10日の日経平均は反発。95.60円高の21551.98円(出来高概算10億6000万株)で取引を終えた。9日の米国市場では米中閣僚級協議の進展期待から反発をみせていたが、寄り付き前に「貿易協議で進展がない」との香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト報道が嫌気され、日経平均は寄り付き直後に21308.88円まで下落する局面もみられた。

しかし、「中国の劉鶴副首相は米中閣僚級協議のため11日までワシントンに滞在する」との報道や「トランプ政権、ファーウェイへの製品供給を一部許可」といった報道の中、ショートカバーが強まる格好となり、前場半ばには21601.46円まで切り返す局面もみられた。ただし、カバー一巡後は、21500円を挟んでのこう着感の強い相場展開が続いた。

東証1部の騰落銘柄は値下がり数が1400を超えて、全体の6割を占めている。セクターでは、海運、証券、化学、ガラス土石、鉄鋼、小売が堅調。半面、保険、その他製品、サービス、精密機器、電力ガス、不動産が冴えない。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、信越化<4063>、ファミリーマート<8028>、KDDI<9433>、アドバンテスト<6857>がけん引。一方でバンナムHD<7832>、第一三共<4568>、資生堂<4911>が冴えなかった。

朝方は米中報道に振らされる格好となったが、日経平均は結局のところ、25日線と75日線とのレンジ内でのこう着だった。朝方の売り仕掛け的な売買についても、前場半ばにはショートカバーが一巡しており、仕掛けづらい相場展開といったところであろう。セクターについても、外部環境の影響というよりも、リバランス中心であり、米中閣僚級協議の落ち着き処を見極めたい状況であろう。

基本的には大きな進展は期待できず、米中貿易摩擦は長期化するとの見方が大勢。その中で暫定的な合意につなげ、米国による15日からの関税引き上げを先送りするといった流れがベストシナリオといったところである。15日からの関税引き上げが実施されるようだと、先行き不安がより高まる可能性があるため、引き続き積極的な売買は手控えられそうである。決算など個別に材料が出ている銘柄への短期的な値幅取り狙いのほか、需給状況が良好な銘柄などの個別対応が中心になろう。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 決算など個別に材料が出ている銘柄への短期的な値幅取り狙い【クロージング】