今回のインタビューでは、理学療法士として日々患者さんのサポートに努めながら、投資活動にも精力的に取り組む20代の高配当投資家、ただかぶさん(ただかぶ@高配当×ブログ@tadakabu)をご紹介します。年収390万円の中でどのようにして投資資金を確保し、どのような投資戦略を実行しているのか、その秘訣に迫ります。

ただかぶさんは、自身のブログやX(旧Twitter)を通じて積極的に投資情報を発信しており、その内容は 23,000人のフォロワーに支持されています。

━こんにちは、ただかぶさん。まずはじめに、ご自身の投資スタイルや哲学についてなど、自己紹介をお願いします。

ただかぶさん(以下、ただかぶ):こんにちは、ただかぶと申します。投資を始めて6年目になり、現在は兼業で株式投資を行っています。毎年配当を増やしている高配当銘柄に力を入れており、長期保有で安定した収益を目指す投資スタイルをとっています。

僕の投資哲学は「再現性のあるコツコツ投資」です。低所得であっても資産形成が可能だということを多くの人に伝え、実際にそれを体現したいと考えています。

━ありがとうございます。では投資を始めたきっかけを教えてください。

ただかぶ:理学療法士として働いている中で、将来の経済的な不安を感じることが多かったんです。身体を使った仕事は、いつまで続けられるか分からない不安がありますし、昇給の見込みも限られています。

そんな中、頭を使って収入を得たいと思い、投資に目を向けることにしました。現在資産1000万円、運用資金は約900万円に達しており、投資を通じて経済的な自立を目指しています。

━投資商品には様々なものがありますが、なぜ株式投資を選んだのでしょうか?

ただかぶ:不動産やFXなど、さまざまな投資方法を検討しましたが、株式投資は失敗した時のリスクが相対的に少ないと感じたためです。

━なるほど、ローリスク狙いですね。初めての投資で成功したそうですが、どのくらいの利益が出たか教えてください。

ただかぶ:専業トレーダーの患者さんを担当した際、気になる銘柄としてレーザーテック株式会社(6920)を教えていただき、そのまま取引したことが成功に繋がりました。3〜4カ月で50万円の利益を得ることができたんです。

━今話題の半導体関連銘柄じゃないですか。今も持ち続けていたら株価は10倍を超えていますね!そのまま勝ち続けたのでしょうか?

ただかぶ:当時は半導体が何かすら分かっていませんでした、完全にビギナーズラックです(笑)

実際その取引以降、自分で選んだ銘柄で大きく勝つことはできておらず、決算直後のストップ高で買った銘柄が、後日ストップ安まで下がったこともあります。

その時は購入価格から14%も価値が下落し、3日後に損切りしました。分析に時間をかけて自信満々に買っていたので、メンタルが完全にやられましたね。

振り返ってみると、決算は良かったのですが、成長性に陰りが見えていたことに気付けていませんでした。それ以降、企業の成長性をもっと慎重に評価し、SNSで話題になって過度な値動きをする銘柄を避けるという大切な教訓を得ました。

━投資を始めた当初のスタイルについてもう少し教えていただけますか? どのようにして投資対象を選んでいたのですか?

ただかぶ:最初は、企業の財務や業績、過去の株価の動向を見る「ファンダメンタル分析」に基づいて投資をしていました。しかし市場の需給バランスを正確に読み取るのが難しく、思うように利益を出すことができませんでしたね。利益が出ないどころか、しばしば損切りすることもありました。

━その後、どのようにしてその課題を克服していったのでしょうか?

ただかぶ:いろいろな投資スタイルを試しながら、どの方法が自分に合っているかを探っていきました。また、「株価は半年先を見ている」という考えを取り入れ、投資する企業の将来性をより重視するように心がけました。

「何となく上がりそう」といった感覚に頼った投資から脱却し、投資前にしっかりとしたシナリオを作成し、決算ごとにシナリオからズレていないかをチェックしています。保有中も継続してメンテナンスを行うことで、大きく失敗することはほとんどなくなりました。

━雰囲気投資家として耳が痛いです。。そこから得た教訓はありますか?

ただかぶ:「投資判断は自己責任」、これは投資番組でよく耳にするフレーズで、一見、他人への責任転嫁のように聞こえるかもしれませんが、その本質は全く異なります。

私はこれを、「自分でしっかり調べ、理解し、そして自分で責任を持つ」という投資家としての姿勢を表していると捉えています。

他人のアドバイスを鵜呑みにせず、自分自身でその企業の成長性を評価し、投資しましょう。その経験、投資後の結果が投資家として成長するために必要なプロセスですよ。と伝えてくれているわけです。

━そして、最終的にたどり着いたのが「高配当株への投資」ですね。その魅力についてもう少し詳しく教えてください。

ただかぶ:そうですね、高配当株の最大の魅力は、中長期的に安定した収益を見込めることです。定期的に配当を受け取れるという事実は、精神的なストレスを大幅に減らしますし、株価が少々下がっても、業績に大きな問題がなかったら放置もできる。僕に非常に合っている投資方法だと感じています。

━ストレスを抱えると、本業に影響が出てしまいますものね。「高配当株を狙う」という投資戦略について、具体的な銘柄選びの方法を教えていただけますか?

ただかぶ:はい、高配当株を選ぶ際は特に配当利回りに注目しています。年単位でデータを提供してくれるサイトを利用して、期待される利回りを分析し、4%以上の利回りを目指していますが、現実には3%台の銘柄も多く含まれます。

また、配当性向という指標も重要です。企業が稼いだ利益の中でどれだけを株主に還元しているかを示すこの指標を見ることで、安定した配当を続ける企業を見極めています。実際、低配当性向で高成長率、高増配率を持つ企業を優良銘柄として選んでいます。

ちなみに、高成長は一過性の可能性もあるため、平均的に業績の良い銘柄なのか、増配が何年も続いている銘柄なのかも一つひとつ確認しながら選んでいます。今年は高配当であっても、来年どうなるか分からないのは怖いですよね。僕は平均的に配当額が上昇する銘柄を優良銘柄と考えていて、長期投資できるかを特に重視します。

━その方法で投資した結果、特に成功した事例を教えてください。

ただかぶ:例えばニチレキ株式会社(5011)への投資です。この企業は建築資材の製造や販売、道路舗装工事を手掛けており、株主還元に非常に積極的です。

IR資料で見た将来の配当性向目標が「2043年に30%」と非常に野心的で、実現すれば面白いなあと興味を持ちました。実際に、この銘柄は6期連続で増配しており、過去10年で配当金が4.2倍に増えました。

増配のニュースで株価が上がることもあるので、売却益の「インカムゲイン」、配当益の「キャピタルゲイン」どちらも狙えた銘柄です。

━配当金が4倍とは夢がありますね!では、ただかぶさんは 390万円という年収を公開されていますが、その状況を踏まえて今後の投資計画について教えてください。

ただかぶ:現在、月に4〜5万円を確保するために、倹約やポイ活、さらには副業にも取り組んでいます。これにより少しでも多くの投資資金を作ろうとしています。

高配当投資を選んだのは、安定した配当金が老後の資金不安を和らげてくれると考えたからです。配当金は、株を持っているだけで得られる不労所得で、これが大きな魅力です。

また、短期投資のように株価を常にチェックしないといけないというストレスもありません。僕自身の性格にあっているので高配当投資を継続しています。実際に成果が積み重なり成功体験も詰めてきているので楽しく投資を続けることができています。

━「高配当」以外に、株式投資で重視していることはありますか?例えば「株主優待」はどうでしょうか?

ただかぶ:株主優待はチェックしていますが、それを主な判断基準にはしていません。もし手に入ればラッキー、くらいの感覚ですね。

あとは、自社株買いに関しては、企業が安定して毎年行っているかのか、それとも不定期に行うかを見ています。定期的に自社株買いを行う企業は、経営の自信の表れとも言えるので好感が持てます。ただし、主要な投資基準はやはり高配当です。

━主軸はやはり「高配当」なのですね。では、今後の投資に対する展望を教えてください。

ただかぶ:「成長高配当投資」や「中小型株への投資」に興味があります。配当を出しながらも成長性の高い企業はまだまだあると考えているので、企業分析して、まだ市場に十分評価されていない隠れた優良株を見つけ出したいです。

最終的には、50代で運用資産を6000万円に増やし、取得ベースで5%の配当利回りを目指します。これにより、年間300万円の配当収入(税引き後240万円)を達成し、サイドFIRE を実現することが僕の大きな目標です。

━憧れのサイドFIREに向けて進んでいるわけですね。現在は会社員をされていますが、本業とのバランスはどのように取っていますか?

ただかぶ:現在のバランスは、仕事と投資でほぼ半々ですね。投資を始めたばかりの頃は楽しくて、仕事2、投資8くらいになっていたと思います。

スイングトレードなどをしていた頃は、業務中も株価が気になり、集中力に影響がありましたね。今だから言えますが、こっそりトイレで株価チェックしたりも……。

さすがにこれはダメだと思い、投資スタイルを「長期投資」に変更しました。今は業務中に投資のことはほとんど気にならなくなりました。お昼休憩に簡単に行うくらいです。

━本業が投資に与える影響について教えてください。

ただかぶ:理学療法士の仕事では、患者様の退院日までに立ったり歩けたりできるようスケジュールを立て、リハビリプランを作成し実行していく必要があります。

この考え方が投資活動においても大いに役立っています。たとえば、資産目標を達成するために、どんな投資手法でどんな銘柄を選び、増配に向けてどんな要素があればいいのかと、逆算して考えることができるようになりました。日々の業務で培った計画性も、投資にも良い影響を与えていると感じています。

ちなみに、業務時間中は理学療法士としての業務や自己研鑽に励み、業務終了後から投資家としての活動を行っています。家庭の時間や子育ても大切にしているので、投資にかけられる時間は通勤時間を含めた2時間くらいです。時にはあえて普通電車を選んで移動時間を長く取り、車内で集中して企業分析ができるよう工夫もしています。

━ただかぶさんはSNSやブログで投資についての情報発信を行っていますね。発信を続ける理由は何でしょうか?

ただかぶ:僕は「再現性のあるコツコツ投資」を実現したいと考えています。X(旧Twitter)やブログを通じて、低所得でもコツコツと投資を行うことで資産形成が可能であることを、多くの人に伝えたいんです。特に、僕自身が経験したことや実際に効果があった投資戦略を共有することで、同じような境遇の人たちに希望を与えられればと思っています。

また、個人的にはブログやX(旧Twitter)での投稿が、自分の学んだ内容の整理にもなります。書くことで理解が深まるだけでなく、後から見返せるので、自分自身の成長にも繋がっているんですよ。

━他の投資初心者、特にただかぶさんと同年代の、20代からの投資で気をつけるべきポイントがあれば教えてください。

投資は必ずしも100%成功するわけではありませんが、きちんと調べて、長期的な視点で取り組むこと、そして自分にあった投資手法を選択することで、成功の確率をぐっと高めることができます。

失敗を恐れずに、挑戦を続けることが大事です!上手くいかない時期は辛くなると思いますが、そんな時は投資を一旦お休みして勉強の時間を作ってもいいのではないでしょうか?

特に20代の方々には、「時間」という最大の資産があります。例えば、月々少額から始めても、複利の力を利用すれば、長期にわたって大きな資産を築くことが可能です。毎月3万円を積み立てて年利5%で運用すると、40年後には約4500万円になります。

老後資金としては十分な金額ではないでしょうか?ゆっくり時間をかければ、大きなリスクを取らなくても資産形成できるので、短期的な利益に惑わされず、長期投資を心掛けて投資を始めてみてほしいです。

━時間を味方に付けるのですね、ありがとうございます。最後に厳しい労働環境に居る医療従事者の方々へ、一言お願いします!

医療関係者の方には、えーっと、頑張りましょう。。

というのは冗談で、僕と同じ医療職の皆様は診療報酬が上がらないことにより、このまま働き続けて40.50代に入っても年収は他の企業ほど上がらないと思います。そんな中でもインフレは加速するので物価は上がり、生活はどんどん苦しくなってくるでしょう。

医療職の方は勤勉な方が多いです。医療の勉強と同じように投資の勉強も始めてみてください。投資を始め、続ければ少しずつ資産は増えていきます。

昇給額以上に配当金が増えてくれる時が必ずやってきます。今から頑張れば40、50代での生活は余裕が出来て老後の不安はなくなっているかと思います。

チャレンジし続けたら、学歴や収入がそれほどでもない僕でも20代で1000万円の資産を築くことができました。株式投資はすっっごいおもしろいです!僕と一緒に頑張りましょう!!

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 年収390万円から資産1000万円へ―20代理学療法士、ただかぶさんの投資戦略