米国はゴルディロックス経済色をより強めている。米国の4月貿易赤字は予想外に縮小し、7カ月ぶり最小となり国内総生産(GDP)で4%成長の達成も可能だとの意見もでている。また、労働市場も堅調だ。米国労働省が発表した最新4月JOLT求人件数は669.8万件と過去最高を記録。2000年に統計開始後、はじめて求人数が失業者数を上回った。

失業率が1970年以降の低水準である3.8%で推移するほどの雇用が安定した結果だ。イエレン前議長が労働者の労働市場への自信をあらわすとして注目していた同指数の退職率(quit rate)は2.3%で、金融危機前の2.1%を回復しただけでなく上回った。ただ、求人数の増加にもかかわらず、思ったほど、労働者が転職している傾向は見られない。

転職動向を判断する上で、JOLT指数のhire rate(3.8%) とseparations(3.6%)を足したもの「churn」に注目されるが4月のchurnは7.4%だった。2009年の5.9%を上回った。しかし、金融危機前2006年の8%には依然、及ばなかった。2006年時の失業率は4.6%で、現在の水準を上回る。

転職が活発に行われていない理由のひとつには、高齢化が挙げられる。高年齢労働者は転職に消極的になる。また、ミニ恐慌を経験し、労働者は依然、職を失うことに脅威を感じているとも考えられる。企業は労働不足を補うために、賃金の引き上げを強いられる。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米国の求人件数、失業者数を上回る