国際協力活動は、「オンチップ加速器」の実動プロトタイプの実証を目指す




米カリフォルニア州パロアルト--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --
ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団は、スタンフォード大学とその国際的パートナーに1350万ドルを助成しました。「オンチップ加速器(accelerator-on-a-chip)」と呼ばれる革新的な加速器の設計を採用して、拡張性のある完全実動プロトタイプにまでこぎつけることが目的です。このレーザー駆動粒子加速器は、物理学界また科学全体に大きな影響を与える可能性があります。新たな粒子/光子源として、これまでより構築コストが低く、現状のインフラの難題に対応するとともに、科学界での利用を拡大する発生源となり得るからです。





この国際協力活動では、実動プロトタイプの加速器を実証します。その基礎となる実験は本プロジェクトの主任研究者2人により発表されており、1つはスタンフォード大学のロバート・バイエル博士がネイチャーに発表した実験、もう1つはフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのPeter
Hommelhoff 博士がフィジカル・レビュー・レターズに発表した実験です。



バイエル博士とHommelhoff
博士はそれぞれ、レーザー駆動粒子加速器が小型化可能であることを示し、従来よりも小型で安価な加速器の構築に期待を込めました。バイエル博士のチームは、石英ガラスで作られた格子様構造の微小デバイスに高エネルギーの電子を注入しました。この人工的にデザインした構造にパルス状のレーザー光を照射することにより、電子加速を従来の加速器の10倍にすることができました。Hommelhoff
博士のチームは同等の手法として、レーザー光を使用することで低エネルギーの非相対論的電子を加速できることを実証しました。2つの結果が相まって、小型粒子加速器への道が開かれます。オンチップ加速器がどのように動作するのかについては、こちらの短い動画をご覧ください。



本プロジェクトの共同主任研究者の1人でスタンフォード大学応用物理学科のロバート・L・バイエル博士は、次のように語っています。「このプロトタイプは私たちの提案する革命的な設計に基づいていることから、新しい世代の『卓上型』加速器の原形となり得るもので、生物学や材料科学における予期せぬ発見や、セキュリティースキャン、医療、X線イメージングへの応用につながる可能性があります。」



本プロジェクトでは、加速器物理、レーザー物理、ナノフォトニクス、ナノファブリケーションの世界的に著名な専門家が結集し、拡張可能な加速器の実動プロトタイプを5年以内に開発しようとしており、ここから現状の加速器よりも桁違いに小型の電子/X線源が生まれる可能性があります。スタンフォード大学とフリードリヒ・アレクサンダー大学がけん引するほか、この国際協力活動には米カリフォルニア州メンローパークのSLAC国立加速器研究所、ドイツ・ハンブルクのドイツ電子シンクロトロン(DESY)、スイス・フィリゲンのポール・シェラー研究所という3つの国立研究所が参加しています。さらに、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、パデュー大学、ハンブルク大学、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)、ダルムシュタット工科大学の5大学、そして業界パートナーのTech-Xコーポレーションも参加しています。



過去75年間、粒子加速器は物理学、化学、生物学、医学に不可欠のツールとしての役割を担い、ノーベル賞に輝く数々の発見につながってきました。新しい加速器技術により、コスト(数十億ドル)やサイズ(数マイルの距離)を削減・縮小し、科学者による利用を拡大しない限り、素粒子物理学や構造生物学の分野の進歩は止まってしまうでしょう。



フリードリヒ・アレクサンダー大学の物理学教授でプロジェクトの共同主任研究者の1人でもあるPeter
Hommelhoff博士は、次のように語っています。「加速器を小型化することのインパクトはコンピューターの進歩に匹敵します。かつてコンピューターは室内全体を占領していましたが、今や腕に付けることができます。小型化という進歩は、これまで粒子加速器を利用できなかった分野やコミュニティーにまで加速器を拡大できる可能性を意味しています。」



発見のチャンスは過去にないほど高まっていますが、科学に対する政府や業界、慈善団体による取り組みや資金支援は、将来に向けての進歩の加速に今日必要なものに比べ、大幅に不足しています。このギャップを慈善団体のみで完全に埋めることはできませんが、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団は将来の世代に大きなインパクトを与え得る革新を推進するための基礎研究に対する投資の重要性を確信しています。当財団は科学研究や技術開発を含む科学へ資金援助を行う民間財団として世界最大級であり、過去15年間に11億5000万ドル以上の投資を行っています。



ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団の科学担当最高プログラム責任者を務めるロバート・カーシュナーは、次のように語っています。「オンチップ加速器には、素晴らしいアイデアを追求する優れた科学者がついています。概念検証から実動プロトタイプにまで発展させれば、これら科学者が成功したと理解できるはずです。この研究にはリスクがありますが、新たな手法が科学の飛躍につながる可能性がある場合には、ムーア財団はリスクを恐れません。膨大な利益をもたらすための小型化は、ゴードン・ムーアがマイクロエレクトロニクスの分野で行ってきたことです。」



ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団は、先駆的な科学的発見、環境保全、患者ケア改善、ベイエリアの特殊性の保全を促進しています。ウェブサイトはwww.moore.orgです。@MooreFoundをフォローしてください。



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Contacts


The Gordon and Betty Moore Foundation
Stacey Bailey, 310-739-2859
stacey.bailey@moore.org

情報提供元: ビジネスワイヤ
記事名:「 粒子加速器の科学を前進させるためゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団がスタンフォード大学と国際的な協力機関に1350万ドルを助成