はじめに

猫にまつわる迷信や言い伝えはたくさんあります。それは神秘的な動物として昔から人間の生活に関わってきた猫ならではということができますね。その中でも有名なのが「猫が顔を洗うと雨が降る」というものです。

確かに猫は顔を洗う仕草をしますが、それが雨とどう関係しているのでしょうか?猫が顔を洗うと本当に雨が降るのでしょうか?今回はこの迷信について検証してみましょう。他にも猫にまつわる迷信や言い伝えがあるのでいくつか紹介しますね。猫に関わる豆知識としてお楽しみください!

そもそも猫が顔を洗うのはなぜ?

Oleg Golovnev/shutterstock.com

きれい好きとして知られている猫ですが、顔を手でこすって洗っている仕草を見ることがあります。猫が顔を洗うのはなぜでしょうか?

汚れを落としている

理由のひとつに汚れを落としていることを挙げることができます。ご飯を食べた後に口の周りについた汚れを掃除している姿が、顔を洗っているように見えると言われています。

食べ物のニオイを消している

また、猫が口の周りの食べカスをきれいに洗うのは、食べ物のニオイを消すようにしているという理由もあります。狩りをして生き延びてきた猫にとって、ニオイは自分の存在を獲物に知らせてしまうことになるので、それを消しているのです。また、天敵から身を隠すためにニオイを消しているとも考えることができます。

気持ちを落ち着かせている

さらに猫は、ストレスを紛らわせるためにグルーミングを行うことがあります。他の猫とのケンカ中に急にグルーミングを始める猫を見たことがあるかもしれませんね。また、高いところからジャンプして着地に失敗した時や、飼い主に怒られた時にもグルーミングをすることがあります。

これは気まずい状況やストレスとなる状況で気持ちを落ち着かせるための転位行動と呼ばれています。転位行動でグルーミングを始めた時に手で顔をこする仕草を見せることがあります。こうして顔を洗っているのです。猫が顔を洗っている時は何か気まずい、ストレスとなる状況だからなのかもしれません。

ヒゲの手入れをしている

猫が顔を洗う別の理由に、ヒゲの手入れをしていることも挙げることができます。ヒゲは猫にとって生きていくために重要なものです。センサーのような役割をするヒゲによって、平衡感覚を保つことができます。狭い隙間を通ることができるかどうかを測ることもできるのです。とても繊細なヒゲをピンと張った状態に保つために、顔を洗ってヒゲの手入れをしているのです。

猫が顔を洗うと本当に雨が降る?

猫が顔を洗う理由を考えてみると、顔を洗うことと雨が降ることの関連性がないことに気づきますね。毎日ご飯を食べる猫は、毎日口の周りを掃除するために顔を洗うことになります。ということは毎日顔を洗っているので、毎日雨が降らなくてはならなくなります。

さらに猫が顔を洗うことと転位行動が結び付けられていますが、猫が気まずい思いをすることやストレスを感じてグルーミングをするのは日常茶飯事です。毎日雨が降るわけではないので、「猫が顔を洗うと雨が降る」というのはデタラメな迷信だということになるでしょう。

とはいえ、この迷信について科学的に根拠があると訴えている人もいます。その理由が、猫はヒゲの手入れのために顔を洗うということです。敏感なセンサーとしての役割を果たす猫のヒゲですが、湿気の変化も感じ取ることができるようです。湿度が高くなるとヒゲが湿気によって重くなるため、その湿気を取るために顔を洗っているというわけです。

湿気が高くなるのは雨雲が近づいているときです。つまり雨が降りそうなので湿気が高くなっているというわけです。ヒゲの湿気を取るために顔を洗っているのであれば雨が降る可能性はだいぶ高くなりますね。

この猫の行動に注目したのが、明治43年に猫研究書を出版した石田孫太郎氏です。著書「猫」の中で「猫顔を拭ふてその手耳を越せが降雨」「猫顔を拭ふてその手耳を越さねば晴天」と述べています。つまり顔を洗えば雨が降るのではなく、顔の洗い方によるということが分ります。

猫が顔を洗うときに耳の後ろまでしっかりと洗っていると雨が降り耳の前だけを洗っている場合は雨が降らないということです。これがなんと90%以上の確率で当たるという人もいます。耳の後ろまで丁寧に顔を洗うのは湿気が高い日だからなのかもしれませんね。

とはいえ猫が顔を洗う理由は様々なので、猫が顔を洗うと雨が降るとは限りません。しょっちゅう顔を洗っているので、いちいちこの迷信を気にしていたら毎日雨が降ることになってしまいますね。

それでも猫の顔の洗い方を観察してみるのは興味深いことです。何かしらの理由で顔を洗っているので、猫の気持ちを知ることができるかもしれません。

猫が顔を洗うときに手が耳を超すか越さないかに注目してみると、雨が降るかどうかがわかるかもしれません。絶対とは言い切れませんが、参考程度にはなるでしょう。

猫と天気に関わる迷信、言い伝え

「猫が顔を洗うと雨が降る」以外にも猫と天気に関わる迷信や言い伝えがたくさんありますよ。例えば、「猫が顔を隠して寝ると雨が降る」とか「猫が仰向けになると雨が近い」などと言ったものです。「猫の手水は雨」、「猫が口元だけを洗うと雨」、「猫が背中から頭を撫でおろすと長雨が降る」などと言った迷信もあります。雨に関するものが多いですね。

猫と天気に関する迷信は日本だけでなく他の国にもあります。例えばイングランドは曇り空や雨の日が多い地方ですが、猫と雨に関わる迷信がたくさんあります。

代表的なものとして、前述の石田孫太郎氏の説と同じ「猫が耳の後ろを洗ったら雨が降る」という迷信があります。日本でなじみ深い迷信が遠く離れたイングランドも信じられているのは非常に興味深いですね。他にも「猫のヒゲが垂れていたら雨が降る」、「猫が日のさす場所を離れて納屋に行って寝たら雨が降る」といったものがあります。

ウェールズでは「猫の瞳が広がっていると雨が降る」、東南アジアでは「猫を洗うと雨が降る」などという迷信もあるそうです。やはり雨に関わる迷信が多いことが分ります。雨が降るから準備するように促すような言い伝えですね。


情報提供元: mofmo
記事名:「 猫が顔を洗うと雨が降るというのは本当?!それとも単なる迷信?