二部作連続公開される映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』(5月20日より公開中)と映画『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』。『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』がいよいよ6月24日より公開となります。

連載開始20周年新プロジェクトとして発表された実写完結編二部作は、エドとアル兄弟の物語を、原作の最終話まで映像化することにこだわった国家錬金術師の抹殺を誓う男スカーとの対決を描く『復讐者スカー』と、国家を揺るがす巨大な陰謀に導かれ物語の壮大なラストを描く『最後の錬成』で完結を迎えます。

シリーズを通して、主人公エドワード・エルリックを演じている山田涼介さんに、作品への想い、時間をかけて行なった役作りについて、お話を伺いました!

「恐ろしいくらいなんにも無い現場」での撮影。この作品を作れるのは曽利監督しかない

――今回、約5年という月日が流れてからの続編ということで、改めてプレッシャーを感じたことはありましたか?

プレッシャーはありませんでした。原作ものをやるにあたって、色々な声があるのは、もう百も承知というか。人によってはプレッシャーに感じるとは思うんですけど、決まったからにはやるしかないですし、何より僕自身も、この続編をやることを望んでいました。嬉しい声も厳しい声もひっくるめて全部、次に活かせる機会があるというプラスの捉え方をしています。僕も監督もスタッフさんも入念に話し合った上で『復讐者スカー』、『最後の錬成』と挑ませていただきました。

――山田さんが続編を望んだ一番の理由というのはどんな所にありますか?

まず、ハガレンが好きというのがあるんですけど、一番は曽利監督ともう一度、この作品を作りたいって思いが強かったです。1の撮影をしている時から、監督とは「最後まで描きたいよね」という話をしていましたし、歳上で大先輩ですが、嬉しいことも悔しいことも共有した監督さんですし、本当に撮影が大変なので。

――苦楽を共にした存在というか。

「なんでこんなことがやれるの?」って自分でも思うくらい大変なんです。撮影中は、多分みなさんが想像している以上に何もないというか。全てがグリーンバックで、恐ろしいくらいなんにも無いんです(笑)。スタジオの駐車場で撮影をすることもあったのですが、横でマンションの工事をしていて。撮影が始まった頃は骨組みだったのに終わる頃には出来かかっていたので、すごく時間をかけて撮っています。それくらい何もない中で、時間をかけて、VFXを使って作品を作れるのって曽利監督しかいないなと思っています。

岡田准一先輩に教わった「パーソナルトレーニング」での体作り

――今回も半年前から体づくりを始めたとそうですが、「エドらしい体づくり」の仕方があったのでしょうか?

僕は『最後の錬成』でエドと“お父様の”一人二役をやっているのですが、もう一人の自分(“お父様”)が厄介なことに、ずっと裸なんですよ。原作の絵が筋肉バキバキで。「見た目が若い頃のエドに似ている」という設定なので、僕がやるしかなく。だから、続編が決まってからすぐにトレーニングをはじめました。岡田(准一)さんにパーソナルトレーナーの方を紹介していただいて。

――身体を鍛えるとなると、岡田先輩に相談するのですね!

確か、『燃えよ剣』の撮影が終わったタイミングで、このハガレン続編の話が決まって「岡田さんに聞いたら間違いなさそう」と思って、「紹介していただけませんか」とお願いしました。そうしたら、「紹介するのは良いんだけど、マジこの人地獄だから」と言われ、地獄くらいが丁度いいと思って行ったら、マジで地獄で。めっちゃ吐きましたね。半年間、週4、5で通いました。

――もともと鍛えていらっしゃる山田さんですらそれだけキツいという…。

本当に大変でした。他の作品を撮影しながらだったので、身体どんどん大きくなっちゃって。当時の衣装さんにはご迷惑をおかけしました。

――『復讐者スカー』『最後の錬成』はアクションシーンがとても激しいですが、アクションに関して参考にしたり、学んだ作品はありますか?

ハガレンです。アニメをひたすら現場で見ていました。参考にしたいアクションって、例えば武術の達人や狩りの達人だったら、他の作品も参考になると思うのですが、エドのアクションは、エドのアクションでしかないので。アニメっぽい動きを、アニメの世界からインスピレーションを受けて、ひたすら見ながら現場で試していました。朴璐美さんの声を聞くことで気持ちも高められたというか。

――アニメーションの動きって結構独特ですものね。

大変なんです。人間には無理なんですよ(笑)。蹴り方とか走り方にエド特有のものがあって、出来ないこともあるけど、寄せられるところは寄せていくという感じでした。

豪華共演者への想い 「普段の会話がエドとウィンリィみたいだと言われます」

――本作はとても豪華なキャスト陣が集結していますが、山田さんは座長の立場としてどう現場を築いていきましたか?例えば「Hey! Say! JUMP」としての活動とは全く異なるものなのでしょうか。

Hey! Say! JUMPではセンターと言っていただける機会が多いですけど、センターというのは無いんです。僕の中ではみんな平等だし誰がセンターにたっても恥ずかしくないグループだから。ただ、作品で座長を務めるとなると、これまでに関係値がない人たちと関係値を築くので、話が変わってきます。

先頭に立って現場の雰囲気を作っていくというか、1から積み上げていく。Hey! Say! JUMP は、もう100あるので。言い方が悪いですけど、僕がダメでも周りがカバーしてくれる。だけど、作品の座長がダメだと、誰もついていこうと思わないじゃないですか。だから、しっかり座長としてやるべきことはやるし、言いたいことは言わせてもらう。作品に対して愛を持って取り組む、という意味では全然、違うかなと思います。

――『復讐者スカー』からご一緒した内野聖陽さんとの共演はいかがでしたか?

内野さんは、すごくフレンドリーに接してくださって。現場でもたくさんお話をしました。本当にグリーンバックでの撮影しかなかったので。(前作の経験から)僕はまだ分かるんですけど、初めて参加される方って勝手がわからないと思うんです。そうすると、内野さんが「このシーン、どうなってるの?」って聞いてくださったんですよ。ハリウッド作品のメイキング映像を見せて、ひたすら「こんな感じです」とか説明させていただきながら。「想像で大変なんですけど、オーバーめにやった方が演技が派手になるので、嘘くさくならないです」とか。身振り手振りをしながら撮影していました。内野さんが、僕が萎縮しないように配慮してくださったので、すごく助かりました。

――黒島さんともアクションシーンがありました。

黒島さんは、ぶつかり合うシーンもありました。女性なので線が細いから強く見せるために、すごく努力していらして。随所随所で、アドバイスをさせていただきました。ここをピタッと止めると強く見えるよ、とか。

――渡邊圭祐さんとのシーンも多いですよね。

圭祐は、見た目は長身で端正な顔立ちなんですけど…天然なんですよ!「神様が入れ物を間違えた系男子」で。可愛いんです。踊りめちゃめちゃ下手なんですよ。ダンスの動画を一緒に見ていて、踊り始めたんですけどひどくて…(笑)。可愛くて楽しくて、見ていて、すごく元気をもらえました。今でも連絡を取り合っています。

――本田さんやディーンさん、ずっと一緒にやってきた方々とは、クランクアップのタイミングは違ったと思いますが、万感の思いみたいなものはお互いにあったんですか?

ないです。ずっと延長線上でやっていた気がして。2年ぶりに会っても、ずっと撮影していた気分でした。なんかちょっと不思議な感じだったんですけど。本田さんとも話したかな。「久しぶりな感じしなくない?」みたいな。「わかるぅ」みたいな(笑)。

――素敵ですね、本当にエドとウィンリィみたいな!

あ、そうですね。彼女も彼女で、すっごいサバサバしてますし。僕も僕で言いたいこと言うので。よくプロデューサーさんにも「普段の会話がエドとウィンリィみたいだ」って言われていました。2人と違って、そこにラブはないですけど(笑)。

僕が言うのも変な話なんですけど、(本田さんは)この2年間で、何があったんだろうと思うくらい、すごい進化を遂げていたので、頑張らないと、俺も!みたいな。良い刺激をもらいました。撮影でも圧倒されることが多かったです。

――山田さんも本田さんも、お二人ともゲームが大好きですが、ゲームのお話をしたりも?

しますね。お互い本当にゲームが大好きなので。

「大人になって理解度が増すと更に面白い」ハガレンの魅力

――改めて、「鋼の錬金術師」という作品の魅力について、山田さんはどう感じられていますか。

ハガレンの面白さっていうのが、子供の頃に見ても面白いのに、大人になって理解度が増すと更に面白いっていう。子供の頃って、エドの面白さとかカッコよさに惹かれますよね。だけど、大人になってくると「こんなに深いの?」って。泣けてくるというか。

――すごく分かります。

そこは、荒川先生の素晴らしい部分であり、すごいところであり、才能がすごすぎて気持ち悪いくらいなんですよね。原画展に行かせていただいたんですけど、鳥肌が立つくらいすごい作品なのに、ご本人はすごくナチュラルでフレンドリーな方で。この人が、人間の汚い部分、ドロドロした部分を描いているとはとても思えない。本人に会ったからこそ分かるすごさというか…。頭の中どうなっているんだろう?見てみたいなと思います。

――それが全世界でも共通して感動できるということもすごいですよね。

すごいですよね。人間が持っているのって世界共通して一緒なんだなと。芯の部分は変わらないんだなと思いました。

――人間の業を深く描いた作品であり、愛のお話でもありますよね。山田さんが好きな愛の作品はありますか?

愛だったらなんでもいいんですか? ベタなんですけど、僕はロミジュリ(「ロミオ&ジュリエット」1997)を何度も何度も見ていて。ディカプリオがすごく好きなのと、映像美がすごく好きで、家で流し見しています。単純な恋愛モノを見るより、もどかしい作品を観ている方が好きで。無音で観ることもあるくらいこの映像美が好きです。

――本作もたくさんの人に何度も楽しんでいただきたいと思います。今日は素敵なお話をたくさんありがとうございました!

作品情報

国家錬金術師ばかりを狙った連続殺人事件が起きる中央(セントラル)を訪れたエドとアル。犯人は正体不明ながら、額に十字傷を持つことから”傷の男(スカー)”と呼ばれていた。兄弟も命を狙われ応戦するものの、圧倒的な強さの前に機械鎧(オートメイル)を破壊され、絶体絶命となる。果たして二人はこの危機を乗り越え、元の身体を取り戻すことができるのだろうか。隠されたこの国の秘密と”約束の日”、そしてエドとアルの父親の過去。幾重にも重なる謎と真実が解き明かされ、物語は圧巻のフィナーレへ。最後に兄弟が出した答えとは…? 
原作の最終話まで描き切った”完結編”―伝説は二部作で完結する。

『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』
原作:「鋼の錬金術師」荒川 弘(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
監督:曽利文彦 脚本:曽利文彦 宮本武史
出演:山田涼介 本田 翼 ディーン・フジオカ
蓮佛美沙子 本郷奏多 / 黒島結菜 渡邊圭祐
寺田 心 内山信二 大貫勇輔 ロン・モンロウ 水石亜飛夢
奥貫 薫 高橋 努 堀内敬子 丸山智己 遼河はるひ 平岡祐太
山田裕貴 麿 赤兒 大和田伸也
舘ひろし(特別出演)
藤木直人 / 山本耕史 / 筧 利夫
杉本哲太  栗山千明  風吹ジュン
佐藤隆太  仲間由紀恵 ・ 新田真剣佑
内野聖陽
製作:映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会  企画・制作プロダクション:OXYBOT  配給:ワーナー・ブラザース映画
オフィシャルサイト:hagarenmovie.jp  オフィシャルTwitter:@hagarenmovie  #ハガレン完結編
(C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 映画『鋼の錬金術師 完結編』山田涼介インタビュー「座長としての想い」「“こんなに深いの?”と泣けてくるハガレンの魅力」