■NY株式:NYダウ300ドル安、回復期待後退も主要ハイテク株が下支え

米国株式相場はまちまち。ダウ平均は300.14ドル安の27272.30ドル、ナスダックは29.01ポイント高の9953.75ポイントで取引を終了した。米国の4月JOLT求人件数が2014年来で最小を記録し速やかな回復期待が後退、投資家心理の悪化で下落して寄り付いた。一方で、主要ハイテク株に買いが広がり、ナスダック総合指数は日中、節目となる1万ポイントを上回った。セクター別では、テクノロジー・ハード・機器が上昇した一方、自動車・自動車部品、エネルギーが下落した。

老舗宝石店のディファニー(TIF)は借入枠の維持で銀行団と合意し、フランスLVMHへの身売り手続きの前進が好感され上昇。携帯端末のアップル(AAPL)は自社設計チップを搭載したマックを、早ければ月内にも発表予定と報じられ過去最高値を更新しナスダック指数を押し上げた。一方、オンライン衣料品小売のスティッチフィックス(SFIX)は四半期決算で予想以上の損失を計上し下落。宝飾品小売のシグネット・ジュエラーズ(SIG)は配当支払いの取りやめと店舗閉鎖を発表し急落した。また、経済活動の再開を材料に買われてきた航空会社のユナイティッド(UAL)やデルタ航空(DAL)、カジノ経営のMGMリゾート(MGM)などには利食い売りが広がった。

オンライン中古車販売のVROOM(VRM)は9日、ナスダックに上場。IPO価格である22ドルを100%近く上回る水準まで上昇しており、パンデミック危機後に実施されたIPOは全て順調な結果となった。

Horiko Capital Management LLC


■NY為替:早期景気回復への期待低下でドル弱含み

9日のニューヨーク外為市場でドル・円は、108円19銭から107円62銭まで下落して107円74銭で引けた。米国4月JOLT求人件数が予想以上に減少し2014年以降で最小となったほか、4月卸売在庫改定値も予想外に速報値から下方修正され、経済見通しが再び悪化。米債利回りの低下に伴うドル売り、リスク回避に連れた円買いが優勢となった。

ユーロ・ドルは1.1280ドルから1.1364ドルまで上昇して1.1337ドルで引けた。ユーロ圏1-3月期GDP確定値が予想外に上方修正され、ユーロ買いが優勢となった。ユーロ・円は121円86銭から122円51銭まで上昇。ポンド・ドルは1.2650ドルから1.2746ドルまで上昇した。ドル・スイスは0.9545フランから0.9483フランまで下落した。


■NY原油:反発で38.94ドル、原油供給の増大を巡る懸念は多少緩和される

NY原油先物7月限は反発(NYMEX原油7月限終値:38.94 ↑0.75)。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は、前営業日比+0.75ドルの1バレル=38.94ドルで取引を終えた。取引レンジは37.07ドル−39.10ドル。9日の欧州市場で37.07ドルまで売られたが、原油供給の増大を巡る懸念は多少緩和されたことから、押し目買いが入った。時間外取引で39.10ドルまで戻したが、米国株式の動向を意識して原油先物の上げ幅はやや縮小した。


■主要米国企業の終値

銘柄名⇒終値⇒前日比(騰落率)

バンクオブアメリカ(BAC)  28.22ドル   -0.32ドル(-1.12%)
モルガン・スタンレー(MS) 50.40ドル   +0.25ドル(+0.50%)
ゴールドマン・サックス(GS)218.10ドル  -2.71ドル(-1.23%)
インテル(INTC)        63.04ドル   -0.63ドル(-0.99%)
アップル(AAPL)        343.99ドル  +10.53ドル(+3.16%)
アルファベット(GOOG)    1456.16ドル +9.55ドル(+0.66%)
フェイスブック(FB)     238.67ドル  +7.27ドル(+3.14%)
キャタピラー(CAT)      134.19ドル  -3.53ドル(-2.56%)
アルコア(AA)         12.59ドル   -0.39ドル(-3.00%)
ウォルマート(WMT)      121.35ドル  +0.11ドル(+0.09%)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 9日の米国市場ダイジェスト:NYダウ300ドル安、回復期待後退も主要ハイテク株が下支え