犬にも「飽きる」という感情はあるのか

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人間は毎日同じ食べ物だったり、同じような行動が続いたりする作業は飽きることがあるものですが、犬にも飽きるという感情はあるのでしょうか?もし飽きてしまったら、飼い主さんはどのように対処すればいいのでしょうか?今回はそうした点に焦点を当てて考えていきたいと思います!

同じ食べ物だと飽きるのか?

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まずは同じ食べ物で犬は飽きるのか?という点を見ていきましょう。

犬は食べ物の味を感じることのできる味蕾(みらい)という器官が、人間と比べて5分の1程度しかないと言われています。私たち人間は甘味、苦味、酸味、塩味、旨味を感じることができますが、犬はそのうち旨味を感じることができず、食べ物の味は4つで感知しているようです。

そのため人間よりは味にうるさいということはなく、毎日同じドックフードであっても飽きるというようなことはないようです。しかし私たちよりも嗅覚が優れていますので、食べ物の匂いを嗅いで新鮮かどうか、自分の好きな食べ物かどうかを感知することはできます。

また、本来犬は野生時代狩りをして肉を主食としていました。毎日同じようなご飯ですし、毎日が生きるか死ぬかという過酷な環境下で生活していましたから、飽きるということはありません。目の前にある肉を今食べておかなければ、次にいつ食べれるか分からない状況で生きていたからです。

犬がドックフードを食べなくなる理由としては、飽きるというよりはただ単に食欲が落ちているということが考えられます。特に梅雨の時期や暑い夏は、私たち人間のように食欲不振になることがあります。

その場合には、匂いの強いドックフード、または新鮮で犬が特に好きなドックフードにすれば食欲が増進するかもしれません。味の濃いものに変えるより、いつもとは少し違う匂いの強いドックフードで刺激を与えてみましょう。

濃い味の食べ物を一度覚えてしまうとそれに慣れてしまい、その濃い味のドックフードを欲しがるようになってしまいます。犬にとって濃い味のドックフードは健康に良くありません。

ドックフードだけでも栄養が十分足りていますから、他の物をあげないようにしましょう。特に人間が食べている物を欲しがる時があるかもしれませんが、あげないことが犬の為ですから、心を鬼にしてグッと我慢しましょう。

同じおもちゃに飽きるのか?

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では、おもちゃについてはどうでしょうか?

犬に与えるおもちゃは、飼い主さんが手作りした物だったり、ペットショップなどで愛犬のことを考えながら買う愛情のこもった物だったりしますね。しかしそうしたおもちゃも、始めのうちは楽しそうに遊んでいても、いつの間にか放置されてそのまま見向きもしなくなったという経験をされた飼い主さんも多いことでしょう。

犬の知能は、人間でいうと2歳から3歳のレベルだと言われています。研究者によると、犬は新生児のように新しい物に対する好みの移り変りが早い傾向があることも分かっています。

ある科学者達は、17匹の犬に2種類のおもちゃを与えて実験をしたようです。ある程度遊ばせてからその後、3種類目の新しいおもちゃを与えました。しかし、この3種類目のおもちゃはすでに遊んでいた2種類のおもちゃと全く同じものです。

犬達はどうしたでしょうか?50回の実験のうち38回も、今までの古い2種類のおもちゃではなく、3種類目の新しいおもちゃに興味を示したようです。匂いを嗅いだり、くわえたり、どこかに持って行ったりして、新しいおもちゃの方に興味が移りました。このことから、どんなに同じおもちゃでも新しいものを欲しがるということが分かります。

また他の実験もあります。研究者は16匹のラブラドール・レトリバーにいろいろなおもちゃを与えたようです。犬に30秒ほど1つのおもちゃを与えて回収し、また犬に与えるという実験です。犬の興味がなくなるまで行い続けました。

すると、匂いや色、形などの異なる様々なおもちゃを与え繰り返したところ、犬が興味をもって遊んだ時間は2分半でした。このことから、犬が嗅覚、視覚、聴覚、感覚に完全に慣れてくると飽きてしまう、そして退屈するということが分かります。

犬がおもちゃに飽きてしまったらどうしたらいい?

では、犬がおもちゃに飽きてしまったらどうしたらいいのでしょうか?飽きたら新しいおもちゃを与える…というのは経済的にも負担ですし、犬を甘やかすことになるので良くないでしょう。ではどんな対策ができるでしょうか。

①おもちゃをローテーションしてみる
犬におもちゃを1個から2個与えて、他のおもちゃは残さず片付けてしまい、他のおもちゃの存在を忘れさせます。1個か2個のおもちゃで遊ばせた後、それに飽きたら他のおもちゃと交換します。それを繰り返していくことで古いおもちゃのことを忘れ、忘れた頃に再び与えると、また興味を示すようになるでしょう。

②おもちゃの匂いを変えてみる
犬が飽きる原因の一つに、おもちゃの匂いに慣れてきてしまうということもあります。その為おもちゃを違う匂いにしてみましょう。例えば草や芝生、土などに擦り付けてみて匂いを変えます。そうすると、いつものおもちゃなのに匂いが違うので興味をそそられるかもしれません。

③おもちゃで飼い主さんも一緒に遊んでみる
犬は飼い主さんと遊ぶことが大好きですから、飼い主さんと遊べるなら、飽きている古いおもちゃだとしても一緒に楽しく遊ぶことができるでしょう。

④おもちゃを手作りしてみる
市販のおもちゃよりも手作りのおもちゃの方が、犬に興味がある素材で作ることができるので飽きにくいということもあるようです。犬が興味のある物で作って、さらに楽しめるようする必要があります。

たとえば家庭にあるどんなものを使って、おもちゃを手作りできるでしょうか。簡単にできる手作りおもちゃを少しだけ紹介します。

愛犬のおもちゃを簡単に手作りする方法

例えば、どの家庭にもあるタオルを使うことができます。結ぶだけ!という簡単な方法もあります。フェイスタオルなどを広げ、その中にオヤツなど犬の喜びそうな物を入れます。オヤツが外に出てこないように包み込んで、そして結ぶだけです。これが一番簡単で、経済的にも助かりますね。

犬はそのタオルの中に入ってるオヤツを取り出そうと鼻でつついてみたり、噛んでみたり、振り回したり、投げてみたりと楽しそうに遊んでくれます。あまり固く結んでしまうと、途中で諦めてしまう可能性がありますので注意が必要です。

逆に緩すぎると、簡単すぎて中のオヤツをただ単に出して終わりとなってしまいますので、犬の能力や性格に合わせて緩さを変えてあげましょう。飽きたら結び目を解いて終わりにすることができますし、他のタオルに変えてみてもいいので、飽きっぽい犬には最適なおもちゃですね。

ペットボトルが好きな犬も多いと思います。小型犬のように口や顎が小さい子には不向きですが、中型犬や大型犬の犬にとっては絶好の遊び道具です。ペットボトルをおもちゃにするため、中にオヤツを入れてあげましょう。準備するのはオヤツとペットボトルのみですから、こちらも簡単で経済的ですね。

中にオヤツを入れてあげることで、犬はペットボトルを転がしたり、くわえて遊んでみたり、オヤツが中でコロコロを転がる音に喜ぶ子もいるかもしれません。小さいペットボトルよりも、少し大き目なペットボトルにすることで体全体の運動にもなります。

ただ注意が必要な点として、ペットボトルを噛み砕こうとする犬もいますので、最初のうちはきちんと遊べているか注意して見てあげるようにしてあげてください。また、ペットボトルのラベル、蓋、セーフティリングという蓋の下に付いているリングは、誤飲すると大変な為、外して与えましょう。

中にたくさんオヤツを入れすぎると重たくなりすぎたり、オヤツの食べすぎで逆に健康に悪くなったりしてしまいますので、少量にすることも大切です。

家に沢山のぬいぐるみがあるけど使い道がないという飼い主さんもいることでしょう。チャックがついているぬいぐるみであれば、中身を出してぬいぐるみの中にオヤツを入れます。チャックをしてしまうと中身が取り出せませんから、チャックはしないまま犬に渡してあげます。慣れてくれば、チャックを少しずつ閉めていきましょう。

注意する点は、ぬいぐるみについている装飾品は全て取り除いてから与えるということです。目や鼻がボタンでできているぬいぐるみは注意が必要です。また、チャックの部分を噛んでしまうと誤飲する可能性もありますので、チャックを噛み出したらすぐに取り上げましょう。

このように、おもちゃに工夫を加えることで飽きることなく遊んでくれるようになると思います。


情報提供元: mofmo
記事名:「 犬にも「飽きる」という感情はある?飽きさせないために飼い主ができること