アップルのAR開発キット「ARKit」と、アマゾンの音声アシスタント「Alexa」を組み合わせて、音声操作でアプリを操作するデモが登場した。


概要


このデモを製作したScott Finkelstein氏はニューヨークのアデルフィ大学にてウェブ技術のマネージャーを務めており、同氏はARKitと音声アシスタント「Alexa」を組み合わせたユニークなデモを考案した。


「Alexa」とはアマゾンが開発、提供する音声アシスタントで、同社が提供するスマートスピーカー「Amazon Echo」によって動作する。



ユーザーがスピーカーに向かって「Alexa、〜をして」という風に話しかけると、Alexaの自然言語認識機能によってユーザーの言葉の内容を把握して、要求に応えてくれる。


たとえば音楽をかけたり、天気予報やニュースや、本を読み上げてもらったり、部屋の照明の調節などを、デバイスやリモコンを手に持たずに音声のみで行うことができる。


音声操作で天気予報をAR表示


Finkelstein氏は「Alexa」を用いて2つのARデモを作成し、ツイッターに動画を投稿している。


1つめのデモでは彼はスピーカーに向かって「Alexa、AR天気情報を出して」と話しかけ、つぎに「雨を降らせて」と言う。


すると、彼が手にしているiPhoneのカメラを通して、部屋の中に雨が降るアニメーションがAR表示される、という仕組みだ。



このデモはまだ試作段階のためシンプルな機能のみが実装されているが、音声操作によって視覚情報をコントロールできるという点が興味深い。


将来、音声操作によって天気予報やニュース映像、料理のレシピなどをAR表示して、スマートグラスを用いて手軽に閲覧できるようになるかもしれず、可能性を感じるデモだ。


AR表示されたキャラクターが、音楽に合わせてダンス


2つめのデモでは、スマートフォンの画面に巨大なウサギのキャラクターがAR表示されており、Finkelstein氏によって「ジャックラビット・スリム」と名付けられている。


そして彼はAlexaに「ジャックラビット・スリムを踊らせて」と言う。するとAlexaは自動的に選曲し、Dick Dale &Del-Tonesの「Misirlou」をかける。この曲は映画「タクシー」や「パルプ・フィクション」の主題歌に使われた曲で、日本でもよく知られている曲だ。


するとジャックラビット・スリムは音楽に合わせて踊り出し、停止するようにスピーカーに話しかけると音楽が止まり、ウサギもダンスをやめる、という内容だ。



音声アシスタントに自動で選曲して音楽をかけてもらう機能は現在でも利用できるが、キャラクターを通して音声アシスタントに指示を出せる点がユニークだ。


現行の音声アシスタントでは、「音楽をかける」「照明を明るく/暗くする」「ニュースを読み上げる」といった、直接的で無機質なコマンドによって操作するが、キャラクターをクッションとして置くことによって、従来ではあり得なかったコマンド操作が可能になるかもしれない。


たとえば、キャラクターを「笑わせる」「喜ばせる」「悲しませる」などといった、感情をベースにしたコマンドを用いて、音楽の選曲や照明の調節などが行えるようになるかもしれない。


様々な音声アシスタントで使用できる技術


ちなみに、今回彼が投稿した動画には第三者のコメントが寄せられており、曰く、アップルの「SiriKit」を用いても同様のシステムを組めるとのことだ。


「SiriKit」とはアップルの音声アシスタント「Siri」を用いて、iOS対応アプリや、もしくはApple WatchのwatchOSにて音声操作を可能にすることができる。


Frankelstein氏は本コメントへの返信として「将来はHomePodを使う」と応えている。「HomePod」とはアップルが開発したスマートスピーカーで、Siriを用いてAlexaと同様の様々な操作を行うことができる。



音声によるコンピューターの操作はVR/AR技術と共に将来の普及が見込まれている技術で、アマゾンやアップル、グーグルなど多くのテクノロジー企業によって開発、研究が行われており、マイクロソフトのARヘッドセット「HoloLens」には既に音声でデバイスを操作できる機能が搭載されている。


将来は音声によってVR/ARコンテンツを操作する方法が普及する日が来るかもしれず、これからの発展が注目できる技術だ。


参照元:Next Reality


Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.

情報提供元: VR Inside
記事名:「 音声でARアプリを操作できるARKitデモが登場