Nianticは11月9日、ARコンテンツ開発者向けプラットフォーム「Lightship」を公開し、開発者キット「Niantic Lightship ARDK」の提供を開始しました。

Lightshipは、同社が「Ingress」「ポケモン GO」「Pikmin Ploom」といったタイトルを開発・運営した経験を基に構築したプラットフォーム。このプラットフォーム上で稼働するARコンテンツを開発するためのソフトウェア開発キット(SDK)として、Niantic Lightship ARDKを提供します。

ARDKはリアルタイムでの現実世界を再現する「Mapping」、環境を理解する「Understanding」、体験を共有する「Sharing」の3種類の核となるAR機能を処理するツールや技術をまとめたもの。Unity上で動作するため、これを用いてiOSとAndroidでデバイス上でシームレスに動作するアプリを開発できます。

Mappingは、スマートフォンのカメラセンサーにより深度を測定して、カメラに映る現実世界の3Dメッシュマップをリアルタイムで作成。ユーザーの周囲の地形や地表を把握します。アプリ内の仮想のオブジェクトは、現実のオブジェクトに対して正しい深度の順で表示され、例えばキャラクターが現実のオブジェクトの後ろを通過するとオクルージョン(遮蔽)を施して隠れるように表示されます。

Mapping Meshing tech demo(YouTube)
https://youtu.be/wWHAr_TSDWk

Understandingでは、コンピュータービジョン技術により現実世界の地面、空、水、建物といった環境中の様々な要素を即座に識別。これにより、バーチャルコンテンツが現実の空間で見せる反応が変化します。

Semantics tech demo(YouTube)
https://youtu.be/1K3DMhOIAJo

Sharigは、最大5人のプレイヤーを同時にサポートするARセッションを、開発者が簡単に作成できるAPIを提供します。これにより、バーチャルコンテンツ、プレイヤー、それらのインタラクションをすべてリアルタイムで同期可能に。さらに、ARDKではプレイヤーロビーシステム、同期クロック、セッション永続性ストレージといった負荷の軽いマルチプレイヤーゲーミング機能を提供します。

ARDK MultiPlayer Planet Landscape tech demo(YouTube)
https://youtu.be/tzbvhxa4ESY

Nianticとパートナー契約を結んだ企業は、既にARDKを利用したアプリケーションを開発中。9日にオンラインで開催された国内のプレス向け説明会では、集英社が『ワンピース』のキャラクターを用いたデモを披露した他、ソフトバンクは街中に恐竜の3Dモデルが現れるデモ、LIFULはVRでバーチャル内見ができるアプリ「空飛ぶホームズくん」のARへ展開する構想をそれぞれ披露しました。

ARDKはMappingとUnderstandingが無償で提供されていて、SharingのマルチプレイヤーAPIは月間アクティブユーザー5万人未満のアプリで無償、5万人以上のアプリで有償で提供する条件を設けています。マルチプレイヤーAPIは、最初の6か月はアプリの規模にかかわらず無償。

Niantic Lightship
https://lightship.dev/

同日、AR関連企業に投資する2000万米ドル規模のファンド「Niantic Ventures」の立ち上げも発表しています。

Niantic Ventures – Niantic
https://nianticlabs.com/niantic-ventures/[リンク]

発表会では今後Lightshipで提供する機能として「ビジュアル・ポジショニング・システム(VPS)」の構想がプレビューされました。VPSでは、特定の場所にバーチャルオブジェクトを配置して、そのオブジェクトの位置を永続的に維持するというもの。たとえば、あるプレイヤーが街の噴水にバーチャルのカードを置くと、置いたプレイヤーがその場所を離れても後から来たプレイヤーが同じ位置でカードを見ることができる、という体験を提供できるようになります。今後Nianticが提供するタイトルで同様の機能が提供される可能性が高そうです。

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 NianticがARアプリの開発者向けプラットフォーム「Lightship」を公開 Unity上で動作するiOS/Androidアプリ用の開発キットを提供開始