米国トランプ政権は税制改革案を発表した。コーンNEC国家経済会議(NEC)委員長とムニューシン米財務長官は会見で、税制改革案の指針を発表。就任100日目を目前に、トランプ米大統領がしびれを切らし先週行われたインタビューで、26日の改革案発表を公約。これを受けて、経済チームが税制改革案の発表を強いられた形となった。


◎改革案の概要


■税制改革の目標
*経済成長や雇用の創出
*税法の簡略化
*中間曽を対象にした税制控除を供給
*世界的にも最高となっている法人税率を引き下げ、最低水準へ


■個人税改革
*中間曽を対象にした税制控除
*税率区分7層から3層(10%、25%、35%)に簡略化」
*育児費用に対する税控除扶養家族養育費税額控除
*簡略化
*富裕層向けの控除を排除
*自宅保有、チャリティーなどの控除は維持
*代替最小税額を廃止、年収24000ドル以下の税率は0
*相続税の廃止
*オバマケア税を廃止

■法人向け
*法人税率15%(現行35%)

概要では税制改革の目標が成長や雇用を加速させることとした。年内の成立を目指す。ムニューシン米財務長官は依然、議会が夏季休暇入りする前8月にも成立させたい考えをあらためて示した。法人税を現行の35%から15%へ引き下げるほか、税率区分7層から3層に簡略化する。個人の税率では税率区分を現行7層から3層(10%、25%、35%)に簡略化。最高を35%に設定する。また、3.8%のオバマケア税、遺産税を廃止するほか、州、ローカル税控除を廃止する。

「国境税」の導入は見送った。ムニューシン米財務長官は一度限りのオフショア税の導入に言及、「レパトリ(海外の利益送還)の税率は非常に競争力の高いものになるとするにとどまった。また、財源に関しての具体策も提示されなかった。どの所得層がどれだけ減税になるかや、減税の穴を埋める財源をどうするかなど詳細の公表は5月以降に先送りした。

財源確保の手段としては、国境税の導入、一部税制控除の排除、もっとも可能性があるのはオバマケアの撤廃で低所得者を対象とした大幅な控除が廃止されることにより生まれる資金を減税にあてることが挙げられる。国教税の導入も完全に除外されたわけではない。税制改革と同時に、引き続きヘルスケア2.0の成立に向けた努力が進められている。このため、トランプ大統領の計画通り、財源確保のためにもヘルスケア2.0を先に成立させる可能性が強いと見られている。税制改革は第1歩を踏み出したことは好感材料となる。しかし、成立までの道のりはまだ遠そうだ。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米税制改革案、第1歩も成立まで道のり遠く