通し
首都圏におけるマンションの販売動向について見ると、2017年は中古マンション販売戸数が前年比0.4%増の37,329戸、新築マンションが同0.4%増の35,898戸といずれも微増となり、2年連続で中古マンションが新築マンションの供給戸数を上回った。新築マンション、中古マンションともに販売価格が上昇しているものの、需要は引き続き底堅く推移したと言える。

2018年1月−6月は新築マンションの供給戸数が前年同期比5.3%増の15,504戸と増加したこともあり、中古マンションについては同1.5%減の19,223戸とやや軟調に推移している。販売価格の上昇が続き、相対的な割安感が薄れていることも一因と見られる。新築マンションについては通年でも前年比5%強の増加になる見通しとなっており、2018年の中古マンション販売については前年比で若干のマイナスに転じる可能性がある。在庫件数について見ても増加基調が続いていることから、今後、市況軟化による中古マンション販売の収益性低下が懸念されるが、同社は収益性を重視した仕入活動を行ってきたことから長期滞留物件がほとんどないこと、また、地方拠点の拡大を進めたことで2019年5月期においては首都圏の販売比率が5割を切る見込みとなっていることから、首都圏での需要後退による収益悪化リスクは低いと弊社では見ている。

なお、中長期的にはストックが積み上がっていくことで、中古マンションの販売戸数は新築マンションの供給戸数を上回り、安定成長が続くとの見方に変わりない。全国のマンションストックは2013年時点で約603万戸、このうちリノベーションを必要とする築20年以上の物件は約半分の300万戸となっているが、2030年にはこれが577万戸と2倍弱まで拡大すると予想されているためだ。マンションの1棟建て替えには居住者の同意が必要であり、実現が容易でないことも戸別のリノベーションマンション市場の拡大を後押しする。

今後の市場拡大を見越して、リノベーションマンションを手掛ける企業も増加傾向にある。リノベーション住宅の認知度向上と流通促進を目的に2009年に発足した(一社)リノベーション住宅推進協議会の会員数(不動産、設計、ハウスメーカー、住設メーカー等)で見ると、協会発足時の117会員から2018年3月末時点では929会員と8倍に拡大した。参入企業の増加によって同社にとっては首都圏での販売件数が減少するなどマイナスの面も出ているが、地方エリアでのシェア拡大やリノベーション内装事業の拡大によって成長を目指していく考えだ。

ちなみに、2017年度の適合リノベーション住宅件数を見ると6,347件となっている。同社の2018年5月期の販売件数は1,450件だったため、現在の市場シェアは約23%の水準と見ることができる。


事業ポートフォリオ並びに販路の多様化を図ることで中長期的な成長を目指す
2. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、事業ポートフォリオ並びに販路の多様化を図ることで経営の安定性を高めながら収益を拡大していく戦略となっている。現在は、オンバランス事業であるリノヴェックスマンション事業やその他不動産販売事業が収益の柱となっているが、これらの事業は不動産市況の影響を受けやすいことや、事業を拡大していくためには有利子負債を活用しなければならず、財務面でのリスク要因となっていた。

資金効率の向上を図るため、オフバランス事業としてアセットシェアリング事業やリノベーション内装事業等の育成を進めているほか、経営の安定性を高めるためストック型ビジネスモデルも強化していく方針となっている。ストック型ビジネスとは毎月安定した収入を獲得できるビジネスであり、リースバック事業における賃貸収入やアセットシェアリング事業におけるプロパティマネジメントフィー(運営管理収入)や理事長フィーなどが挙げられる。また、資金効率を高めるために、販売チャネルについても従来のBtoBからBtoCへと拡大していく取り組みを2019年5月期より進めていく。ここ数年で様々な業界でインターネット販売が拡大しているが、不動産業界についても徐々に普及し始めており、同社もこうした販売チャネルを活用することで販売期間を従来から短縮し、資金効率を高めていく。

アセットシェアリング事業についてはリノヴェックスマンションに次ぐ収益柱に育成していく考えで、今後数年内に売上高で100億円規模まで拡大する可能性があると弊社では見ている。「アセットシェアリング」シリーズが、相続対策商品として認知され、注目度が高まれば、投資家の裾野も広がるものと考える。

また、仕入ルートについても、リースバック事業を全国に拡大していくことで強化していく。リノベーションマンション市場では従来、仕入仲介先であった大手不動産会社等も買取再売事業に参入し始めたことで、従来よりも良質な物件の仕入れが難しくなってきている。リースバック事業を展開することでストック収益を拡大するだけでなく将来の販売物件を確保する狙いがある。同事業は2017年5月期第4四半期にスタートし、2018年6月末で累計100戸を達成しているが、本格的に増え始めたのは広告宣伝等で認知が向上した2018年に入ってからとなっている。購入した物件のうち、戸建とマンションの比率は半々のようだ。事業部の人員体制も当初の4人から12人に増やしており、2019年5月期は月20戸の仕入を目標にテレビCMなどで認知度の向上を図りながら全国展開を進めていく計画となっている。差別化戦略としては、手数料の割安感を打ち出しているほか、リノベーション需要にも応えることができるといった強みも訴求していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 インテリックス Research Memo(8):首都圏の中古マンション市場は在庫増が続くなか、2018年はやや弱含み