以下は、フィスコソーシャルレポーターの仮想通貨分析者のべーすけ氏(Twitter「@SatoshiVisioner」)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

--------

※2019年8月4日18時に執筆

2018年から2019年までの仮想通貨全体の低調な価格推移で投資家達の中にはボラティリティの高さやハッキング被害等により仮想通貨投資から撤退した人も多いのではないだろうか?
2019年の春先よりBTC価格は底打ちし、30万円中頃から約145万円まで価格を戻した。(価格参考:フィスコ仮想通貨取引所)
2020年5月頃にBTCは半減期(マイナーに対するマイニング報酬額が半減する、つまりは新規発行量のスピードも半減するタイミング)を迎える予定となっており、マイナーによる売却が減ることでさらなる価格上昇が期待されている。

しかし、現実は甘くなくBTCには複数の問題が待ち構えている。
一つは半減期によるマイナーのハッシュ(計算力)不足だ。PoW(プルーフ・オブ・ワーク、マイニングにおける計算によって取引を証明する仕組みのことを指す)の仕組み上マイナーによりブロックチェーンのセキュリティが担保されており、そのマイナーにおいては送金時に支払われた手数料とマイニング時の報酬が運営の土台となっている。次の半減期(2020年頃と予想される)によりマイニング報酬は12.5BTCから6.25BTCへと減少する。半減期により手数料収入を考慮したとしても約5割の収入を失うことになる。半減期時に上手くBTC価格が高止まりすれば収入の不足を補うことができるが、そうならなかった場合にはブロックチェーンのセキュリティが維持できなくなるかもしれない。開発者の間でも、問題解決の為にマイニング報酬の半減期を遅らせる案や、ブロックサイズを拡張して手数料収入を増加させる案などが議論されているようだ。

二つ目は自身がビットコインの発明者、サトシ・ナカモトと主張するクレイグ・ライト博士(以下:Dr.CSW)が2020年末までに保有する82.1万枚のBTCとBCHを売却すると宣言していることだ。この保有に関して証明等はされていないが、Dr.CSWの話では2020年1月にタイムロックしていたBTCとBCHは自由に送金等ができるようになるらしく、実際に送金等が行われるようであればそれが保有証明になる。そして売却して得た資金は慈善事業への寄付や開発等に利用するとのことである。売却前に宣言した理由は大量保有者であり、法を重んじるためだと主張している。2018年のBTC価格低迷時に、Mt.Goxによりそれぞれ約2.5万枚のBTCとBCHが売却されたことが価格低迷の原因になったのではないかと主張する説があったが、もしもDr.CSWの売却予定が事実とすると2020年にはMt.Goxが売却した32倍ものBTCとBCHが短期的に市場に供給される可能性があるためさらなる価格低迷が起こる可能性がある。2019年の相場高騰時に出遅れてしまった方々には安くBTCとBCHを購入するチャンスではないだろうか?

三つ目はAMLD5(第5次マネーロンダリング指令、2020年1月20日までにEUで法整備が行われる予定)だ。これは銀行業務と同等のマネー・ロンダリング規制を仮想通貨の交換事業者に課す規制で、多くの取引所が対応出来ず廃業に追い込まれるのではないかとのことである。取引所の廃業によりBTCの流動性が不安定になり価格下落要因となるかもしれない。

複数の問題があるものの、保有者の分散や法規制は金融商品になる為に必要な通過儀礼のようなものなので、開発者や業界関係者の対応にも気を配り投資をされることをおすすめする。
----
執筆者名:べーすけ
twitter名:@SatoshiVisioner




<US>

情報提供元: FISCO
記事名:「 べーすけ:BTCに待ち受ける2020年問題【FISCOソーシャルレポーター】