3月13日~14日にかけて、奈良県で行われた「Life Trip NARA・トライアルツアー」の同行取材に参加した。


 これは、公益社団法人 奈良市観光協会が新たに取り組む「史跡巡り+企業研修プログラム」を融合させた観光ツアーだ。


 飛鳥時代から奈良時代にかけては、インフラ(平城京[碁盤の目])、社会制度(冠位12階、十七条憲法)、経済(和同開珎)、宗教(仏教)、文化(寺院、万葉集)、海外貿易(遣隋使、遣唐使)が整備されていった時代で、この時代を創っていった偉人たちは、まさに新しい時代を切り拓いた人々。


 そんな奈良時代の偉人になりきることで、“人生100年時代”を豊かに生きるためのヒントを見つけようというもので、今回はトライアルとして、IT企業の社員11名が体験した。


 東大寺参道内唯一の宿である『観鹿荘』に併設されたレストラン2階「東京庵本店」を2日間、借り切り、「Life Trip NARA」のスタート。


 初日は、「Past Trip」として、過去(奈良時代)を想像することがテーマ。


 まず、今回なりきる偉人の藤原不比等(政治家)、行基(僧侶)、吉備真備(学者・遣唐使)の3名についての基礎知識(行動・業績)から学ぶ。



 次に、紹介された偉人の中から“なりきりたい”偉人を選択。グループに別れたら、それぞれの偉人がデザインされたオリジナルブルゾンを着用。偉人が「どんな人物だったのか」「どうしてそういう行動をしたのか」を史実から想像するグループディスカッション。


 その後、よりリアルに偉人を感じてもらうために、ゆかりの地を巡るフィールドワークへ。藤原不比等は、興福寺。ガイドさんに説明を受けながら旧境内や東金堂を拝観。


 行基は喜光寺。ガイドさんの説明や副住職からご法話を。


 吉備真備は平城宮跡歴史公園。ガイドさんの説明を受けながら公園内を散策し、再現された遣唐使船に搭乗。


 フィールドワーク後は、再び「東京庵本店」に戻り、今まで深めてきたことを踏まえて、「偉人になりきって自己紹介」するワークショップ。



 2日目は、東大寺大仏殿の拝観からスタート。参加者はガイドの説明に耳を傾け、大仏の大きさにあらためて驚嘆。その後は開基(創立者)が聖徳太子と伝えられている大安寺に移動。奈良時代、学問とは大陸から入ってきた仏教の経典を学ぶことであり、その仏教の総合大学であった大安寺にて、貫主によるご法話や瞑想体験をおこなう。


 昼食後は「東京庵本店」に戻り、これまでの体験をもとに、「Future Trip」として、未来(100年時代)に想いを馳せることに。「AIが人間の仕事を奪う」など、20の近未来の社会課題に対して、なりきった偉人の価値観や行動を手がかりに、その偉人であれば、それらにどう取り組み、どのように解決していくのかを強制的に発想。最後は、偉人を離れ、参加者自身の未来に想いを馳せ、どうありたいかを発表し研修は終了。


 同行取材を終え――


 奈良といえば、中学校の修学旅行以来数十年ぶり。しかも勉強が好きではない中学生だったので、ほとんど歴史に興味もなく、睡眠不足で記憶に残っていない。大人になってから個人で旅行しても、ガイドはつかないので、「東大寺南大門の柱に、三好三人衆と松永久秀の銃撃戦の際にできたと伝えられている弾痕が残っている」なんていう話も普通に聞けないだろう。ましてや副住職や貫主さまからご法話を頂くなんて言う経験はできないし、瞑想体験もなかなか難しいだろう。そういうメリットが一般的な「企業研修」ではなく、奈良市観光協会が携わっている「Life Trip NARA」のメリットではないだろうか。


 


東大寺南大門の柱に残っている弾痕の場所を指し示す


フィールドワーク中の参加者たち


平城宮跡歴史公園の遣唐使船


遣唐使船に乗船し、ガイドさんから説明





大安寺貫主さまからご法話


瞑想体験


「偉人になりきりワークショップ」の風景


「偉人になりきりワークショップ」の風景





「偉人になりきりワークショップ」の風景




情報提供元: News Lounge