「夢は搭乗型ロボットを開発して、それを自分で操縦することです!」と語るエンジニアのエクス・マキナさん。学生時代の部活と趣味で培った知識と経験をベースに、ものづくり活動を行っています。

 現在はアニメ「機動戦士Zガンダム」などに登場するメカ「Zガンダム」を鋭意製作中。それはガンプラではなく、ゼロから作るフルスクラッチファンアート。そして「自動変形」も可能なんです。

 「元々『つとむニキさんのユニコーン※』を見て感動して、『自分でも自動変形ものを作ってみたい!』と思ったのがきっかけでした。『ゼータ』を題材にしたのは、『好き!』『カッコいい!』『変形はロマン!』だからです。単純明快ですね(笑)」
※「野生のアナハイム社員」の異名を持つクリエイター。過去に編集部でも代表作のひとつ「バンシィ」を紹介しています。

 今回エクス・マキナさんがTwitterに投稿したのは、「自動変形Zガンダム」の上半身部分。カメラを背にして、MA(モビルアーマー)形態の「ウェイブライダー」状態で映されています。

 そこから「ウィーン」という機械音とともに、ゼータは自動変形していきます。時間にしてわずか10秒の間に、ウェイブライダーはMS(モビルスーツ)「Zガンダム」に。

 ところで、先ほどご紹介したつとむニキさんの記事を担当したのも筆者。投稿を見て私は、つとむニキさんの「バンシィの変形」を初めて見たときと同等の「衝撃」を受けています。SNSというインターネットのジャングルの中で、新たな野生のアナハイム社員を発見したような……それほどの強いインパクト。こいつはやっべぇぞ……!(ほめ言葉)

 「バンシィ」そして「ユニコーン」と、本作「Zガンダム」で異なるのは、後者には飛行形態に変形する「可変モビルスーツ」であるということです。

 ゼータの場合、変形時において、シールド部分が先端部分へと“移動”するのが特徴。ただ、これを自動化させるのは、かなりの難作業であることが容易に想像できますが、この点においても「自動化」を実現しました。エクス・マキナさんとしても、作品の最大のこだわりですが、同時にやはり最大の難関でした。

 「人の手を介さずに自動変形させたことは、ひょっとしたら世界初かもしれませんね。実は開発当初に、『シールドだけは手で取り付けるんでしょ?』というコメントを多くいただいて、『(シールドも)絶対に自動化させてやるぞ!』と心に決めていたんです」

 「ただ、その『反骨心』は、簡単に実現できるものではありませんでした。現在のバージョンにたどり着くまでに、複数の『没機構』が存在しています」

 実はVtuberとして、YouTube活動もしているというエクス・マキナさん。本作の製作過程も都度配信していますが、シールド部分だけで5か月もの検討期間を要しています。最終的に先端部分が伸縮する機能も組み込み、プログラムにより2軸同時に変形させることにしました。わけがわからないよ……。(ほめ言葉)

 本作は8月に完成。今回とは反対に正面から映した「変形動画」からは、ゼータの鼓動が大いに感じられるものとなっています。

 ちなみに本作のサイズスケールは30分の1。ガンプラと並べてみると実に壮観です。

 しかし、本作は作品としては未完成品。真の完成に至るまではまだ道半ば。全容が明かされるその時を心待ちにしたいと思います。

<記事化協力>
エクス・マキナさん(@Ex_Machina_Lab)

(向山純平)

情報提供元: おたくま経済新聞
記事名:「 新たな野生のアナハイム社員発見か?「Zガンダム」を自動変形可能なフルスクラッチで再現