報道によると、岩田副総裁は31日、「再任はされないと確信している」と述べたそうです。岩田副総裁の任期は今年3月19日までとなりますが、本人がここまで言うからには、再任はないということでしょう。もう一人の副総裁である中曽氏の任期も今年3月19日までとなっています。中曽氏は日銀金融市場局長から日銀理事となり、2013年3月に副総裁に就任されています。副総裁を2期続けることはないとみられており、中曽氏も任期満了で退任する方向だと思われます。

 2名の副総裁が同時に退任し、日銀総裁まで交代すると金融政策も大きく変わっていくとの思惑が広がっても不思議ではありませんが、黒田総裁が続投することでそうした思惑は払拭されそうです。

 黒田日銀総裁は31日に開かれた参院予算委員会に出席し、民進党の小川敏夫議員の質問に対して「金融緩和を続けで2%達成することが日銀の使命である」と述べました。黒田総裁は「賃金、物価の上がり方が鈍いのは事実」と述べていますが、「経済は極めて順調に成長している」、「価格引き上げ広がり、中長期的に物価上昇率も上昇」、「中長期的な予想物価上昇率は着実に上昇する」などの見解を表明しました。

 黒田総裁は「現行の金融緩和策は有効に機能しており、この状態を今後も維持することで2%の物価目標はいずれ達成される」と自己評価しているかもしれませんが、市場はすでに物価目標達成後の金融政策のあり方を模索し、日銀に対して何らかの回答を求めています。黒田総裁の続投の有無に関係なく、市場のこの問いかけに対して果断に対応することが次期日銀総裁の重大な責務になりそうです。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 黒田日銀総裁の続投が予想されているが・・・