31日の日経平均は反発。257.11円高の23139.76円(出来高概算13億4148万株)で取引を終えた。先週末の安倍首相による辞任の意向を固めたとの報道を受けた急落から一変、次期総裁に市場の関心が向かう中、菅官房長官が有力との見方などが伝わり、現在の政策が継続するとの見方から見直しの流れが優勢となった。また、寄り付き直前に著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイの大手商社5社の株式取得が伝わり、これが支援材料となる格好からセンチメントが大きく改善している。ギャップスタートから23100円を回復して始まった日経平均は、前場半ばには23342.32円まで上げ幅を広げる場面がみられている。

東証1部の騰落銘柄は値上がり数が1600を超えており、全体の7割を占めている。セクターでは卸売の上昇率が4%を超えたほか、鉱業、空運、不動産、陸運、倉庫運輸、小売が堅調。半面、情報通信、保険が小安い。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、テルモ<4543>、アドバンテスト<6857>、エムスリー<2413>が堅調。一方でKDDI<9433>、NTT<9432>、NTTドコモ<9437>が冴えない。

次期総裁への思惑やバフェット氏による大手商社株の取得報道が材料視され、日経平均は前引けにかけての上昇で先週末の下落分を吸収した。後場はこう着感が強まり、上げ幅を縮める展開となったが、菅官房長官が有力との報道に対する初動としては、市場は好意的にみているようである。一方で携帯料金引き下げを進めていることもあり、通信株は総じて軟調だった。こちらも政治に関連した思惑的な物色であるため、持続性は見極める必要があるだろう。

また、バフェット氏による大手商社株の取得についても、保有比率を高めて行くとの発表もあることから利食いをこなしながらも押し目買い意欲が強い相場展開が期待されよう。商社株物色の流れがバリュー株へ広がりを見せてくるかを見極めたいところでもあるだろう。もっとも、先週末の下落部分を吸収したこと、その後のこう着からは売り方の買い戻しも一巡した格好である。改めて次期総裁への思惑から関連銘柄などへは個人主体の短期資金などが向かいやすいだろう。そのほか、バフェット氏による動きが米国においても見られてくるかが注目されそうである、グロース優位からバリューへのシフトが今後意識されやすくなりそうだ。



<CN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 グロース優位からバリューへのシフトを見極めたいところ【クロージング】