10日の日経平均は反落。115.02円安の21687.57円(出来高概算11億2000万株)で取引を終えた。トランプ政権が、欧州連合(EU)による航空機大手エアバスに対する補助金を巡る対抗措置として、関税措置を検討していることが報じられ、米欧の貿易摩擦が強まるとの懸念のほか、国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済の成長見通しをこれまでの年率3.5%から3.3%に引き下げたことが嫌気された。ただし、積極的な市場参加者が限られており、売り一巡後は日銀のETF買い入れ観測もあって下げ渋る展開となった。結果的には寄り付き直後に付けた21571.67円を安値に下げ幅を縮めており、大引けの21687.57円が今日の高値となっている。

東証1部の騰落銘柄は値下がり数が1500を超えており、全体の7割を占めている。セクターでは33業種全てが下げており、石油石炭の下落率が2%を超えたほか、鉱業、建設、その他金融、電気機器、パルプ紙の弱さが目立った。半面、下落率の小さいところでは、小売、海運、精密機器、保険となった。指数インパクトの大きいところでは、京セラ<6971>、KDDI<9433>、TDK<6762>、東エレク<8035>が軟調。一方で、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>が下支え。

日経平均は売り先行後は下げ渋る格好となり、底堅い値動きが意識されていた。米欧の貿易摩擦への懸念は不透明要因とはなる。一方で英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、EUは10日に臨時首脳会議を開き、メイ英首相が要請する離脱交渉の延長を審議する。メイ首相は6月30日までの延長を求めているが、これが認められるようだと日本の10連休中の波乱警戒が和らぐ格好となり、買い戻し等から底堅さが意識されてこよう。米中通商協議については、引き続き先行きの進展期待から、売られる材料にはなり難いところである。

引き続き外部環境の影響を受けやすく、薄商いの中をインデックス売買に振らされやすい需給状況が続きやすい。本日は底堅さが意識されたものの、明日続落となるようだと、短期筋のセンチメントにも影響を与えやすくなり、足元で活発な材料株物色についても、手控えムードが高まる可能性がある。まずは日経平均の25日線キープが前提となる一方で、5日線を早期に回復してくるようだと、再び200日線を意識したトレンド形成が期待されてくるだろう。



<CN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 米欧貿易摩擦懸念も心理的には底堅い【クロージング】