■業績動向

1. 2017年12月期の業績概要
2017年12月期決算は、売上高が105,411百万円(前期比2.5%増)、営業利益649百万円(同38.8%減)、経常利益715百万円(同35.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益875百万円(同4.6%減)となった。主力の米穀事業において適正な利益を確保できなかったこと、食品事業で台湾工場の稼動開始がさらに遅れ追加費用が発生したことなどから前期比では営業減益となった。ただし、仙台工場の跡地、旧本社跡地、伊勢原工場跡地などの売却益(522百万円)を特別利益として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で微減益にとどまった。

セグメント別売上高は、米穀事業が89,865百万円(同5.1%増)、食品事業が3,901百万円(同37.1%減)、飼料事業が6,505百万円(同4.8%増)、鶏卵事業が5,139百万円(同5.1%増)となった。食品事業の売上高が大幅に減少しているのは、前年第2四半期までは売却した内外食品の売上高が含まれていたからである。

またセグメント別営業利益(全社分消去前)は、米穀事業が1,248百万円(同21.5%減)、食品事業が86百万円の損失(前期は38百万円の損失)、飼料事業が359百万円(前期比11.1%増)、鶏卵事業が4百万円(前期比1百万円減)となった。

(1) 米穀事業
主力の米穀事業では、米穀の総販売数量は441千トンとなり前期の418千トンから23.0千トン増加した。内訳は、国内産精米196千トン(同2.0千トン増)、外国産精米(MA米含む)132千トン(同22千トン増)、玄米113千トン(同1.0千トン減)であった。国内産精米については、コンビニエンスストアや外食チェーン向け、いわゆる中食・外食向けの販売は比較的堅調であったが、生協やGMS経由で販売される一般家庭向けの精米販売は価格が比較的高かったこともあり微増にとどまった。また、木徳神糧<2700>の外国産米の取扱いの大半を占めるミニマム・アクセス米の一般入札分の販売数量が大幅に増加した。

価格においては、平成27年産米の相対価格が13,100~13,300円(60キロ当たり)で推移したのに対し、平成28年産米は14,300~14,500円で推移した。さらに平成29年産米も15,500円以上で推移しており、このため同社の販売金額(売上高)も前期比で上昇したが、一方で仕入価格も上昇した。また、政府の方針によりかなりの国内産米が主食用から飼料用などに転用されたことなどから、価格を重視する外食チェーン向けの主食用米の確保が難航したが、家庭用と比較して外食向けは価格転嫁が難しく全体の採算が悪化、セグメント利益は大幅減益となった。

ベトナムを中心とした海外事業は順調に拡大しているものの、最近同社がジャポニカ米を契約栽培する地域で栽培が比較的容易な台湾品種の短粒種の作付けが増え、ジャポニカ米の契約面積を伸ばすことができず拡大のペースは計画をやや下回っている。今後は同社でも同短粒種の外部集荷を増やし、数量を確保する計画だ。ベトナムの連結子会社では日本式の保管設備や乾燥設備、精米設備を導入しており、他社との品質的な差別化が期待できる。

(2) 食品事業
食品事業では、鶏肉事業を行っていた子会社の内外食品の株式を2016年夏にすべて売却したことで、長い間赤字を計上していた鶏肉事業から撤退した。この結果、現在の食品事業は同社及び台湾子会社が行う米関連の加工食品、米粉製品、たんぱく質調整米(真粒米)等の製造・販売だけになっている。

鶏肉事業から撤退したことで売上高は前期比で大幅減となった。損益面でも不採算事業から撤退したことで赤字体質からは脱却しつつあるが、たんぱく質調整米の台湾工場の竣工が予定より大幅に遅れたこと、さらに稼動も計画より大きく遅れてしまい追加費用が発生した一方で、売上高の計上が遅れたことから、セグメント損益は、前期を上回る損失を計上することとなった。ただしこの特殊要因を除けば、それ以外の製品類は利益を計上しておりほぼ計画どおりであったと言える。

(3) 飼料事業
比較的順調に推移し、売上高、利益ともにほぼ前年並み(計画線)を維持した。地味ではあるが、着実に利益を計上している部門である。

(4) 鶏卵事業
鶏卵相場は前年並みに推移した中で、業務用向けの鶏卵及び鶏卵加工品(外食チェーン向け等)の販売は増加したことなどから、売上高は前期比で増加し、セグメント利益もほぼ前期並みを確保した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



<TN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 木徳神糧 Research Memo(3):17/12期は米穀事業の採算悪化、食品事業の台湾工場の稼動遅れで営業減益