株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内人材ビジネス市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2022年度の人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比7.8%増の9兆2,355億円であった。内訳は、人材派遣業市場が8兆8,600億円(前年度比7.6%増)、ホワイトカラー職種の人材紹介業市場が3,510億円(同18.6%増)、再就職支援業市場が245億円(同23.7%減)となった。

人材派遣業市場は、前年度に続いてあらゆる業界・業種において人材需要の高まりが継続し、堅調な推移となった。業務別では、ITエンジニアなどのIT関連職種に対する需要の高まりが顕著であるほか、就業者数が多い一般事務職に対する需要も安定している。

ホワイトカラー職種の人材紹介業市場についても、コロナ禍で停滞した経済活動を正常化しようとする前年度からの社会背景に伴い、採用需要が高まったことで順調に市場が拡大した。飲食業や旅行業などコロナ禍による影響が大きかった一部の業界では人材需要の回復が遅れたものの、市場全体でみるとサービス需要は回復を続け、市場規模はコロナ禍以前の2019年度を上回る規模となった。

再就職支援業市場は、コロナ禍で停滞していた経済活動において回復を目指す動きが引き続きみられることや、不安定さが増す海外情勢による先行き不透明感などを鑑みて、人員構成の見直しや組織改革の実施を見送る企業が増加し、市場規模は大幅に縮小した。

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2.注目トピック~地方エリアの人材派遣事業者が展開する“独自の案件獲得施策”~

各地域で人材派遣業を展開している地場大手・中堅・中小事業者は、古くからその地域に特化してビジネスを展開してきた経緯から、地元の企業を中心に強固な信頼関係を築いている。そうした地方エリアの人材派遣事業者は、ネームバリューを持つ大手事業者と競合する機会も多いが、独自の案件獲得施策を展開することで安定した事業基盤を築いている。

例えば、地元企業に対して直接営業を行うだけでなく周辺自治体などの公的機関や近隣の金融機関などとのコネクションを強固にすることで、人材不足に悩む企業の紹介を受けて新規受注につなげているケースがある。また、周辺地域に競合が少ない業界や職種に特化した人材派遣業を展開することで、地域内の需要を取り込めるポジションを確立している事業者もあった。

地方エリアの人材派遣事業者は、営業人員数の増強や新たな事業領域へと進出することで顧客開拓を進める大手事業者とは異なる事業戦略で、人材派遣業市場の成長を支えている。

3.将来展望

2023年度の人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比7.3%増の9兆9,107億円の見込みである。2023年度においても、業界・業種や従業員規模に関わらず多くの企業で人手不足は続き、人材採用(リソースの確保)を目的として利用される人材関連サービスに対する需要は高まっていくとみる。

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調査要綱
1.調査期間: 2023年6月~9月
2.調査対象: オフィスワークを中心とした人材派遣事業者、ホワイトカラー職種の人材紹介事業者、再就職支援事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、郵送によるアンケート、電話・e-mailによるヒアリング、文献調査併用
4.発刊日: 2023年09月27日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】人材ビジネス市場に関する調査を実施(2023年)~2022年度の人材関連ビジネス主要3業界市場は前年度比7.8%増の9兆2,355億円~