日本出版販売株式会社(代表取締役社長:奥村 景二、略称:日販)は、2021年12月1日に「2021年 年間ベストセラー」(集計期間=2020年11月24日~2021年11月21日)を発表しました。

■ランキングの詳細は、下記からご覧ください。
https://www.nippan.co.jp/ranking/annual/


■全体の傾向
2021年の年間ベストセラーは、第1位に『人は話し方が9割』、第2位に『スマホ脳』が選ばれた。ライフスタイルの変化へ適応するために、不安や問題に向き合っていることを連想させる作品のランクインが全体の傾向として見てとれた。
2021年は昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症が社会全体に大きな変化を与えた1年であり、社会環境の変化による自身の生活への影響や対処法について関心が高まったと考えられる。

■ジャンル別の傾向
【総合】『人は話し方が9割』が1番売れた本に!社会環境の変化に関心が集まった2021年!
人に好かれる話し方のコツを説いた『人は話し方が9割』が第1位となった。対面コミュニケーションの減少、職場のみならず友人・家族とのコミュニケーション不足が不安視される中で、その解決に向けての行動に注目が集まったことがうかがえる。累計発行部数は85万部にのぼる。第9位にも『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』がランクインし、コミュニケーションへの関心が高いといえる。
スマートフォンがもたらす人間の脳への影響を説いた『スマホ脳』が第2位。自粛期間におけるスマートフォンとの接触時間の増加や社会全体のデジタル化により、デジタルツールとの付き合い方に多くの人々の関心が集まった。
アイドルを“推す”ことが生きがいの女子高生が主人公の小説『推し、燃ゆ』が第3位。同作の著者・宇佐見りんは、史上3番目の若さで第164回芥川賞を受賞し大きな話題となった。20位以内にランクインしたフィクション作品は、昨年が1点だったのに対して今年は3点と、小説人気の再燃がうかがえる。
実業家の西村博之(ひろゆき)が「頭のいい生き方」について述べた『1%の努力』が第11位。その人生観に多くの共感が集まったと考えられる。人類の経済活動が地球を破壊する“人新世”について警鐘を鳴らした『人新世の「資本論」』が第12位となった。
大きく変化する社会や生活様式に対して、自身の生活・生き方を立ち止まって振り返る人が増えたと見てとれる。

【単行本フィクション】『推し、燃ゆ』が堂々のトップに!東野圭吾作品が多数ランクイン!
宇佐見りん『推し、燃ゆ』が上半期に続き、累計発行部数が52万部を超え、年間でも第1位を飾った。史上最年少での三島由紀夫賞受賞、史上3番目の若さでの芥川賞受賞と、恐るべき若き才能は次にどんな旋風を巻き起こすのか、今後の作品にも注目していきたい。その若い力に対するは、日本小説界を牽引しつづける、東野圭吾。ガリレオシリーズ第10弾の『透明な螺旋』、『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』、『白鳥とコウモリ』と、3作品ランクインの快挙で、その実力を見せつけた。ホラー作家・雨穴の『変な家』が第6位にランクイン。YouTubeで900万回以上再生された不動産ミステリーに書き下ろしを加えたのが同書。YouTubeコンテンツから派生した異色の小説もランキングを盛り上げた。

【単行本実用】TV番組で話題沸騰!『星ひとみの天星術』が第1位!総合でも第4位に!
2020年12月の発売以降、安定した売れ行きをキープし累計発行部数が41万部となった『星ひとみの天星術』が第1位。同著者の『幸せ上手さん習慣』も第6位に入り、2021年を象徴する「顔」となった。第2位の『鬼滅の刃塗絵帳』は今回ランクインした蒼・紅に続き、2021年10月に橙・藍も発売となり、再び売場を盛り上げている。お金・料理・健康といったテーマが多数ランクインする中、今年らしさを反映しているのは第8位の『すごすぎる天気の図鑑』。著者の荒木健太郎は、気象予報士を目指す女性が主人公のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」への気象資料提供、TV番組「情熱大陸」への出演などで注目を集めた。天気という身近な題材で子どもから大人まで楽しめる内容が、遠出ができない日々にマッチした。

【単行本ビジネス】コロナ禍の環境変化への懸念がランキングに影響か
『人は話し方が 9 割』が第1位を獲得。『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』が第 3 位にランクイン。コロナ禍において対面コミュニケーションの減少を問題視する人が多いとみられる。また、自己資産形成や自学などへの関心が集まり、『本当の自由を手に入れる お金の大学』、『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』などがランクイン。さらにAbemaTVやYouTubeで話題を生み続けた、西村博之(ひろゆき)の『1%の努力』が大幅に躍進した。

【新書フィクション】JUMP j BOOKSがTOP5を独占
雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載中の人気作品「呪術廻戦」や、「鬼滅の刃」を原作とするJUMP j BOOKSが売上TOP5を独占。第1位は『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』、第2位は『呪術廻戦 夜明けのいばら道』と「呪術廻戦」シリーズの人気が高く、原作コミックスは2021年12月に映画化も控えている。昨年から人気の「鬼滅の刃」シリーズも、映画ノベライズ本も含めてTOP10に全4作品がランクインした。

【新書ノンフィクション】世界的ベストセラー『スマホ脳』が第1位
スマホが脳に与える影響について警鐘を鳴らした世界的ベストセラー『スマホ脳』が、日本でも累計発行部数55万部と新書ノンフィクション部門堂々の第1位となった。第2位は現在の資本主義体制の再考を訴える『人新世の「資本論」』、第3位は『現代語訳 論語と算盤』。日本の資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一の作品で、彼の半生がNHK大河ドラマ化されたこともあり、上位に入る結果となった。

【文庫】今秋映画化で話題の『そして、バトンは渡された』が第1位
第1位は、瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』。2019年に本屋大賞を受賞し、2021年10月に映画化で話題となり、累計発行部数は78万部を超えている。第2位は東野圭吾『沈黙のパレード』、東野圭吾作品は『魔力の胎動』『マスカレード・ナイト』を含めて計3作品がTOP10内に入り、人気作家ぶりを発揮した。2020年に米国で最も権威のある文学賞の一つである全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞した『JR上野駅公園口』が第3位となった。

【児童書】パンどろぼう、おしりたんてい、銭天堂など人気シリーズが上位に
第1位は『パンどろぼう』。2020年4月にシリーズ第1作にあたる同書が発売され、「第11回リブロ絵本大賞」「第1回TSUTAYAえほん大賞」をダブル受賞したことをきっかけに売上を伸ばした。第2位は『おしりたんてい おしりたんていの こい!?』。幼児から小学生を中心に大きな人気を得ている。2021年8月の映画公開も追い風となり、その勢いは衰え知らずとなっている。第3・5位は『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』。2013年から刊行されているシリーズだが、2020年9月のアニメ化をきっかけに、その人気に火が付いた。また、『なぜ僕らは働くのか』も堅調で、コロナ禍で大人と子どもが一緒に考えて読む、学習系児童読み物も人気を集めている。

【写真集】日向坂46・小坂菜緒が第1位に!日向坂46がTOP3を独占!
アイドルグループ日向坂46 のメンバー・小坂菜緒の『君は誰?』が第1 位を飾った。第2位は同グループのオフショット写真集『日向撮VOL.01』、第3位も同メンバーの齊藤京子『とっておきの恋人』がランクインし、日向坂46 が上位を独占した。第4位の田村保乃『一歩目』は欅坂46から櫻坂46への改名後、グループ初のソロ写真集。乃木坂46からは卒業記念写真集が3点ランクインし、坂道シリーズで計7点と、その人気が際立つランキングとなった。

【コミック】「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「東京卍リベンジャーズ」など少年コミックの人気が沸騰
2020年12月に発売された「鬼滅の刃」最終巻が根強い人気で第1位となった。2021年10月にTVアニメ「無限列車編」の放送が開始され、さらに12月からは「遊郭編」の放送が予定されており、まだまだブームは続いている。第10位にランクインした「東京卍リベンジャーズ」は2021年4月のアニメ放送開始を機に、大ヒットとなった。アニメ放送は10月に終了したが、「週刊少年マガジン」での連載は継続中。今後の展開に注目が集まっている。


■日本出版販売は書籍・雑誌の流通を担う業界売上第1位の出版販売会社(出版取次)です。
■弊社ベストセラー情報は、約3,000軒の書店様のPOS販売データを基に、全国の書店様での販売状況を総合的に勘案して作成しております。
■集計期間は2020年11月24日~2021年11月21日です。

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情報提供元: Dream News
記事名:「 日販調べ「2021年 年間ベストセラー」 総合第1位は『人は話し方が9割』(すばる舎)