超高齢化社会を迎えている日本。65歳以上の割合は全人口の27%を超えました。これはつまり、ほとんどの人が「介護」と向き合わなくてはならないということ。あと20年もすれば、5人中4人は介護を抱えるとも言われています。“1億総介護時代”の到来です。

この時代の中で注目されてきているのが、介護に関する予備知識。トレンド総研は昨年末、「介護の事前学習」に関する意識・実態調査を20〜60代の男女500人(介護関連の資格を持っているが、介護関連の職業に就いていない人)に実施しました。

まず「介護関連の資格を取得した年齢」は、「20代」が31%で最も多く、次いで「40代」、50代以上」の20%でした。「介護関連の資格を取得した理由」については「将来のキャリアの選択肢を増やすことにつながりそうだったから」が39%で最多。「身近な人の介護をする際に知識が役立ちそうだと思ったから」は37%で2番目でした。

また、「実際に、在宅介護をした経験がありますか?」という質問に対し、27%の人が「今後、在宅介護にかかわる予定がある」と回答。介護関連の資格取得は重要な懸案なのです。

キャリアアップを目指す「介護福祉士実務者研修」

介護は“突然必要になる”というケースがほとんど。多くの人がその時に行動しようと思っても、周りに介護経験者や相談できる人がいないものです。

介護事業者のネットワーク作りに尽力している「介護ラボしゅう」の代表で介護福祉士、ケアマネージャーの中浜崇之さんは「介護の知識を得ておくことは肉体的・精神的な負担軽減につながる」とし、「仕事と介護が両立できず、介護離職に追い込まれる人も多いようです」と警鐘を鳴らしています。

中浜さんによると、介護における知識がない人は介護される人を椅子から立たせる場合「上」に引っ張りがちですが、それだと腰痛などの原因になってしまうそう。この場合「ななめ前」に引っ張ることで、介護する人とされる人の双方の負担が軽減できるのです。 

肉体的・精神的な負担軽減だけでなく、介護の勉強や資格を取得しておくことは当然、新たなキャリアの選択肢を広げるチャンスにもなります。介護系の資格としては、入門的な位置づけである「介護職員初任者研修」や、介護職に就いた後のさらなるキャリアアップを目指す人向けの「介護福祉士実務者研修」などがあります。

では、資格所得にあたって重要なことは何でしょうか。調査では「座学だけでなく、実習もあるスクール・講座を選ぶ」という回答が57%で圧倒的でした。「学ぶには実践が一番」ということです。誰もが、いつか向き合わなければいけない介護問題。介護する人・される人のお互いの不安を無くすには、「事前の実践的な学習」が大切なのです。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 街に高齢者が溢れかえる?“1億総介護時代”に求められるキャリア形成とは