海外メディアRoad to VRは、SamsungがWindows MRヘッドセット「Odyssey」を11月6日にリリースすることを報じた。



予約受付が始まったWindows MRヘッドセット「Odyssey」


ついにSamsungも参戦


Microsoftが展開しているVRヘッドセット・シリーズ「Windows MR(Mixed Reality)ヘッドセット」は、今年の年末にはDellやAcerといった多数のメーカーが製造した製品が出揃うことが見込まれている。こうした同シリーズに、新たな仲間が加わることとなった。その仲間とは、モバイル型VRヘッドセットGear VRをすでに展開しているSamsungが製造する「Odyssey」である。


SamsungからWindows MRヘッドセットがリリースされることは、先日本メディアで報じたように、すでに製品画像がリークされたことから確実視されていた。そして、このほどMicrosoft StoreにSamsung製Windows MRヘッドセットのページが新設されたことにより、その存在が確かめられた。


同VRヘッドセットに関して、MicrosoftおよびSamsungから公式なプレスリリースが発表されていないが、アメリカ時間で10月3日(日本では10月4日)アメリカ・サンフランシスコにおいてWindows Mixed Realityに関するイベントが開催されているので、近日中に何らかの正式発表があると予想される。同VRヘッドセットのストア・ページ新設は、言ってみれば「フライング」した対応だと思われる。


なお、同VRヘッドセットのストア・ページによるとリリース日は2017年11月6日、価格は$499(約¥56,000)である。同ページからは予約も可能である。


Odysseyの仕様


同ページには、Odysseyの基本仕様についても記載されている。その仕様は以下の通り。



  • ・画面解像度 2880 x 1600

  • ・視野角110°

  • ・リフレッシュ・レートは最大90Hz

  • ・Displayに有機ELを採用

  • 専用ヘッドフォン実装


注目すべきは、「有機EL採用」と「ヘッドフォン実装」である。


有機ELとはOLEDとも表記される次世代ディスプレイのことであり、従来のLEDディスプレイと比較して画面のコントラスト(明暗比のこと)が高く視認性に優れていると言われている。最近では、iPhone8/8 Plus/Xに実装されたことで話題となった。こうした有機ELを実装しているのは、Windows MRヘッドセットのうちではOdysseyだけなのだ。


また、同MRヘッドセットの画像を見ればわかるように、専用ヘッドフォンが実装されている。デフォルトでヘッドフォンが実装されているのは、Windows MRヘッドセットのなかで同MRヘッドセットのみである。


Windows MRヘッドセットの比較


SamsungがOdysseyをリリースることにより、Windows MRヘッドセットを製造・リリースするメーカーはAcer、Lenovo、Dell、HP、Asus、そしてSamsungの6社である。


6社からリリースされるWindows MRヘッドセットの仕様を比較とすると、以下の表のようになる。なお、表に作成にあたっては海外メディアUpload VRの記事を参照した。
















































































MRヘッドセット名リリース日価格ディスプレイ素材画面解像度視野角リフレッシュ・レートオーディオ機能マイク機能
Samsung「Odyssey」2017-11-06$499(約¥56,000)有機EL2880 x 1600110°最大90Hz専用ヘッドフォン実装あり
Acer製MRヘッドセット2017-10-17$399(約¥45,000)LED1440 x 1440105°最大90Hz3.5mmイヤフォン・ジャックのみ外付けマイクが必要
Lenovo「Exploler」2017-10-17$399(約¥45,000)LED1440 x 1440105°最大90Hzイヤフォン・ジャックのみ外付けマイクが必要
Dell「Visor」2017-10-17$449(約¥50,000)LED1440 x 1440105°最大90Hzイヤフォン・ジャックのみ外付けマイクが必要
HP製MRヘッドセット2017-10-17$449(約¥50,000)LED1440 x 1440105°最大90Hzイヤフォン・ジャックのみ外付けマイクが必要
Asus製MRヘッドセット2018年未定LED1440 x 144095°最大90Hzイヤフォン・ジャックのみ外付けマイクが必要

表にして各MRヘッドセットの仕様を比較すると、Odysseyが頭ひとつ抜けていることが一目瞭然である。もっとも、価格も頭ひとつ抜けてもいる。


今後のSamsungのVR市場戦略


以上のように、Odysseyは仕様としてはハイエンドVRヘッドセットであるVIVEOculus Riftに匹敵しながらも、これら2大VRヘッドセットより環境整備コストおよび価格が安くなっている。さらに言えば、本メディアで以前に報じたように、Windows MRヘッドセット対応コンテンツが続々とリリースされることも判明している。


それゆえ、OdysseyはVIVEOculus・Riftが築いたVR市場を脅かす強力なライバルとなる可能性は大いにある


その一方で、Samsungはモバイル型VRヘッドセットGear VRも展開している。Gear VRの開発に関しては、2017年には専用コントローラーをリリースし、Galaxy Note8に対応した新モデルを発表したものも、Googleが展開するモバイル型VRヘッドセットDaydreamシリーズに対するリアクションに終始しているように見受けられる。


さらに、同社は2017年末に市場勃興の可能性があるスタンドアロン型VRヘッドセットの開発も進めているようだ。


果たして、同社はハイエンド型・モバイル型・スタンドアロン型と3つのVR市場で並行してビジネスを展開し続けるだろうか。この疑問に対して、明確な回答を示すことは難しい。しかし、現状ではGear VRの勢いがやや落ちているように思われるので、もしかしたらOdeysseyが属するハイエン型ドVRヘッドセット市場でのビジネス展開を今後強化するかも知れない。


いずれにしろ、OdysseyをはじめとするWindows MRヘッドセット群は、ハイエンド型VRヘッドセットをさらにユーザーの手に届きやすいものとするので、VR市場の拡大に大きく寄与することであろう。


参照元ページ:Road to VR

https://www.roadtovr.com/samsung-odyssey-specs-price-release-date-windows-mixed-reality-vr-headset/


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 SamsungがWindows MRヘッドセット「Odyssey」を11月6日にリリース。有機ELを使ったヘッドセットは、VIVE・Oculusの脅威となるか?