15日の日経平均は大幅に続落。329.40円安の28279.09円(出来高概算9億7000万株)で取引を終えた。米国では注目されたパウエルFRB議長の議会証言において、インフレリスクに対する時期尚早の対処を警告するなど、ハト派姿勢が確認されたことからNYダウは上昇。一方で長期金利の低下から金融株が売られていたほか、ハイテクの一角もさえない流れだった。これらを受けて利食い優勢の動きから始まった日経平均は、その後もじりじりと下落幅を広げる流れとなり、前引け段階で28340円水準まで下落。その後も台湾セミコンダクター(TSMC)の決算を控えていることが神経質にさせるなか、後場も弱含みの展開が続いており、結局は本日の安値圏で取引を終えた。

東証1部の騰落銘柄は値下がり数が1800を超えており、全体の8割を占めている。セクターでは鉄鋼が唯一上昇したほかは32業種が下げており、原油先物相場の下落影響もあってか、鉱業が2%を超える下落に。その他、陸運、その他金融、電力ガス、精密機器、金属製品、医薬品などの弱さが目立った。指数インパクトの大きいところでは、アドバンテスト<6857>、コナミHD<9766>、ネクソン<3659>、ニチレイ<2871>が小じっかり。半面、ファーストリテ<9983>、ファナック<6954>、ソフトバンクG<9984>、エムスリー<2413>、中外薬<4519>、リクルートHD<6098>が軟調推移に。

日経平均は売り先行後は5日線水準での底堅い値動きが期待されていたが、同線を割り込むと、その後も引けにかけて下落幅を広げる格好であった。TSMCの決算を控えており、前回の決算後の反応では良好な内容ながらも、半導体株は利益確定の動きを強めていたこともあり、模様眺めムードが強まった。直近ではゴールドマン・サックスによる半導体株の格下げの動きも見られていただけに、より神経質にさせたようである。

もっとも本日の下落については指数インパクトの大きい値がさ株の影響はあるものの、東証1部の8割が下落しており、景気敏感株などTOPIX型の売りが影響している。新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらず、東京都の新規感染者数が1000人を超えている状況のなかでは経済活動の正常化への期待は後退していることもあり、持ち高調整の動きが強まっているようである。ただし、参加者は限られているとはいえ、決算発表が本格化してくるなかで個別には決算を評価した物色が見られており、指数は弱含むものの、センチメントはそれ程悪化していない。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 日経平均は参加者限られるなか大幅続落、個別には決算を評価した物色も【クロージング】