子どもが生まれたら、学資保険に入るのが当たり前だと思っていませんか。教育資金を準備していくために学資保険が最適なのかどうか、学資保険以外の方法があるのかなどは気になるところではないでしょうか。エフピーウーマン所属のファイナンシャルプランナー・安部智香さんが解説してくれました。


教育費、いくら必要?

「人生の3大費用」と言われているのは教育資金、住宅資金、老後資金です。その3つの中でも教育資金は、子どもが生まれたら必要な時期がわかるため、計画を立てて準備しやすい資金です。とはいっても、必要になる額は幼稚園から大学までずっと公立でいくのか、そもそも大学に進学するのか、進学するなら文系か理系かなどでも大きく違ってきます。文部科学省の調査によると、幼稚園から高校までの学習費(学校教育費、学校給食費、学校外活動費)と、大学に支払う学費は下記の通りとなっています。

幼稚園から高校まで


出展: 文部科学省「平成28年度子供の学習費調査の結果について」

大学


出展: 文部科学省「平成28年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」、文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」、文部科学省「平成30年度学生納付金調査結果」

子どもが生まれたばかりでは、将来どのような学校に進むのかまだわからないという人が多いかもしれません。とはいえ、高額になりがちな大学の学費は、やはり早いうちから準備する必要があるということがわかります。

そもそも学資保険とは



教育資金の準備方法としてメジャーな「学資保険」。子どもの高校や大学の入学資金の準備のための貯蓄型の保険です。学資保険の大きな特徴としては、契約者(両親のどちらかであるケースが大半)が死亡した場合はそれ以降の保険料の支払いが不要となり、保障はそのまま継続されるという点があります。

学資保険に加入する場合は、子どもの年齢が低いうちに加入することで、そうでない場合よりも保険料を安くすることができます。これから妊娠・出産を考えている人は、早めに学資保険について検討すると良いでしょう。

学資保険以外の選択肢は?

では、学資保険を利用せずに教育資金を準備するにはどのような方法があるのでしょうか。おすすめの方法は下記の3つです。

1. 児童手当は全額貯蓄

子どもが生まれると、「児童手当」がもらえます(※保護者の所得制限によりもらえる金額が異なるケースも)。現在の手当額では、児童手当を全額貯めると18歳までで約200万円になります。これは国公立大学の4年分の学費に相当する額です。まずは児童手当を全額貯金して、さらにプラスアルファで毎月1万円、学資保険や他の積立を利用すると私立大学の学費を準備できます。

2. 「低解約返戻金型終身保険」

「低解約返戻金型終身保険」は本来は親など契約者の生命保険ですが、子どもの学費が必要になる前に保険料の払い込みを終了することで、解約返戻金を教育費に利用することができます。子どもが小さいうちは親の死亡保障として備えることができます。

3.「ジュニアNISA」

「ジュニアNISA」は未成年のための少額投資非課税制度です。1年間に80万円まで投資することができ、そこで得た利益や配当金には税金がかかりません。18歳までは引き出すことができないので、教育資金の準備として利用することもできます。ただし、株式や投資信託は元本保証ではありません。18歳になった時に、元本を下回っている可能性があるということを知っておきましょう。



学資保険が必要な人と不要な人

このように、学資保険以外でも教育資金の準備方法があることがわかりました。それでも学資保険は必要なのでしょうか。必要な人とそうでない人について考えてみました。

必要な人

自分ではコツコツ積み立てることが苦手な人は、学資保険を検討すると良いでしょう。学資保険の返戻金は、途中で解約すると支払った保険料より少なくなってしまうケースがほとんどです。損をするなら満期まで頑張ろうと思えますよね。

不要な人

毎月自分で積み立てることができる人、十分に貯蓄がある人は、あえて学資保険を利用する必要はないでしょう。また、親からの援助が受けられる人も不要です。通常は、年間110万円を超える現金を贈与すると贈与税がかかってしまいますが、教育資金として贈与した場合は、一括で1,500万円まで贈与税はかかりません。

子どもの教育資金は、少しでも早いうちからコツコツ準備することが大切です。自分に合った方法で準備をしていってくださいね。


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 学資保険不必要説は本当? 子どもの教育資金の賢い貯め方をFPがアドバイス