14日の日経平均は3日ぶりに大幅反発。410.65円高の28550.93円(出来高概算11億5000万株)で取引を終えた。13日の米国市場において、長期金利の低下を受けたハイテク株物色の流れを引き継ぐ格好から、半導体や電子部品関連株などに買いが先行した。後場に入ると、衆院が解散され改めて政策期待が高まったほか、解散から投票日の前営業日までは株高傾向が続くとのアノマリーも意識された。短期筋が仕掛け的な225先物買いを入れ、後場寄り付き直後には、一時28576.68円まで上昇。その後はこう着ながらも、28500円水準での底堅い値動きが続いた。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄、値下がり銘柄数はほぼ拮抗していた。セクター別では、水産農林、精密機器、電気機器、その他製品、化学、サービスなど21業種が上昇。一方、海運が4%近い下げとなったほか、鉱業、石油石炭、保険、銀行、証券・商品先物など12業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、アドバンテス<6857>、ファナック<6954>、信越化<4063>が堅調だった半面、クレセゾン<8253>、三菱商<8058>、キヤノン<7751>、東ソー<4042>、商船三井<9104>が軟化した。

米消費者物価指数が市場予想と同じ結果となり、供給制約を背景にインフレ圧力が高まるとの懸念が幾分後退。米長期金利が低下すると、金利敏感なハイテク株の買い戻しにつながった。東京市場でもこの流れを映して、買いが先行して始まった。また、1ドル=113円台で推移する円安水準も投資家心理の改善につながったとみられる。一方、原油市況の上昇傾向を背景にしたコスト負担増が懸念され、海運や空運株には値を消す銘柄が目立っていた。

衆院がきょう午後、解散された。選挙アノマリーを意識した動きにひとまずはなった形だが、関係者からは「岸田首相が『勝敗ライン』と定める自民・公明の両党で過半数の議席に届かない可能性があるとの見方が出始めているほか、成長戦略に関する具体的な中身にも乏しい」との指摘が聞かれ、積極的に上値を買い上がる雰囲気にはなっていなかった。また、今月下旬からは主要企業の上半期決算の発表が始まるだけに、業績動向を確認してから動いても遅くはないとの声も聞かれた。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 米長期金利低下を受けたハイテク物色と、衆院解散で政策期待が再燃【クロージング】