イギリスのサブカルチャーを語るのに欠かせないのが、70年代から様々な形で受け継がれているクラブカルチャー。現在のクラブカルチャーを担う数々の有名クラブがロンドンにはあるが、その中でもそのユニークな特徴から愛されているクラブがある。

PRINTWORKS(プリントワークス)と呼ばれるその場所は、その名の通り印刷工場だった建物を使用して作られた南ロンドンにあるクラブだ。オープンは2017年と比較的新しいが、西ヨーロッパ最大規模の印刷工場の金属製の階段や通用口を活かすことで唯一無二のインダストリアルな雰囲気を持ったクラブである。さらに、6000人も収容できる規模の大きさから、クラブとしての歴史はそう長くないにもかかわらず数々のイベントやライブ・クラブシーンで愛されてきた。

イギリスのダンス・ミュージック専門の音楽雑誌、DJ Magazineが毎年選出している世界のクラブトップ100でも、オープンして1年後の2018年から上位に選出されており、昨年2022年には4位にランクインしている。

そのユニークな内装は、音楽のだけでなく他のカルチャーの分野でも注目されており、ロバート・パティンソン主演の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』でも格闘シーンのロケ地となった。本国版予告の1’21”〜1’27”ごろの格闘シーンで使用されているのがプリントワークス。鉄パイプが剥き出しの建物がクラブと化したカオスな雰囲気が映画でも活かされている。

そんなロンドンのクラブカルチャーの一端を担うプリントワークスだが、2023年の5月頭には周辺エリア含む大規模な再開発のため閉鎖。一帯がオフィスや商業施設のビル群として生まれ変わることが決定しており、老若男女問わずナイトライフを楽しんできたロンドンの人々に惜しまれている。

5月1日までに開催されたクロージングイベントはチケットは販売開始とともに即売り切れ。たくさんの人が最後のプリントワークスを目に収めようと駆けつけた。SNSでも特徴的な建物を失ってしまうことへの失望の声も大きく、プリントワークスの再開を願う声は多い。それは「プリントワークスは無くならないのでは」という噂が私の耳にも入るほどであった。

そして現在、全てのクロージングイベントが終了し閉鎖したかと思われたが、プリントワークスの公式サイトを訪れると、「SEE YOU IN 2026」の文字が!「PRINTWORKS 2.0」という形で2026年に何らかの形でプリントワークスの復活が示唆されている。

プリントワークス公式サイト

ロンドンのクラブカルチャーを支えてきた人々の声によって、プリントワークスの存続は実現するかもしれない。これからも個性あるクラブがその土地のカルチャーとして愛され、ユニークなクラブシーンが受け継がれていくことを願う。

(執筆者: waiwai)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のロケ地にも!惜しくも閉鎖してしまうロンドンの有名クラブ「プリントワークス」とは